カテゴリー [文化政策]

ここが変だよ指定管理者~びわ湖ホールの怪

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最近さわがしい滋賀県のびわ湖ホール。1998年に開館したオペラを主体にした県立の劇場だ。

京都新聞で「自民党県議団が県の福祉予算減額に対して、びわ湖ホールを半年間閉鎖してその後民間事業者に任せ、4億円を浮かして福祉に投入する提案を検討している」と報じられ、それに対して文化の火を守れ!というような趣旨で「びわ湖ホールを応援する会」が発足し、署名運動が起こっている。

びわ湖ホールを応援する会
http://biwako.e-message.jp/

結局4億円の話はうそで、運営費を1億円減らして福祉に1億円回せ、という話になっているらしい。いかにももっともらしいポピュリズム(大衆迎合主義)の言説で、県民がこんな程度で喜ぶと思うのもばかにした話だ。しかしこれをどう判断するかは県民の問題だ。

しかし、このホールは指定管理者制度のもとで財団法人びわ湖ホールが指定管理者になっているがそこに実は大問題が起こっている。

このホールは5年間の指定で、債務負担行為により5年間55億円(年11億円)の管理費支出を前提に協定(契約)が結ばれているそうだ。これはこのホールが目的とするオペラなどの制作は長期にわたるため妥当な方法だ。ところがその後県の財政再建計画のもと、指定管理者は昨年秋に管理費の削減を飲まされているという。平成20年度は管理費11億円支給のはずが1億1千万円減額されたようだ。既に事業計画は決まっているので財団は自らの基金を取り崩して穴埋めするらしい(自民党県議団はここからさらに減らせと言っている)。

わかりやすく言えば、県(行政府と議会)が契約違反を行い、指定管理者が自腹を切っているのだ。契約を守らないというのは法治国家の根幹を揺るがすものだ。法律は契約当事者双方に契約の履行を迫っている。法にもとづく契約の履行は行政の裁量や議会の議決よりも上位にある。法は自治体の行為も規制している。このような契約違反がまかり通るのでは法治国家は成り立たない。

県と財団にこのような認識がないことが問題だ。契約の当事者は契約に縛られるという点において対等であり、財団はもともと県が設置したものだとか管轄下にあるということは指定管理者の契約の上では関係ない話だ。財団は県を相手に訴訟を起こすべきだ。

筆者がかねてから指定管理者と発注者は「水くさい」関係にある、というのはこういうことなのだが。

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登録日:2008年 03月 15日 11:23:07

絵本カーニバル会場

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絵本カーニバルの雰囲気はこんな感じ。

中心市街地のはずれにあるこの会場は昭和5年に建てられ、現在は登録有形文化財になっている。建造時そのままのレトロな空間に、色鮮やかな、アート性・デザイン性の高い絵本がよくマッチしていると思う。そのためにディスプレイや照明など細かいところまでしっかり見せ方を考えて作っている。

大人も楽しめるように普段は夜七時、金、土は夜九時までやっているが、以外に夜のお客さんが多い。

地方都市でもこんな雰囲気が求められていたのだと実感できる。中心市街地の活性化も商店街の振興が能ではないのだ。

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登録日:2008年 01月 28日 23:39:21

学会司会デビュー

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土曜日曜二日間は、理事をしている日本文化政策学会の第一回年次研究大会があった。

筆者は学会の分科会ではじめての司会デビュー。筆者は学会発表というものはしたことがないのに、先に司会デビューとなってしまった。といっても京都橘大学の中谷先生との共同司会なので安心だ。

司会した分科会のテーマは「芸術支援の諸課題」

発表は以下の二人。

「芸術政策の逆進性と消費者補助金の可能性」
田中鮎夢(京都大学大学院)

「クラシック音楽家と社会との関わりから生まれる、新しいキャリア形成の可能性ー公共ホール音楽活性化事業を例に
井原三保(跡見学園女子大学大学院)

二人ともまだ十分こなれていないが、なかなか興味深いテーマだったと思う。会場からの突っ込みに助け舟を出したり、若い人の研究発表にアドバイスするのは面白い。

二日間の学会は大変充実した内容で刺激になった。文化政策の本質に迫る内容で、率直に言えば文化事業担当者は置いてきぼりにされるだろうが、それだけ研究も進歩してるのだと思う。

