カテゴリー [指定管理者制度]
指定管理者制度とガバナンス
今日は朝一から公益財団法人某市文化振興財団の評議員選定委員会。
もちろんシャンシャン委員会なのでものの15分で終わったが、研究者の観点からまったく問題がないわけではない。
一つの問題は、新たな評議員候補に市の副市長が入っていることだ。
この財団法人は市の文化施設の指定管理者になっている。つまり副市長は発注者側の役職者だ。一方で公益財団法人の評議員会は最高意志決定機関である(理事会は執行機関である)。
市は協定書、業務仕様書とモニタリングで指定管理者としての財団を統制する。
一方評議員会は最高意思決定機関として理事会を通して財団を統制する。
そして少し考えればわかるように、この二つは利益相反を起こす可能性があるのだ。
例えば、もし指定管理者の選定が公募で行われる場合、副市長は公正に選定を行わねばならず、一方財団評議員の立場としては、財団が指定管理者に選ばれるように理事会に努力を促さねばならない。
つまり指定管理者のガバナンスと、公益財団法人のガバナンスはまったく異なる流れなのである。
もうひとつの問題は、もう一人の評議員候補者が市会議員であることだ。もちろん、通常は市が出資して設立した公益財団法人の評議員に市会議員がなることに問題はない。しかし指定管理者ということになると、議会はこの財団が指定管理者になるときには議決をしなければならない。この、ガバナンスの混交は、何も問題がなければ表面化しないが、何か問題が起こった場合にはややこしいことになる。
現在、多くの地方自治体では、ガバナンスの理解、指定管理者制度の理解、公益財団法人の理解が不十分な場合が多い。
6月14日日経朝刊の経済教室欄で、京都大学の待鳥教授が「委任と責任の連鎖」について書いていた。地方自治においても、このことをもっと真剣に考えてみるべきだろう。
もちろん筆者は大人なので、朝の委員会のようなセレモニーの場で問題提起することはない。しかしもっと実質的で有効な場所では、研究者としてアドバイスをしなければならないと思っている。
・・・・
以下に解説を追加しました。
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登録日:2011年 06月 15日 10:16:49
社団法人指定管理者協会発足
社団法人指定管理者協会が発足し、第一回理事会が行われた。
今までの任意団体指定管理者協議会が法人化したもので、指定管理者事業を行っている企業・団体の集まりだ。
法人化にあたって理事長には中立的立場の人を、という要請により筆者が就任した。筆者が理事長職を引き受けたのは、会員各社の社長さんたちが「公共を担う」という意識を持ち、業界圧力団体ではなく自分たち自身改める必要があれば改め向上しよう、という考えを持っているからだ。そうでなければ筆者がやる必要はない。
理事会終了後の懇談の中でも出たが、「アウトソーシングが官製ワーキングプアを生み出している」という批判の中で、いずれ協会としても雇用の問題に何らかの手を打たねばならないだろう、というのが筆者の個人的考えである。
もちろん有期という制度の性格上施設職員を正社員とすることは経営上難しい。しかし各社とも職員としての人材育成は行っているので、経験が評価され転職が容易になるシステムを考える必要がある。そうすればキャリアがステップアップするチャンスもあるし、優秀な人材を求める企業にとってもプラスになるはずだ。
このような課題も含めて指定管理者制度の様々な課題の解決に協会として取り組むことは、筆者としても研究者の実践として意味があると思っている。
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登録日:2011年 02月 23日 17:16:00
みたび研修
先日はサントリーパブリシティサービス株式会社の企画担当者研修の講師。これで3回目になる。
指定管理者制度ができた当時、芸術文化は営利企業にはなじまない、だから営利企業に文化ホールの運営はできない、という話があちこちで言われて(これは文化ホールだけでなく様々な公共施設にすべてこういう話が出たのだが)制度に対する無知にあきれたものだった。中には、営利企業に任せると客が入って儲かりそうな事業ばかりやる(そんな事業があったら教えてほしいが)というとんでもない誤解もあった。
今さら誤解している人はいないと思うが、念のため説明しておくと、指定管理者制度は公共サービスを提供する義務のある自治体が、それを自らは実施せずに民間企業から購入して提供することである。
文化ホールの管理運営という公共サービスを民間企業が実施し、自治体は購入すなわち管理料を民間企業に払うのである。民間企業がどんな管理をするか、どんな事業をするかは自治体との協定や仕様書で細かく決められていて民間企業はそれを履行しなければならない。例えば地域の芸術家の支援のための事業をせよと決められていれば、民間企業はそれをやらなければならない。民間企業がどこで儲けるのかといえば、自治体から払われる管理料と実際にかかるコストの差で儲けるのである。
これは自治体のゴミ収集と同じ理屈である。ゴミ収集の義務を負っているのは自治体だが、自治体は民間事業者に委託発注している。何日に何台の車でどこを回るかは細かく決められているので「会社の儲けのために回数を減らしました」というようなことはできない。
民間事業者は自治体からもらう委託料から実際にかかった経費を引いた差額から利益を出す。もちろんやらなければならないことはきちんとやりながらいかに経費を抑えるかは民間企業の腕の見せ所である。それとも、ゴミ収集は公共の大事な仕事であり、公務員にしか任せられない、とでもいうのだろうか。
民間企業が利益を出しながら文化ホールの管理運営やゴミ収集ができるものだろうか。利益を含んだら民間企業の方が高くなってしまうのではないか、という意見もあるかもしれないが、そんなことはない。それは仕事のやりかたが効率的ということもあるが、何よりも人件費が違う。例の阿久根市の市民の平均所得200万に対して700万以上の市役所職員が54%、というのはどこも似たようなもので、人件費の差だけでも経費は大幅に下がるのである(しかも多くの場合サービスは向上している)。
