究極対至高

筆者は地方都市が売り物にしようとしている「食」については、かなり辛い点をつけることが多い。
それは、素材がよくても調理技術が劣っているからである。料理はアートの世界だ。修行を積み、技術を極め、さらに高みを目指した者のみが普遍性を獲得する。
例えば、大森海岸にある蕎麦屋「布恒更科」の鴨南蛮は究極の逸品である。
分厚くジューシーな鴨肉はこれ以上焼くと固くなるぎりぎりの火加減だ。香ばしく焦げ目のついた長ネギは口の中でとろける。そして鴨のつくね団子は形容のしようがないおいしさだ。やや濃い目の汁に細打ちの蕎麦。薬味はねぎと山椒がついてくる。
けして気取った店ではない。昔ながらのしもた屋風の店構えは山の手の近所の蕎麦屋という風情だが、蕎麦にこだわりご飯ものは無い。割烹着姿のおかみさんが接客し、会計は五つ玉のそろばんである。これがことさらに誇示しない伝統というものだ。
浜松はうなぎが名物だが調理技術が一流というわけではない。宇都宮は餃子が名物だが至高の餃子があるわけではない。食で町おこしをしようとするのであれば、素材を生かす技術を追求し洗練する必要がある。それには究極対至高のような切磋琢磨の競争が必要だろう。
そんなことを考えさせてくれる東京の知る人ぞ知る名店である。
http://www1.cts.ne.jp/~masu/shinagawasoba/nunotsune.html
・・・・・・・・・・・・
但し、この鴨南蛮の値段は2560円である。それだけの値打ちはあると思うが、たかが蕎麦一杯と思う人は唖然とするだろう。しかしこれが付加価値というものである。何しろ手がこんでいるのだから。
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登録日:2008年 01月 05日 00:52:12
コメント
素材が良くとも調理技術ダメ、そんなもんありがたがって食ってる*舎者が!ほう、なかなか挑戦的だすなあ。
BDPマスター @ 2008年 01月 05日 20:19:06
この記事に関する感想はBDPマスターに同感! 私は大阪生まれ東京育ち、大森はその昔私の小学生時代でも東京の田舎、桧森さんお気に入りの店はたまたまHimorinの舌にフィットしただけではないかな? だれが何と言おうと、絶対的な洗練された味なんかありえな~い! 江戸の味は京都人ほか馴染んだ舌には永遠に理解されないのだ!! 味に対するだけの批評映画ではなかったけど、伊丹監督作品「たんぽぽ」は料理やマナーなど歴史的な一元的価値に対する批判を加えていて快かったのを想い出すなあ。
Macchan @ 2008年 01月 05日 22:16:47
BDPマスターさん、そこまでは言っていませんよ。食で町おこしをしようとするからには、多くの人が食べておいしいと(めずらしい、でなく)思ってもらわねばならないわけで、それにはもっと工夫しなければならないと言っているのです。
ただし、その土地土地でも伝統に磨かれ洗練された料理はありますが、逆に日常的すぎて土地の人がその価値に気づかない、という場合もあります。
himori @ 2008年 01月 05日 23:22:02
Macchanさん、究極対至高というのはビッグコミックスピリッツに連載中の漫画「美味しんぼ」のことですよ。山本士郎と海原雄山が料理で対決する漫画です。それをもじっているのです。念のため。さて、プロの料理人には当然腕の差があります。おやじの腕や気構えによって、おいしい蕎麦屋もあればそれなりの蕎麦屋もあります(もちろんどの程度のものを出すかはお店のコンセプトにもよりますが)。
で、この店のおやじの腕はいいと思いますが、これは別に私だけでなく、グルメ本などでも評価の高い有名店です。その割りに気取っていないので好きな店のひとつです。東京に行ったらぜひ行ってみてください。
参考までに新潮文庫の「もっとソバ屋で憩う」(杉浦日向子編)より引用します。
「町場のきさくなおソバ屋さんでありながら、絶品のソバを味わえる地元の人たちがちょっと羨ましくなってしまう」(138p)
なお、自分の味覚は関東だと思いますが、京都の料理でもおいしいものはおいしいと感じますし、まずいものはまずいと感じます。それは自分の好みの問題もあるかもしれませんが、料理人の腕の差があると思います。その意味で技術による洗練はあるのではないでしょうか。
himori @ 2008年 01月 05日 23:58:07
間違えた。山岡士郎対海原雄山でした。究極の鴨南ということです。後ほど至高の「蟹チャーハン」もご紹介します。
himori @ 2008年 01月 06日 15:51:57
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