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登録日:2007年 12月 02日 23:22:39

文化資源によるまちづくり

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一昨日はある町のJC(青年会議所)例会で表記の講演を行った。
JC例会ではJC歌の斉唱や綱領の唱和があり、なかなか興味深い。

JCは会員は20歳から40歳まで、役員は1年交代というルールがあり、社会貢献がミッションなので様々な社会活動に取り組んでいるが、なにしろ若いのでみんな元気がいい。

講演はまちづくりセンター長と二人で一人30分の持ち時間だったので、さわりしか話すことができなかったが、内容は以下の通りだ。事例は一部を除き筆者が直接見聞きしたことである。

1.文化とは?文化資源とは?

□文化とは
□文化資源とは
 
2.文化資源によるまちづくりの方法
(まちづくりの目標は何かを明確にし、その上で適切な文化資源の選択と生かす方法を考えねばならない)

まちづくり目標     文化資源による方法        事例
□景観・住環境            ・歴史的街並みの復活            ①
                     ・個人住宅の力                 ②
                     ・商店の文化資源化              ③、④
□コミュニティの再生        ・伝統芸能の維持・復活            ⑤
                     ・登録有形文化財活用            ⑥
                     ・アーティストと子ども             ⑦
□経済の活性化・集客       ・文化施設の建設                ⑧
                     ・集客イベントの開催              ⑨
                     ・伝統産業の再生          ⑩

3.歴史的町並みの復活~事例①(岡部町)

4.個人住宅の力~事例②(オープンガーデン)

5.商店の文化資源化~事例③(地元フランス雑貨の店)
事例④(地元オーガニックカフェ)         

6.伝統芸能の維持・復活~事例④(長浜曳山祭)

7.登録有形文化財の活用~事例⑤(エンバーソン邸)

8.文化資源としてのアーティストと子ども~事例⑥(地元アーティストとNPO)

9.文化施設の建設(新たな資源創出)~事例⑦(ビルバオ)

10.集客イベントの開催~事例⑧(定禅寺)

11.伝統産業の再生~事例⑨(遠州縞)

12.文化資源をまちづくりに活かそう!

□地域の文化資源を発掘・発見しよう!
  歴史、伝承、景観、建造物、産業、商店、芸能、
  芸術そして人材
□プロデューサー人材を育成しよう!
 自分がプロデューサーになろう
 文化資源をプロデュースしよう
□まちづくりは人が繋がること~だから文化は有効

文化資源によるまちづくりは筆者として今後さらに追及していきたいテーマである。
  

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登録日:2007年 10月 19日 00:44:18

文化政策学会研究大会

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もう10月中旬だが、本郷の東大の銀杏並木はまだ青々としている。

今日は東大で日本文化政策学会の理事会があった。
主な議題は12月1日2日に東大で行われる研究大会のこと。

このような新しい学会のいいところは、社会科学系の伝統と権威のある学会と違い、現実に起こっている動きに学会として敏速に対応し、問題を提起しようとすることで、今回も急遽セッションをひとつ追加することが決まった。

伝統ある社会科学では、現象が落ち着いてからでないと研究対象としてはならない、という風潮があるが、政策学では起こっている問題に対してリアルタイムでの提言や課題抽出が求められていると思う。

研究大会はどなたでも参加できるので、興味のある方は下記のURLをご覧ください。
http://home.att.ne.jp/gold/katayama/cp/cphome1.html

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登録日:2007年 10月 14日 21:57:26

千代田図書館に見る創造者へのリスペクト

行政経営フォーラム向けの千代田図書館見学ツアーに参加した。

この図書館は今年5月に開館したばかりで、民間企業が指定管理者として運営している。
非常にユニークなサービスを展開しているので、機会があればのぞいてみてほしい。
http://www.library.chiyoda.tokyo.jp

以下に行政経営フォーラムのMLに投稿した筆者の感想を転載する。

「さて、感想第一弾ですが、まず私が感銘を受けたのは、「新刊のベストセラー本は1部しか置かない。購入希望本は吟味して決める」という点です。

この方針は千代田区側ではなく指定管理者側から提案したとのことです。一人当たり貸出数などの数字を上げたければ、ベストセラー本を大量にそろえれば簡単です。それをあえてしていない。

