ジャパン・クールの源流をさぐる:その1

画像はジャパン・クールの代表「攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL(海外作品名)」 士郎正宗作 アニメ監督押井守」
昨日は県文化政策審議会に委員として出席した。詳しくは別途述べるとして、議論の中で出た「ジャパン・クール」について考えてみたい。
今年2月に発表された文化審議会の答申「文化芸術の振興に関する基本的な方針の見直しについて」の中にこんな一節がある。
「日本文化の発信及び国際交流の推進:-略―現代の文化芸術創造活動を積極的に海外に発信し、アジアをはじめとする海外の文化芸術振興に資するように、国際文化交流の施策を検討していくことが必要である。その際には、アニメ、マンガ、音楽等の「ジャパン・クール」と呼ばれる分野も文化発信の上で重要な役割を担っており、メディア芸術などの新しい文化芸術の国際的な拠点を形成することも検討する必要がある。」
この表現では、あたかもジャパン・クールが、日本で、日本人の手によって独自に生み出され、それを世界に発信していかねばならない、というように受け取れる。しかしそれは間違いだ。
ジャパン・クールは、それが日本人の手によって創造され、ダグラス・マグレイによって紹介される以前に、既に欧米人によって発見されていたのである。欧米人によって発見された日本の姿、日本の捉え方が、日本人のクリエーターに影響を与え、ジャパン・クールが創造された、というのが筆者の説だ
欧米人によって発見された日本の姿、日本の捉え方とはなにか。それは自分たちの物だと考えていた高度なテクノロジー、自分たちの歴史や文化を背景にしてしか身につかないと思われていた科学技術が、それとは異なる文化的背景を持つ日本で消化され、発展し、しかもそれが伝統文化やアジア的混沌と両立していることの衝撃だ。それは彼らの思想、価値観を揺さぶるものだった。
そのあたりの欧米人の感覚を、イギリスのSF作家イアン・ワトスンの言葉から見てみよう。1943年に生まれたワトスンは1967年から1970年まで日本に滞在し、滞在中にSFを書き始めた。
「日本で暮らしてみて、SFを書くべきだとさとったんだ。まさに21世紀的な環境だったからね。ありとあらゆる娯楽やからくりがそこらじゅうに氾濫し、得体の知れない未来的なものと伝統的な文化とが、おかしなくらいごちゃごちゃにまじりあっている。が、同時にそこはディザスター・エリアであった。高層ビルの林立する大地は地震でゆさぶられ、耐震構造でない新築ビルの壁にはひびわれが走っている。テクノロジーの爆弾が日常くまなく浸透していたーコインを入れるとテレビの映るタクシーとかね。」(以下略:大森望・他訳、「イアン・ワトスン傑作集スロー・バード」早川文庫、訳者あとがきより引用)
ワトスンが書いている時代には、まだジャパン・クールとして海外で評価される日本の作品(アニメやマンガなど)は生み出されていなかったことに注目してほしい。
筆者は小説はあまり読まないのだが、SF小説だけは昔から読んでいる。そして、ワトスンだけでなく、多くの欧米のSF作家の作品の中に、ジャパン・クールの源流を見て取ることができる。
次の記事で、そのいくつかの作家と作品を紹介しよう。
続く・・・
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登録日:2007年 07月 20日 01:30:55
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