文化政策の“強面担当”指定管理者を切る!(続き)

びわ湖ホール問題について詳しくはこのブログの2008年3月15日のエントリーを見ていただきたい。
そこにも書いたように、ひとつの問題は「契約違反」だ。公開研究会でも報告されていたが、2006年に「5年間の指定管理料55億8300万円を限度とする債務負担行為」が明記された基本協定が締結され、それにもとづいて年平均11憶1660万円の指定管理料が明記された年度協定が毎年締結されていたにもかかわらず、2008年度には1憶1000万円の減額を飲まされ、2010年度には1憶5000万円削減される予定という。
何度も書いているが、指定管理者の協定は双方に履行義務のある契約である。確かに債務負担行為の金額は「限度として」という文言を入れることになっているが、建設工事などあらゆる債務負担行為で慣例としては明記された金額が契約金額である。
今回、財団はあたかも県庁の一部局であるかのような感覚で「予算削減」を受け入れたが、これは指定管理者制度の根幹にかかわる問題だ。発注者と指定管理者の関係は筆者が著書『指定管理者は今どうなっているのか』で指摘した通り「水くさい」関係で頼るよすがは契約しかないのだ。公開研究会に出席していたサントリーパブリシティーサービスの担当者からは、「民間企業なら法的手段をとるだろう、またこのようなことがあったところでは民間企業は応募しないだろう」という意見があった。
実は県庁もこのことはわかっていて、指定管理者でも民間企業や民間企業とのジョイントのところは減額していないという。財団でも指定管理者として契約に縛られていることに変わりはないのだが、双方にその意識が希薄ということなのだろう。
さて、ここまでは公開研究会参加者の皆さんの共通認識だろう。研究会の後半の意見交換で、筆者は次のような意見を述べた。
「今は大学教員だが、民間企業の出身であり、元祖NPM(ニューパブリックマネージメント)の行政経営フォーラム副代表としては、文化政策業界では強面担当を自任しているのでその立場から意見を述べる。
先ほどから、指定管理者制度もあながち悪い側面ばかりではない、という意見が出ているが、いい点は協定の範囲で経営の自由度がある、ということだ。ご承知のようにホールの管理運営費用の80%以上はメンテナンス、清掃、警備などハードに関するものだ。指定管理者はこの部分で仕様を満たしさえすればさまざまな手段でコストを削減する自由がある。削減したコストで自主事業や顧客サービスの充実を図ることも自由だ。
そこでまず第一に指摘したいのが、指定管理者のうち88%は従来からの管理者が指定されている。その多くは自治体が設立した財団法人、社団法人だ。にもかかわらず各地で劇的にコストが下がった例が報告されている。同じ団体が指定管理者になっただけで3割4割コストが下がったのはなぜか?それは自治体からの出向者が帰ったからだ。出向者の賃金は財団の計上されていたので、帰れば劇的にコストは下がる。たとえプロパーに入れ替えたとしても、その差額は大きい。他のホールでは専門性の高いプロパー人材が年収300万円でがんばっている例もある。
先ほど指摘された出向のメリット(前回のエントリー参照)もわからないではないが、3年で転勤していく県庁職員ではなく、ホールに愛着を持った専門人材を雇用してしかも大幅にコストを下げることは考えないのか?その自由が指定管理者にはあるはずだ。
次に、指定管理者になった以上県設立の財団といえども、乾いた雑巾を絞るようなコスト削減努力をして、自立した、強い経営体をつくるべきだ。実際そのように自らを改革した文化財団の例もある。電力会社を切り変えて電気代を下げるとか、いろいろ工夫する余地がある(びわ湖では電力契約を見直して電気代を下げたとのことだが)。びわ湖がそうだとは言わないが、まだまだ甘い経営の財団が多いと言わざるを得ない。年間17憶の予算規模なら1億~1憶5千万円のコストダウンは人件費含めてできるはずだ。
民間企業の指定管理者なら当たり前のことにすぎないとはいえ、強くて柔軟な経営体質を自ら作り上げ、県と対峙すべきだと思うが、どうか?」
以上の強面の意見に座はしーんとしてしまったが、賛同者は多かったように思う。
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登録日:2008年 06月 03日 14:36:50
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- 団塊世代の会社員から、定年を1年半後にひかえ、大学教授に転職しました。肩書きは日本文化政策学会理事、行政経営フォーラム副代表、市民フォーラム21・NPOセンター常務理事などいろいろ。行政経営(NPM)、文化政策、アートマネージメント、NPO論、都市政策などを研究しています。
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