私の友人である作家さんから、いつも公立図書館の悪口を聞かされていました。無料の貸し本屋化していて創造者をリスペクトする気持ちがない、というのです。

つまり、これは多くの自治体の文化政策に共通することですが、芸術文化を生み出す創造者は、それによって生活しているにもかかわらず、時として自治体は市民要望の名のもとに、あるいは公平性の名のもとに、それを妨害することがあります。もし創造者が創造に全身全霊を打ち込んでも生活できるようでなければ、どうして優れた作品が生まれるでしょうか。

市民が要望するからと言って、自治体の図書館がベストセラー本を多数そろえることは、ただでさえ活字離れで経営が苦しい芸術文化産業としての出版社の足を引っ張り、作家の活躍の場を狭めます。これに類したことが、他の芸術文化の分野にもあります。

千代田図書館において指定管理者がそれを指摘してベストセラー本は1部のみという方針を打ち出し、利用者からの要望があるにも関わらず千代田区側がそれを了承しているのは、すばらしいことだと思いました。」

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登録日:2007年 08月 27日 00:47:27

ジャパン・クールの源流をさぐる:その3

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画像は大友克洋作「AKIRA」

ブレードランナーが公開されて5ヵ月後、ジャパン・クールの旗手と言われる漫画家で映像作家の大友克洋によるコミック「AKIRA」の連載が始まった。両方を同時代にリアルタイムで見た筆者には、「AKIRA」はブレードランナーの影響が色濃く感じられた。

その後シド・ミードは80年代の東京で様々な仕事をし、日本のクリエーターに更に影響を与えることになる。六本木にあり、シャンデリアの落下という不幸な事故を起こしたディスコ「トゥーリア」のデザインもシド・ミードだった。
ジャパン・クールとの直接の関係では、機動戦士ガンダムシリーズのひとつ、ターンAガンダムのキャラクターデザインも有名である。

このように、ジャパン・クールは、日本の社会とテクノロジーの影響を受けた欧米のSF・映像作家の普遍性のある作品に影響を受けた日本人のクリエーターによって生み出されたのである。それは、そのような日本社会にどっぷり浸かりながら欧米の作家の影響を受ける優位性である。

欧米の作家に見出された日本の驚異とは、単にテクノロジーと伝統的社会の並存だけではない。テクノロジーが生活の隅々にまで行き渡っていることが驚異だったのだ。
ハイテクがまず軍事に応用される欧米と異なり、日本ではハイテクはすぐに民生用に使われ、大量生産でコストが下がってさらに普及する。
しゃべる自動販売機など日本人にとって当たり前のものが、驚異なのだ。例えばパチンコは高度なハイテク機器である(弊社の音源半導体も使われている)。そこに欧米人は未来社会の姿を見る。

だから、ジャパン・クールのクールとは決してスマートで洗練されたものではない。いかがわしさ、猥雑さを含むアジア的混沌と、日常生活に浸透する高度なテクノロジーが、欧米の文化にないクールなのだ。

例えば、もし秋葉原の再開発がこぎれいなオフィスビルが生まれただけだったら、海外から見向きもされなくなっていただろう。そこに生まれたメイド喫茶こそが、秋葉原の救世主なのだ。

このような欧米の価値観を土台として生まれてくる日本人の作品が重要だ。だから本日の日本経済新聞「今を読み解く」欄の記事「自由が生んだジャパン・クール」と「停滞の突破口は交流」はとても重要な指摘だ。

もし、政府が文化政策としてジャパン・クールを振興したい、あるいはファンドビジネスがジャパン・クールに投資して利益を得たいのなら、この記事の指摘にある「表現や規範の自由」が重要なコンセプトである。リュック・ベッソン監督のSF映画「フィフス・エレメント」(1995年)に登場する、ちょうちんをぶらさげ自在に空中を飛び回るうどん屋の屋台のような自由さが、私たちの社会に必要だ。

この日経の記事では「日本の作り手の独創性は停滞期に入った」と指摘されているが、そのような自由で融通無碍な社会が持続すれば、欧米の作家を再び刺激し、そこから生まれた作品が日本人クリエーターに影響を与えて、元祖ジャパン・クールを再び生み出すだろう。

そのような社会は、誰かの言う「美しい国」の対極をなすものであると筆者には思われる。
・・・・・・・・
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登録日:2007年 07月 22日 21:56:41

