公立文化施設自主事業研修

今日は(もう昨日か)下記のタイトルの研修の講師をした。
以前の記事でファシリテーターなどいらないと言っておきながら、自分でグループワークのファシリテーターをやっているのだから世話はない。
なぜこのような内容にしたかというと、ひところ、公立文化ホールは自主事業をやればやるほどいい、という風潮があった。しかし厳しい財政状況の中で、事業を厳選する必要が出てきた。一方でコンサートや音楽イベントを自ら企画する市民が成長している。自分たちが見たいもの、見せたいものをホールを借りて自分たちで企画・実施する。
このような状況では、単なる鑑賞型事業の買い公演ではなく、ホールの目的を体現するオリジナルの自主事業をゼロから企画する必要がある。また、指定管理者の時代には、ホールは自主事業によってクライアントであるホール設置者の意図を実現しなければならない。そのような企画ができるコンサートプロデューサー人材を早急に養成する必要がある。
そのために考えたのが下記の研修である。
研修名:県公立文化施設協議会自主事業研究会
タイトル:「オリジナル自主事業を企画・制作する」
■基調講演
1.はじめに
1自己紹介
2本日の進め方
① 基調講演「オリジナル自主事業を企画・制作する」
・コンサート制作の全体像
・企画の方法
② グループワーク
・テーマを決める
・グループごとに企画コンセプトを作る
③ 発表
・プレゼンテーションと「突っ込み」
④ 意見交換・質疑
2.コンサート制作の全体像~コンサートプロデューサーの視点
1主催者は誰か(コンサートのリスクをとる者とその目的の見極め)
2コンサート企画の手法
3プレゼンテーションの手法
4コンサートの制作
5ファンドレイジング(資金調達、チケット収入を除く)
6印刷物の作成
7広告・販促
8入場券の販売
9コンサート当日の運営
10コンサート終了後の業務
11おわりに
自主事業では、公立ホールは主催者だが、指定管理者の時代にはコンサートプロデューサーの視点を持つべきである。
3.企画とは何か
1指定管理者制度における、公立ホールの自主事業企画とは何をすることなのか?
クライアントの意図を実現すること
つまり自主事業主催者はコンサートプロデューサー
2クライアントは誰か?
市民・納税者と、権限を付託された行政(議会、首長、担当部局)
3意図とは何か?
政策(施設の設置目的、その他期待されていること=Policyであって総合計画ではない)
4誰が企画するのか
5企画のステークホルダー(関係者)
6企画のサイクル
4.オリジナル企画の方法
1企画の流れ
2企画コンセプトの立案
企画シートを使って筆者が実際に企画したオリジナル企画のコンセプト出しを実例紹介
オリジナリティーのある企画を生み出す実践的な方法の解説
3主催者が押えるべき構成・演出のポイント
4進行台本のポイント
5.企画の実現
1アーティストについて
2マーケティングについて
3資金について
4広告宣伝について
6.グループワークの説明
1あなたの懸案になっている企画について、
企画シートを使って企画コンセプトを作りましょう。
2コンセプトを企画概要書にまとめてみましょう。
■グループワーク
1.4グループ(1グループ5人程度)にわかれて企画コンセプト策定
2.発表とディスカッション
本来であれば2日くらいかける必要がある内容を1日に詰め込んだので、少し無理があったが、筆者が強調したかった「企画の目的は何か(それがクライアントのどのような意図を実現しようとしているのか)を徹底的に考える、という点については多少理解していただけたかもしれない。
ぐったり疲れた一日だった。
カテゴリー[ アートマネージメント ], コメント[4], トラックバック[0]
登録日:2007年 10月 13日 00:13:26
コメント
お疲れ様でした。
ファシリテーターは、檜森さんのような経験があり、能力の高い方ばかりならよいのですが…。
また、ファシリテーターをお願いするほうの態度にも問題があるように思います。現在のところ、ファシリテーターが奥深い思考をもって行っているのに、かたちや資格がないので、誰でもその仕事をできると思っている節もあります。そのあたりの謙虚さや奥深さを不勉強な方々は「なめている」ように思えて仕方ありません。
いずれにしても、これからは、檜森さんに頑張っていただき、ファシリテーターの職としての認知度を上げていただきたいと存じます。と、無茶なお願いをし、申し訳なく思っています。
yoshi @ 2007年 10月 14日 17:10:25
12日は大変お世話になりました。一職員として楽しみに、こういった機会を与えていただけたことを有効に・・と思いながら参加させていただきました。
まだまだお話をじっくり伺うなど、この場をもっと活用させていただけたのでは、という感想が正直なところですが、
それぞれ館という特定の場・空間を担うことを負かされている立場の我々にとって、
一つの企画に関わる人々の位置づけの理解や企画そのものをぶれさせないためのコンセプトについてのスタンスなど、今一度理解し直す機会を与えていただけたように思います。
ただ終わって、耳にしたことの中に「こうやって、各企画について毎回考えることができれば・・」という呟きが同じグループの参加者の方から漏れておりました。ヴィジョンとコンセプトの部分が最重要であるとはわかっていながら日々の業務量とのジレンマに悩む、というのが現状なのかもしれません。
とはいえ今後に進んでいくためには、アーティスト、市民、行政問わず人々を目的意識の共有のもとに巻き込んでいけるノウハウを体得していかなければならないのですね。
またどこかでお話を伺えればと思います。長々とすみません。ありがとうございました。
参加者 @ 2007年 10月 15日 13:00:29
yoshiさん、私がファシリテーターとして普遍的な能力を持っているかどうかはわかりませんよ。
というよりも、テーマとなっている議題に対する知識を持っているから、グループワークにおいて何がしかアドバイスができるのだと思います。
確かにファシリテーターとしての技術はあるのかも知れません、がそれで的確に議論を進めることができるかどうかは今でも疑問です。
himori @ 2007年 10月 18日 20:30:10
参加者様
コメントありがとうございます。つたない研修でしたが、とてもよく理解していただいて感謝しています。
本来であれば2日ぐらいでじっくりやりたかった内容です。そうすれば、個々の企画でなく前年度にどのようにして次年度の計画を建てたらいいか、までお話できたと思います。機会があれば年間計画などの研修もしたいと思いますのでその節はまたご参加ください。
おっしゃるように、目的意識の共有が大切です。日々ご苦労もお有りだと思いますが、地域社会とアートのために施設がよりよい役割を果たせるようにがんばっていただきたいと思います。期待しております。
himori @ 2007年 10月 18日 20:39:10
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- Ryuichi Himori
- (男)
- ryuichi.himori@gmail.com
- 団塊世代の会社員から、定年を1年半後にひかえ、大学教授に転職しました。肩書きは日本文化政策学会理事、行政経営フォーラム副代表、市民フォーラム21・NPOセンター常務理事などいろいろ。行政経営(NPM)、文化政策、アートマネージメント、NPO論、都市政策などを研究しています。
というような立場を離れて、勝手なことを書かせていただきます。
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