シネマでオペラ

先週はご招待いただいたのでサントリーホール小ホールで行われた「UKオペラ@Cinema」のプレミアム上映会に行ってきた。
これはソニー(株)が展開するデジタルライブコンテンツ制作・配給サービス「LiveSpire」の一環で、オペラやミュージカルなど舞台芸術やスポーツをデジタルシネマ作品として配給し、映画館などの大スクリーンで見てもらおう、というもの。
http://www.livespire.jp
そのコンテンツのひとつがUKオペラで中身はクライドボーン音楽祭のヘンデル「ジュリオ・チェザーレ」とフンパーディンク「ヘンゼルとグレーテル」、そしてロイヤル・オペラ・ハウスのモーツアルト「フィガロの結婚」とビゼー「カルメン」の四本である。
私が見たのは大野和士指揮「ヘンゼルとグレーテル」。日本では12月の風物詩は第九だがヨーロッパではこのオペラが各地で演奏される。グリム童話に題材をとった、とてもポピュラーな演目である。
このクライドボーンではロラン・ペリの演出でなんとお菓子の家がスーパーマーケット!棚にぎっしりお菓子の袋や箱が並んでいる。そして太ったおじさんのテノール扮する魔女が正体を現すところでは、女装のかつらがとれてぱらぱら毛の生えたはげ頭が現れるという不気味さ。見た子供がうなされること間違いなし。ともすれば子供向きのメルヘンと思われがちなこのオペラをたっぷり毒のある風刺劇に仕立てたのはさすが。
音楽は指揮者大野和士のクライドボーンデビューでオケはロンドンフィル。これも素晴らしい演奏だ。ということでオペラとしてはとても楽しめた。
さて、問題はオペラなどの実演芸術をスクリーンで見る、ということをどう評価するかだ。
オペラファンから見れば、歌手が歌っている位置から音が聞こえてこない、とかカメラワークで視野が制限される、とかいくらでも文句はあるだろう。
これを見るのならオペラではなくそれを題材とした映像だ、と割り切る必要がある。そう考えれば映画と同じように字幕が出てくるのはとても便利だし、カメラワークも単なる記録映像ではなく(単に舞台を固定カメラで遠くから撮っているのではない)、映画としてよく考えられている。画質もよい。私のような素人には本物を見るよりもよく理解できて楽しめる。
音声には拍手も収録されている。終わったときカーテンコールに合わせて鳴る音声の拍手と一緒に拍手していいのかどうか、戸惑いがちに拍手が起こったのがおもしろかった。映画と一緒で実演でなくても面白ければ遠慮なく拍手すればいいのに。
めったに本物が上映されない演目や、前衛的で賛否両論ある演出を、どんなもんだろう、と見に行くにはぴったりだし、本物は見たことないけどオペラってどんなもんだろう、と試しに見に行くにもぴったりだ。実演でなく映像、ということはふんぞり返ってポップコーンでも食べながら気軽に見れる、ということだ。(日本で上演される)本物のオペラの客席の独特の緊張感やマニアックかつセレブな雰囲気がきらいな私としては、楽しめる娯楽ができたものである。ただ、当たり前だが、コンテンツは厳選した、メジャーでなくてもレベルの高い本ものをそろえてもらいたい。
「全国の映画館にて順次公開」ということなので期待したい。
なお、11月2日、大野和士さんがNHKの情熱大陸に出演する。それを見て大野さんに興味を持った人にとって大野さんの振ったオペラを身近に見るチャンスがこの映像だ。ご本人も最後のカーテンコールではちゃんと現れる。
カテゴリー[ これを見た ], コメント[2], トラックバック[0]
登録日:2008年 10月 27日 21:34:54
コメント
昨日は生涯審に御出席いただきありがとうございました。
日系人のかたがたが社会の中で自己実現できる道筋をどうつけていくかがこれからの課題ですね。
今後ともよろしくお願いします。
ぜひカテゴリーに「多文化共生」を
SHIBA @ 2008年 10月 28日 23:22:26
SHIBAさん、生涯審はSHIBAさんのおかげでこの手の会議にはめずらしいほど充実した議論ができていると思います。あとはいかにして県のアジェンダに取り上げさせるかですね。リクエストにお応えして多文化共生のカテゴリーを立てます。ぜひコメントを記入してください。
himori @ 2008年 10月 28日 23:46:17
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