ジャパン・クールの源流をさぐる:その2

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画像は映画「ブレードランナー」

ジャパン・クールの源流は欧米のSF作家の日本観にもとづくSF小説の中にある。
このことを示しているいくつかの作品を紹介しよう。

1.フィリップ・K・ディック「高い城の男」(1962年)

映画トータル・リコール、マイノリティー・レポートなどの原作者として知られるディックの最高傑作のひとつと言われる作品。第二次世界大戦に枢軸国が勝利し、アメリカの東半分をドイツ、西半分を日本が占領し、統治している世界で、日本統治下のサンフランシスコを舞台に様々な謎が展開する。礼儀正しく、哲学的で神秘的な日本人が描かれる。

彼が考える日本人の神秘性・精神性は作品を通して日本人のクリエーターに影響を与え、ジャパン・クールの源流のひとつになっていると思われる。

2.イアン・ワトソン「銀座の恋の物語」(1973-74年)

前述のワトソンの作品。西暦2000年(この作品にとって26年後の近未来)の日本、ホステスが、高性能コンピュータ「暗示性魔法・和合機械」によって、客が望む通りの人格になって接客する銀座のクラブ「女王蜂」を舞台にした、切ないラブ・ストーリー。

高度なテクノロジーがホステスの接客という娯楽に惜しげもなく使われる、という物語を生み出したワトスンの日本観が、他のSF作家の日本観に影響を与えたと思われる。また、テクノロジーによる精神へ直接的な介入や改造は、ディックとも共通する要素であり、これもジャパン・クールの源流のひとつになっていると思われる。

3.ウィリアム・ギブスン「クローム襲撃」(1982年)、「ニューロマンサー」(1984年)

サイバースペース(電脳空間)という造語を発明した「サーバーパンクSF」の旗手ギブスン。人間が脳に電極を接続してコンピュータを介してサイバースペース(今で言うバーチャルリアリティーの世界)に直接プラグインするアイディアは、ここに始まっている。

サイバーパンクの世界観は、犯罪の渦巻く退廃した社会と高度なテクノロジーだが、その舞台にしばしばなったのが日本だ。ニューロマンサーの舞台は、「ハイテクと汚濁の街」チバ・シティである。映画「マトリックス」や前述の「攻殻機動隊」などギブスンに直接影響を受けたSF、映画、コミック、アニメは内外問わず数知れないが、ギブスン自身は日本のテクノロジーと社会に強い関心を抱いており、作品にはチバだけでなく日本的なものが数多く登場する。

日本社会に刺激を受けたギブスンが、その世界観で逆に日本人のクリエーターに影響を与える、というジャパン・クールの源流が見て取れる。

4.映画「ブレードランナー」(1982年)、原作フィリップ・K・ディック「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」(1968年)

リドリー・スコット監督、ハリソン・フォード主演のこの映画こそ、SF映画の最高傑作としてカルト的人気を誇り、世界中のクリエーターに大きな影響を与えた作品である。小説、映画、コミック、アニメなどにブレードランナー以前・以後という区別があるほどだ。

2019年のロサンゼルスを舞台とするこの映画の美術を担当したアメリカ人デザイナー、シド・ミードの提示した世界観、未来像が、日本人のクリエーターにも影響を与え、ジャパン・クールの直接的な源流になったことは、この世界では広く知られている事実である。

聳え立つ高層ビルや高度な、そして奇妙なテクノロジーと、降り注ぐ酸性雨に煙る暗い世界、アジア的混沌や非西欧文明との融合などのペシミスティックな未来社会像は、その後の様々な作品における未来社会像の「グローバルスタンダード」になる。

この映画では随所に日本語が飛び交い(有名な冒頭シーン、屋台でのハリソン・フォードとスシ・マスターの会話など)、怪しげな日本人や日本的な巨大ビジョンなどのハイテク物が出てくる。そのヒントが現実の日本社会にあることは見れば明らかで、シド・ミードが日本に大きな影響を受けていることがわかる。

続く

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登録日:2007年 07月 22日 15:56:05

ジャパン・クールの源流をさぐる:その1

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画像はジャパン・クールの代表「攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL(海外作品名)」 士郎正宗作 アニメ監督押井守」

