建築家のギミックとホールの現実 その2

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3.完成後

劇場が完成し、博覧会の会期中は劇場の管理・運営は大手広告代理店に委ねられた。大手広告代理店は劇場の背面の開放機構をロックし、扉の隙間から吹き込む雨を防ぐため土嚢を積み、その前に黒ホリゾント幕を垂らした。そして舞台を使う団体に配布する催事マニュアルにも、背面が開くという説明は載せなかった。

つまり背面開放を完全に封印してしまったのだ。会期中はこの仕様を基本に全ての出し物が行なわれた。

大手広告代理店から見れば、1日の中で次々と違う出し物を回していかねばならないときに、舞台のホリゾントの状態をいちいち替えることは非現実的である。また背面を開けてしまうと、通常の照明では効かなくなるが、それでも使える強力な照明は用意できない。
そして何よりも、背面を開けると舞台の上が風の通り道になり、バトンや照明、出演者が風に煽られて危険だ。

管理・運営を請負い、コストと安全に責任のある彼等にとっては、建築家の意図や施主の希望がどうあれ当然の判断だった。そもそも6ヶ月189日間毎日様々な出し物が行なわれる中で、背面を開けるような企画など考えなくても、まったく差し支えはないのだ。

こうして博覧会が始まり、劇場は連日プロやアマチュアの様々なパフォーマンスで賑わったが、劇場の背面をあけることができるという機能は忘れ去られてしまった。

続く・・・

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登録日:2007年 07月 12日 11:02:16

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Ryuichi Himori
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ryuichi.himori@gmail.com
団塊世代の会社員から、定年を1年半後にひかえ、大学教授に転職しました。肩書きは日本文化政策学会理事、行政経営フォーラム副代表、市民フォーラム21・NPOセンター常務理事などいろいろ。行政経営(NPM)、文化政策、アートマネージメント、NPO論、都市政策などを研究しています。
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