「大阪維新プログラム」へのコメント

文化政策学会の理事として、28日に大阪で開催される「文化・芸術・歴史と自治体文化政策」というシンポジウムに以下のような一文を寄せた。
このシンポジウムには橋下知事の文化・文化施設への冷遇?に危機感を持った文化施設・文化団体関係者が集まるらしい。
筆者は橋下知事は基本的にはよくやっていると思っている。文化を冷遇する代わるに道路を作るとか、文化予算を削って福祉に回すとかではなく、押し並べてすべて冷遇?する、というのだから筋が通っている。
しかしこの「大阪を圧倒的に特徴づける集中投資」の中身はいただけない。景観ライトアップだの大阪中がミュージアムだのというのは、目的と手段のピントがずれている。何がずれているかは以下の通り。
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「文化・芸術・歴史と自治体文化政策」に寄せて
~橋下知事の「大阪維新プログラム(案)」に欠けているもの
大阪維新プログラム(案)には、「大阪を輝かせる」と題して「大阪を圧倒的に特徴づける集中投資」という項目があります。
その内容は大きくわけると、
1.他都市を圧倒する景観等で人を引きつける大阪づくり
2.大阪経済の活性化・・・人と企業が集まる「儲かる産業都市を創造します」
の2点があげられています。
ここに決定的に欠けているのが「クリエイティビティ(創造性)」という視点です。
グローバル化が進む時代、先進資本主義国である日本は、付加価値の高い産業に特化せざるを得なくなっています。大阪府も例外ではありません。「儲かる」というのはそういうことです。リチャード・フロリダの著書を引くまでもなく、高い付加価値を生み出すのは人間の創造性です。フロリダの言う「創造的個人」が創造性を存分に発揮して高い付加価値を生み出し、産業をリードするのです。
それでは、「創造的個人」はどのような環境を好むのでしょうか。
例えばこの「大阪維新プログラム(案)」にあげられている「世界水準の創薬環境」や「最先端の医療の実現」を担う科学者、技術者、医師はどのような都市に魅力を感じるのでしょうか。
「創造的個人」は自らの創造性を高めるような刺激のある環境を好み、創造性を刺激する最大のものが多様な芸術・文化であることは、言うまでもありません。彼らが多様な芸術・文化に容易に、しかも深くアクセスできる環境を好むことは、世界の「創造都市」と言われる都市のあり様を見れば明らかです。
もちろん、彼らが享受する芸術・文化が全て他からの支援を必要とするということはありません。商業的に成り立つものもあるでしょうし、多数の愛好家の存在で成り立っているものもあるでしょう。しかし中には公的支出による支援を必要としている分野もあり、そのような分野も含めて多様性を確保しない限り、「創造的個人」にとって魅力的な都市にはならないのです。
確かに「圧倒的景観」で引きつけるのもいいでしょう。しかし大阪府の産業にとって本当に引きつける必要があるのは世界的なレベルのクリエイティブな人々です。その人々がここに住み、持続的に創造性を発揮できる環境が、このプランによって実現するでしょうか。
このプランは現代の高付加価値産業が必要としている創造性と「創造的個人」のことをほとんど理解していないと思わざるを得ません。このままでは橋下知事の目指す「人と企業が集まり儲かる都市」の実現は難しいのではないでしょうか。
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筆者は別に既存の文化施設や文化団体の既得権を守れと言っているのではない。また、芸術・文化の効用について安易に「外部性」を言うことはできないと思っている。経済波及効果は「創造性」「創造的個人」を通して発揮されるのであり、従ってそれを政策として選択するかどうかの問題である。橋下知事は「人と企業が集まる儲かる産業都市」と言っているので、それなら政策手段が違ってやしませんか?と指摘しているのだ。
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ライトアップで引きつけようなんて。世界のクリエイティブな人たちは蛾じゃないんだから・・
(写真は大阪府立図書館)
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登録日:2008年 06月 24日 19:25:53
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