授業最終回

4月に大学に転職してはじめて持った授業も今日がやっと最終回。
授業名は「社会的起業論」。今日の内容は「事業計画の発表」である。履修者5人のうち4人がなんとか今日の発表までこぎつけてくれた。
発表1は、中国内陸部の農村を軽便鉄道で結ぶ、というもの。発表者の留学生によれば内陸部の貧しい農村では、人口の多いところでもいまだに馬や牛の引く車で物資を運んでいる、とのこと。そこに建設費が安くてCO2も排出しない、昔日本にたくさん走っていた軌道幅の狭い軽便鉄道を建設して経済発展を促す、という計画。
鉄道用地の買収に莫大な費用がかかるのではないか?という他の学生からの質問に、中国はすべて国有地なので国が政策決定すれば無償で貸してくれる可能性がある、との回答。学生同士勉強になる議論だ。
発表2は、家庭から使用しない賞味期限切れの近い食品を安く買い取り、ホームレスや極貧者に販売することを通して、無駄に廃棄される食糧を減らしていこう、という事業。これを一人で身の回りでできる範囲からやっていく、という事業計画になっている。
他の学生からは、飲食店から金をとって使える食品を集めたらどうか、という意見や、食糧を回収して肥料にする、という案はどうか、という意見が出た。
発表3は、後発開発途上国にオリンピック、ワールドカップなどの大型イベントを誘致して国の発展のきっかけとする。そのためのインフラ整備なども日本企業に社会貢献の一環として無償で技術供与してもらう。このような誘致をコーディネートする事業をやりたい、というアイディアである。
他の学生からは、イベントでは効果が直接国民にいきわたらないのではないか、という意見が出た。それに対しては雇用創出効果など「外部性」がある、と反論していた。
発表4は、カンボジアなど貧しくて子供を学校に行かせずに働かせている地域で、子供を学校に来させて教育を受けさせるために、学校で子供を働かせて賃金を払う。それが職業教育にもなる。具体的には植林事業を学校で行う。費用は先進国のCO2排出権で賄う、というアイディアだ。この学生は短期間だがカンボジアにボランティアで行っているので実感があるのだろう。
学生からは、そのような事業はすでにあるのではないか?という質問があったが、学校で子供に賃金を払う、というスタイルは少なくとも植林事業ではたぶんないだろう。
どの発表も拙くて、とても外部にプレゼンテーションできるようなものではないが、筆者としては起業のアイディアを重視しているので、どの発表も合格である。
大人はすぐに政府・自治体がなんとかすべきだ、金を出すべきだ、という「べき論」になるが、学生は筆者の「収益事業の形をとりながら社会的課題を解決する」という命題を素直に受け止めて考えてくれた。
13回のはじめての授業が終わってまずはほっとしている。
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登録日:2008年 07月 10日 12:46:53
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- 団塊世代の会社員から、定年を1年半後にひかえ、大学教授に転職しました。肩書きは日本文化政策学会理事、行政経営フォーラム副代表、市民フォーラム21・NPOセンター常務理事などいろいろ。行政経営(NPM)、文化政策、アートマネージメント、NPO論、都市政策などを研究しています。
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