昨日は県文化政策審議会に委員として出席した。詳しくは別途述べるとして、議論の中で出た「ジャパン・クール」について考えてみたい。

今年2月に発表された文化審議会の答申「文化芸術の振興に関する基本的な方針の見直しについて」の中にこんな一節がある。

「日本文化の発信及び国際交流の推進:-略―現代の文化芸術創造活動を積極的に海外に発信し、アジアをはじめとする海外の文化芸術振興に資するように、国際文化交流の施策を検討していくことが必要である。その際には、アニメ、マンガ、音楽等の「ジャパン・クール」と呼ばれる分野も文化発信の上で重要な役割を担っており、メディア芸術などの新しい文化芸術の国際的な拠点を形成することも検討する必要がある。」

この表現では、あたかもジャパン・クールが、日本で、日本人の手によって独自に生み出され、それを世界に発信していかねばならない、というように受け取れる。しかしそれは間違いだ。

ジャパン・クールは、それが日本人の手によって創造され、ダグラス・マグレイによって紹介される以前に、既に欧米人によって発見されていたのである。欧米人によって発見された日本の姿、日本の捉え方が、日本人のクリエーターに影響を与え、ジャパン・クールが創造された、というのが筆者の説だ

欧米人によって発見された日本の姿、日本の捉え方とはなにか。それは自分たちの物だと考えていた高度なテクノロジー、自分たちの歴史や文化を背景にしてしか身につかないと思われていた科学技術が、それとは異なる文化的背景を持つ日本で消化され、発展し、しかもそれが伝統文化やアジア的混沌と両立していることの衝撃だ。それは彼らの思想、価値観を揺さぶるものだった。

そのあたりの欧米人の感覚を、イギリスのSF作家イアン・ワトスンの言葉から見てみよう。1943年に生まれたワトスンは1967年から1970年まで日本に滞在し、滞在中にSFを書き始めた。

「日本で暮らしてみて、SFを書くべきだとさとったんだ。まさに21世紀的な環境だったからね。ありとあらゆる娯楽やからくりがそこらじゅうに氾濫し、得体の知れない未来的なものと伝統的な文化とが、おかしなくらいごちゃごちゃにまじりあっている。が、同時にそこはディザスター・エリアであった。高層ビルの林立する大地は地震でゆさぶられ、耐震構造でない新築ビルの壁にはひびわれが走っている。テクノロジーの爆弾が日常くまなく浸透していたーコインを入れるとテレビの映るタクシーとかね。」(以下略:大森望・他訳、「イアン・ワトスン傑作集スロー・バード」早川文庫、訳者あとがきより引用)

ワトスンが書いている時代には、まだジャパン・クールとして海外で評価される日本の作品(アニメやマンガなど)は生み出されていなかったことに注目してほしい。

筆者は小説はあまり読まないのだが、SF小説だけは昔から読んでいる。そして、ワトスンだけでなく、多くの欧米のSF作家の作品の中に、ジャパン・クールの源流を見て取ることができる。

次の記事で、そのいくつかの作家と作品を紹介しよう。

続く・・・

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登録日:2007年 07月 20日 01:30:55

文化政策学会発足

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昨日は日本文化政策学会の発足総会があり、筆者も理事の一人として参加した。
(写真は発足総会で講演する青木文化庁長官)

この分野の学会としては、今まで文化経済学会<日本>やアートマネージメント学会があったが、様々な学問分野から参加できる場としてはいまひとつぴったりしない感があり、今回の新しい学会の設立となった。

もちろん文化政策が国や自治体の占有物ではなく、政策連携の時代であることを共通認識としての今回の学会の発足である。

行動する学会、開かれた学会を目指しており研究者だけでなく自治体や企業、NPOからも多くの方々の参加を望みたい。

興味のある方は下記URLをご覧ください。
http://home.att.ne.jp/gold/katayama/cp/cphome1.html

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登録日:2007年 07月 01日 18:49:28

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プロフィール
Ryuichi Himori
(男)
団塊世代の会社員から、定年を1年半後にひかえ、大学教員に転職しました。その他行政経営フォーラム副代表、市民フォーラム21・NPOセンター常務理事、県生涯学習審議会委員、県NPOパートナーシップ会議委員などを務めています。行政への企業経営手法の導入や、文化政策、地域政策、NPO論などを研究しています。
というような立場を離れて、勝手なことを書かせていただきます。
(なお、mixiもやってます。)
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