「日本的創造都市論」批判 その2

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生活文化創造都市拡充プロジェクトCreative Japan 全国大会2007in 浜松に参加して(その2)

3.高付加価値とは何か

付加価値とは売価-原材料費である。だから、どんなに高額な商品でも、原材料費の割合が高ければ高付加価値商品とは言わない。

それでは、現代の高付加価値商品とは何か。例えば半導体である。原材料のシリコンやガリウム砒素などはありふれた安い素材だ。それを加工して大量に生産する。大量に生産しても原材料費が高ければ(すなわち変動原価が大きければ)さしてもうからないが半導体の原材料費は安い。
しかも生産はほとんど自動化されているから量が増えても人件費は増えない。お金がかかるのは製造設備と研究開発費、設計費だ。しかしこれらの費用も固定費なので、大量に生産しても増えない。だから儲かる。

身近な商品で高付加価値の典型と言えば、100円ライターである。100円ライターの卸値は20円くらい、製造原価はおおよそ7円である。7円のうち原材料費(プラスチック、火打石、ガスなど)はせいぜい3円くらいだろう。付加価値は100円-3円=97円、付加価値率は97%ということになる。

これを繊維工業や木材・木製品製造業などの地場産業と比較してほしい。付加価値率が97%などという産業があるだろうか。原材料費1万円のものを33万円で売らねばならないのである。

100円ライターは極端だが、現代の日本の製造業において、リチャード・フロリダの言うクリエイティブ・クラスの人たちが何をしているかと言えば、安い原材料を加工して高く売るために、研究開発、設計、デザイン、生産技術開発、製造設備設計、原価低減(それこそ高付加価値化)などの仕事をしている。そのような人たちが働くエレクトロニクス、自動車、薬品などの産業が高付加価値製造業である。

4.現代日本の高付加価値製造業と創造都市

このような高付加価値製造業が存在し、クリエイティブ・クラスの人たちが働いている都市といえば、しいてあげればこの11市の中では横浜市と浜松市くらいだ。もし付加価値が高い産業があり、クリエイティブ・クラスのひとがたくさん住んでいるのが創造都市だとすれば、ここにあげられた11市の大半は当てはまらないし、これからも当てはまる可能性はないだろう。

通勤時間帯の名鉄本線や名鉄豊田線を見てほしい。名古屋市に住んでいる技術者・研究者・デザイナーなどのクリエイティブ・クラスの人たちが、豊田市や刈谷市などの高付加価値製造業のある周辺都市へ通勤している。

彼らは教育環境や文化的環境が整っている名古屋市に住んで、そのような環境がない周辺都市へ通勤する。だから下馬評にあがっていない名古屋市こそ創造都市ということになる。もっとも、日本で創造都市を考える場合は「グレーター名古屋」のような「創造都市圏」を想定する必要があるだろう。

いずれにしろこれは偶然の産物であって、どこでも名古屋市になれるわけではない。そこで次のような疑問が湧く。高付加価値製造業がなければ創造都市になれないのか?

次にその疑問に答えたい。

(続く)

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登録日:2007年 12月 14日 00:42:17

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プロフィール
Ryuichi Himori
(男)
ryuichi.himori@gmail.com
団塊世代の会社員から、定年を1年半後にひかえ、大学教授に転職しました。肩書きは日本文化政策学会理事、行政経営フォーラム副代表、市民フォーラム21・NPOセンター常務理事などいろいろ。行政経営(NPM)、文化政策、アートマネージメント、NPO論、都市政策などを研究しています。
というような立場を離れて、勝手なことを書かせていただきます。
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