財政論争に割り込んだ日本経済新聞変節の謎その2

2.日本経済新聞のトンデモ財政論

日本経済新聞12月5日付朝刊の「大機小機」欄で、「越渓」と署名のある記者が「そもそも財政再建は必要ない、財政支出増を国債の増加で賄え」と主張したのである。

その論旨はこうだ。

「政府は2011年度までの基礎的財政収支の黒字化を目標に、財政支出削減案や増税案を発表しているが、本当に必要か?
公共支出を減らせば補修すらできなくなってしまう。長期的には鉄道や道路はまだまだ必用だ。自然災害の多い日本では治山治水対策も充分ではない。少子高齢化で社会保障負担も増加する。
それを増税や歳出削減で賄うのは無理だ。国債発行増加で賄うべきだ。国際収支は大幅黒字、企業部門も巨額の貯蓄超過、個人部門も黒字で国債を引き受ける余地は大きい。国債の金利は低い。金利負担の増加は心配ない。
11年度の財政支出黒字という目標は先送りすべきだ」

こんなことができるなら誰も苦労しない。今までの小泉改革だの格差拡大だの財政論争などはいったい何だったのか、ということになる。

反論はいろいろあるが、とりあえず「越渓」氏は、同じ日本経済新聞12月3日付朝刊の土屋丈朗慶大准教授による「経済教室―エコノミストトレンド“巨額赤字でも低金利の怪”」を読んでいないらしい。

詳しくは読んでいただきたいが、簡単にいえばこういうことだ。

国債の金利が低い理由は一つには政府が将来の財政赤字縮小にコミットしていることだ。だから金を使い始めたら金利は上がる。
次に、国債金利が経済成長率より低いと財政健全化のための大幅増税や歳出削減は不要になる。
これは家計に例えると、「今年の所得分を消費するとともに借金し、来年に元利返済すれば、その額は経済成長で増える来年の所得より少なくなる。来年の所得で返済してまたお金を借りる」ということになる。

これを繰り返して借金を後世に付回せば、これは立派な「ネズミ講」である。

(まだ続く)

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登録日:2007年 12月 06日 14:56:40

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Ryuichi Himori
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ryuichi.himori@gmail.com
団塊世代の会社員から、定年を1年半後にひかえ、大学教授に転職しました。肩書きは日本文化政策学会理事、行政経営フォーラム副代表、市民フォーラム21・NPOセンター常務理事などいろいろ。行政経営(NPM)、文化政策、アートマネージメント、NPO論、都市政策などを研究しています。
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