指定管理者社員研修

先週は指定管理者として複数の公立文化施設を運営しているサントリーパブリシティサービス株式会社パブリックビジネス事業部の社員研修に講師として招かれた。対象は同社が運営する文化ホール4施設と本社の自主事業担当者。筆者が行った研修の内容は以下の通り。
第1部 講座編
1.指定管理者制度の現状と公共ホールの今日的状況
2.指定管理者による自主事業の企画方法について
(1)企画とは何か
(2)誰が企画するのか
(3)企画のサイクル
(4)企画の方法
(5)企画の実現
昼食 休憩
第2部 ワーク編
1.個人ワーク~懸案の企画テーマをもとにコンセプトを考える
2.グループワーク~とりあげる企画テーマ選び、企画概要書を
作成する
3.発表とディスカッション
朝10時から16時半までの長丁場だが受講者の熱心な受講態度に支えられて(大学の授業とは大違い)充実した研修になった。
研修をやってみて気づいたことをランダムに書くと・・・
1.同じ会社が複数の施設を運営するメリットは確かにある。それは施設どうしの密接な交流によるノウハウ向上や人材育成ができることだ。同社では大型イベントの時に他施設に応援に行ったりして日頃からノウハウの交流に努めているとのこと。今回の研修でも同じ会社としての一体感から来る密度の高い本音の議論、協力姿勢が感じられた。これは公文協や地域創造の研修には見られないものである。今回、受講者をシャッフルしてグループワークをやったが、このような姿勢のおかげで非常に効果的だった。
2.同社では、それまで施設を管理していた財団の職員のうち希望者を社員として採用したケースがあるとのこと。その社員に話を聞いたが、同じ場所で同じ仕事をしていながら、現在の方が働き甲斐を感じているとのこと。財団時代と比べてセクショナリズムがなく、他の仕事にもどんどん口を出したり出されたりしてみんなで一つの目的に向かって努力する一体感があるそうだ。最初は「え、やってもいいんですか?」という言葉がつい出たが、いいと思うことはどんどんやる、ちがったら直せばいいという風土はやりがいがあるという。採用の時「今まであなたがやりたいと思ってできなかったことをやってください」と言われたそうだ。
3.筆者が研修で指摘したのが、「自治体は文化ホールだけでなく様々な文化イベントをやっている。民間企業の指定管理者が本当に企画力があるなら、他の仕事も文化ホールとしてどんどん請け負ったらどうか」ということ。例えば新空港の開港記念式典音楽イベントなど何も広告代理店に頼む必要はない。文化ホールとして企画提案すればいい。そうすれば地域らしいものができるし外部付加価値の取り込みもできる。これは企画を外部発注する直営館や財団ではできないが、自ら企画を制作する民間企業の指定管理者だからこそ可能なアイディアだ(できない民間企業ももちろんある)。
4.研修をやってみてあらためて感じたのが、やはり民間企業は現場主義だということだ。同社では役員、本部長も実によく現場を回っていて現場の瑣末な問題も把握している。また現場の社員の顔と名前もよく知っている。これは当たり前のことなのだが、直営や財団の時代、自治体の幹部はこれほど現場を掌握していただろうか。すべての元は現場にある。現場で顧客と接するところから戦略や方針が生まれる。もっと言えば意志決定も現場に根ざした即断即決になる。
公の施設の利用者は顧客か否か?という神学論争があるが、少なくとも現場主義による顧客満足度の向上が公の施設の効用を高めるのは間違いない事実だ。
感想はまだまだあるがとりあえずはこんなところか。
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登録日:2008年 08月 27日 15:53:05
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- 団塊世代の会社員から、定年を1年半後にひかえ、大学教授に転職しました。肩書きは日本文化政策学会理事、行政経営フォーラム副代表、市民フォーラム21・NPOセンター常務理事などいろいろ。行政経営(NPM)、文化政策、アートマネージメント、NPO論、都市政策などを研究しています。
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