首班指名の民主主義
【9月25日 AFP】福田康夫(Yasuo Fukuda)自民党総裁(71)が25日午後、第91代、58人目の首相に選出された。
23日に自民党総裁に選出された福田氏は、衆院で首相に指名されると、起立して周りの議員らに一礼した。
一方、野党が過半数を占める参院は、決選投票で新首相に小沢氏を指名した。
両院が異なる議決をしたため、両院協議会が開かれたが意見が一致せず、衆院の議決が優先され、福田氏が首相に選出された。(c)AFP
筆者が安部総理辞任から始まる一連の騒動にコメントしないのは、誰が首相、大臣をやっても(民主党も含めて)、1000兆円の借金のもとで政策の選択肢がそれほどないからである。誰がなってもやるべきことをやらざるを得ないだろう。
それよりもコメントしなければならないと思ったのは、筆者の奥さんの一言である。
「どうせ衆議院の多数派なんだから参議院の首班指名選挙とか両院の協議とか、形式的なことはやめてさっさと決めればいいのに。国民はみんな時間の無駄だと思ってるんじゃない?国民が思ってることはくだらない手続きなんかすっとばしてさっさとやればいいのよ」
奥さんの素朴なコメントに正面から難癖つけるのも大人気ないが、ここはまたハイエクを引用したい。
「対立は異なる種類の法律ー同じ名をもって呼ぶことがほとんどできない法律ーの間にある。すなわち一つはその一般原則が前もって規定されている法の支配であり、どのように国家の強制的機構が用いられるか、また個人やその仲間が、そういう状態のもとにおいて何をなすことが許され、またはなすようにされているかを、個人に予見させうる「ゲームの原則」である。他の種類の法律は実際上、当局が適当と考えることを行う権限を当局に与えるものである。かくて法の支配は、あらゆる利害の対立を前もって規定されている規則によってではなくて、「その功罪にしたがって」判定しようとする民主主義においては、明らかにもはや維持することはできないであろう。」(フリードリヒ・A・ハイエク『隷属への道』一谷藤一郎、一谷映里子訳、東京創元社2007.2)
よく形式民主主義が大切だと言われるが、その本質はこういうことである。「国民がみんなそう思っているから」と誰かが民意を「判定」して手続きを恣意的に曲げることは、法の支配による自由の崩壊の一歩である。
民主主義を守るためには、このような「素朴な民意」に従うことはできないのである。そしてそのアンカーは、民主主義国家において民意によって選ばれた議員の一人ひとりに課せられている。この責任の重さを議員は自覚してもらいたい。
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登録日:2007年 09月 25日 20:30:43
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