第43回行政経営フォーラム例会

土曜日は大阪で筆者が副代表を努める行政経営フォーラムの例会があった。
テーマは「大阪市役所の改革~市政改革本部の取組みを中心に」
内容は以下の通り。
1. オープニング(今日の狙いなど)
2. 「大阪市政改革の取組み」
3. 「事業経営改革」
4. 昼食(グループに別れて話し合いながら)
5. 「コンプライアンス改革」
6. 「ガバナンス改革と現場改善」
7. 「パネルディスカッション:外部から見た大阪市の改革」
8. 懇親会
ヤミ手当、カラ残業など職員の厚遇問題に端を発した大阪市改革は、労組との癒着断ち切りや同和団体との決別など今までタブーとされてきた分野に踏み込みながら、ドラスティックに進んできた。
なぜ短期間のうちにここまで進めることができたのか。筆者がフォーラムの各セッションを通して感じたことは以下の三点である。
1. 外部の起用
市政改革推進会議委員長の上山信一さんや、コンプライアンス委員に就任したこれまでの市役所の「天敵」市民オンブズマンの辻弁護士、関西経済界の経営者など多くの部外者が様々な立場・役職で改革に参加した。これほどの規模で外部から自治体改革に参加したケースは過去になかっただろう。
2. 政治家のリーダーシップ
これだけの外部の力を改革に参加させ、市役所内部を揺さぶり、改革推進体制を作り上げるためには政治家の強力なリーダーシップが必要である。ともすれば政治家は専門家である役人の上に載ることによって職務を全うしようとする。しかし今回は役人の専門性に能力識見で対抗し得る外部有識者を連れてきて役人にぶつけた。これには現市長と共に大平前助役の役割が大きかったことが今回のフォーラムで明らかになった。
3. 市役所職員の優秀さ
基本的に日本の地方公務員、特に政令市の職員は優秀だ。いったん方向が決まれば彼らはその能力を全力で発揮する。今回短期間のうちに改革が進んだのも大阪市職員の能力によるところが大きい。今回紹介された事業分析の精度などは民間企業でもなかなかできないことである。詳しくは以下のURLをごらんいただきたい。
http://www.city.osaka.jp/keieikikakushitsu/kaikaku/index.html
http://www.city.osaka.jp/keieikikakushitsu/kaikaku/mokuzi_manifest.html
なお、上記ホームページにも見られるような徹底した情報公開が推進の大きな力になったことは言うまでもない。まずいこと不都合なこともすべて出すことは、議論を起こし、抵抗勢力を炙り出して改革の障害を取り除くために必ず必用なのだ。
さて、それではこれからの大阪市政改革の課題はなんだろうか。
一つはフォーラムのパネルディスカッションで大阪市をウオッチしてきた新聞記者が指摘した「大阪市民は、俺たちが苦労しているのに市役所はけしからんと怒ったが、誰も改革してくれとは言わなかった」という点である。つまり首尾一貫とした改革を続けようとしても、場合によっては市民の支持を得られないかもしれない。その時に行政と議会の確執が出てくる(今までもさんざん出ているが)。「市民の改革」をどうするかが問題だ。
二つ目は、今までのハコモノ行政(大阪市の財政に深刻なダメージをもたらした)の反省の上に立って、人材と文化・芸術に投資しようとする「創造都市戦略」(改革から創造へ)である。一つ目と関連するが、改革の目的を単に市役所内部の改革ではなく地域の活性化とする発想自体間違ってはいないだろう。その手段としての創造都市だが、これについては筆者の専門分野でもあり、今打ち出されている方向が果たして妥当かも含め後日コメントしたい。
今回もいつもの行政経営フォーラム例会と同じように、行政職員だけでなく企業、市民・NPO、研究者など様々なセクターの、熱い思いを持つ会員により活発且つ率直な意見交換が行われた。この手のフォーラムの中では最もアグレッシブな会であることは間違いないだろう。
行政経営フォーラムに興味のある方は下記のURLをご覧いただきたい。
http://www.pm-forum.org/
カテゴリー[ 行政経営 ], コメント[2], トラックバック[0]
登録日:2007年 10月 31日 00:52:51
コメント
会員で大阪市民ですが、
個人的な心情で参加しませんでした。
課題としては正鵠的を得ていると思います。
一つ目については、まさに記者の言うとおりで、
あくまでお役所の内部の改善(改革とはあえてここでは書きません。)であり、
また、当たり前のことをしてこなかったことがやっと当たり前になっただけであり、
そこらを美化しても困る、市民は市役所の改革なんて微塵も感じてはいないと思います。
尚、また議会も市民とは今やかけ離れているので、議会も市民にそっぽ向かれてますが・・・。
二つ目については、またご意見を見たいと思いますが、
市大の創造戦略都市のセミナーを聞いて、最初はいいなぁと思いましたが、
段々と疑念に沸きつつあります。
個人的には『また市民の税金で特定の人々のおもちゃ箱、作るつもりですか?』といったところでしょうか?ユニバーサルなものじゃないわけです。もっと使うべきところあるだろうと。
最後に、大阪市役所の職員の優秀さを挙げていますが、
個人的に言わせてもらえば、
優秀かもしれんけど・・・プライド高いし、市民に威圧的だよね。です。
昔から大阪市の職員はそうでしたから。
しろくま @ 2007年 11月 01日 07:58:03
しろくまさん
おいでになればよかったのに。懇親会も楽しかったですよ。フォーラムでも遠慮のない質問や意見も飛んでましたし。
ここまでの改革が単に正常化しただけではないか、という話は当日も出てました。上山さんの話にもありました。私の考えはこの先はそうとうなことをやらないといけないが、果たしてそれが市民の賛同を得るかどうかはわからない、というものです。大阪市民は間違った考えに賛同する可能性が大いにありそうです。
二つ目の点ですが、市には使える税金はない、という状態でしょう。借金返済と固定費だけでも税金では足りていませんから。税金投入なしで創造都市のために何ができるか、政策手段はお金しかないのか、というのが課題だと思います。いずれ詳しく書きます。いずれにしろしろくまさんがおっしゃっている使うべきところに使うお金もない、というのが前提だと思いますよ。
職員については、私が個人的に接した人についてはプライド高くて威圧的、という感じのひとは見当たりませんでした。しかしなにしろ図体が大きいのでいろんな人がいるのでしょう。それから、多くの職員は、ゴーンさんが来る前の日産自動車と同じで、まさかつぶれて路頭に迷うことはないだろう、と思っておられると思います。
himori @ 2007年 11月 04日 01:05:13
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- ryuichi.himori@gmail.com
- 団塊世代の会社員から、定年を1年半後にひかえ、大学教授に転職しました。肩書きは日本文化政策学会理事、行政経営フォーラム副代表、市民フォーラム21・NPOセンター常務理事などいろいろ。行政経営(NPM)、文化政策、アートマネージメント、NPO論、都市政策などを研究しています。
というような立場を離れて、勝手なことを書かせていただきます。
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