さて、文化ホールの運営には専門性が必要とされている。その点では転勤で人が変わる自治体直営館は分が悪い。今回の研修に集まった企画担当者の前職はサントリーグループ社員の他に音楽事務所社員やオーケストラ事務局職員、民間ホール経験者、アートNPO出身者、他自治体の文化財団職員などいずれ劣らぬキャリアの持ち主であり、自治体ではこのような専門家を雇用することはできないだろう。もちろん社員になった以上企業理念と目標を共有している、モチベーションの高い集団である。
今回、筆者はこのように話した。「今まで長い間文化ホールは先進事例に学ぶと称してお互いに真似してきた。その結果どこも似たり寄ったり五十歩百歩になってしまった。民間企業は今更そんなものを学ぶ必要はない。あくまでも地域のための独自の企画を考えるべきだ。独自性がなければわざわざ民間企業に指定管理者を頼む必要はない」
もちろん、会社内部で学び合うことは必要で、ノウハウの交換は公立文化施設協会の研修の比ではないほど濃密にできる。しかし、その上で地域の独自性を発揮することが大切なのである(民間企業の研修なのでこれ以上詳しく書くことはできない)。
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登録日:2011年 01月 29日 00:10:00
博物館の指定管理者
昨日は指定管理者のヒアリングで山梨県立美術館へ。
問題は民間企業に博物館法で「機関」とされている博物館(美術館、動物園など)の指定管理者ができるかどうか、ということではなく、行政=首長、議員、行政職員が博物館に対してどれくらい理解があるかだ、ということを実感。
詳しくは「博物館研究」に書く予定。
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登録日:2010年 08月 14日 09:24:26
現場に真実がある

私事で恐縮だが、筆者の家内は浜名湖ガーデンパークで運営ボランティアをしている。
ここは2004年に浜名湖花博の会場になったところで、その翌年に県営公園としてオープンした。その当時から浜名湖ガーデンパークフレンズというボランティア組織があり、250名ほどが登録されているが、家内もそのメンバーである。
さて、それまで県直営だったここは4月1日より地元の私鉄遠州鉄道を代表とする指定管理者に移行した。
家内によると、指定管理になってから、ボランティアに対する対応に雲泥の差があるという。何かの時の対応が打てば響くようになったそうだ。
家内によれば「ボランティアに対する気配りが違う。それまで廊下でやっていたボランティアの朝礼を会議室でやるようになったり、熱中症予防の塩飴が置いてあったり、その他細々とした気配りがある」とのこと。
ボランティアには2000円を限度に交通費の実費が支給されるが、家内の場合は420円、これが県のときは振込でしかもいちいち振込案内の葉書がきていたのを、現金支給になった。それが写真の封筒に入っているのだが、家内は主婦なので当然お金を抜いて封筒を返す(もったいないので)。返された名前入り封筒はとっておかれ、次の回にも使用する。これは主婦感覚として違和感のない、当然のことである。
現場のボランティアの主婦にとって違和感が無くなること、これが指定管理者の真実(のひとつ)である。
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登録日:2010年 08月 11日 00:37:12
指定管理者協議会セミナー
木曜日は指定管理者協議会セミナーに出席。
第Ⅰ部 「指定管理者制度の導入に関する調査報告」
総務省自治行政局行政課課長補佐 湯山壮一郎氏
第二部 「図書館・博物館への指定管理者制度導入に関する調査研究報告」
株式会社三菱総合研究所地域経営研究本部 西松照生氏
第三部 ラウンドテーブル
筆者は急きょラウンドテーブルに参加することになった。
参加者は民間企業4社に協議会事務局長、西松氏、筆者。コーディネーターはサントリーパブリシティーサービスの大村さん。テーマはモニタリング、評価について。
民間企業4社からは現場で実際に起こっているモニタリングの問題点や評価に(主にシステム、制度上の)対する不満が語られた。
それは大変重要なことなのだが、そのままでは愚痴の言い合いに終わってしまうので、筆者がまとめ的に話したのは以下の3点。
1.行政と民間企業では基準が違う。例えばA、B、C、D、Eで評価する場合、行政の感覚は決められたことを決められた通りやればA。あとは減点制。民間企業の感覚は決められたことを決められた通りやるだけではC。110%達成してB、150%でAという感じ。このすり合わせをきちんとやらないと、セルフモニタリングの結果を行政が見誤ることになる。
2.決定権者は選挙で選ばれた市長・議会であり、行政職員ではない。市長・議会は施設の利用者だけでなく、市民・納税者の意向を気にする。指定管理者がいくら利用者満足度を追求してもそれだけでは決定権者にアピールしない。利用しない市民・納税者(そちらの方が圧倒的多数派)に働き掛け支持を得ることをしないと、決定権者に一生懸命やっていることが届かない。
3.いくら待っても行政から施設の目的・目標は明確に示されない。指定管理者が地域のマーケティングをして市民のニーズを把握し、それにこたえなければならない。そうしないと厳しい財政事情のもとでいくら利用者満足度を高めても、施設の廃止・転用が決まる可能性がある。地域における施設の必要性は指定管理者が自ら証明しなければならない。そうしないと指定管理の仕事が施設とともに無くなってしまう。
指定管理者がここまでやらなければならない、ということはやはり「新しい公共な」のだろうか?ともあれ全国70,022施設が指定管理者制度で運営されている現実がある。
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登録日:2010年 03月 20日 00:37:17
指定管理者社員研修再び
昨年に引き続き複数の文化施設の指定管理者となっているサントリーパブリシティーサービス株式会社の事業担当者研修の講師をした。
内容は昨年とほぼ同じだが、今年は昨年より人数が増えていてしかも約半数は今年はじめての参加者だ。また本社スタッフや図書館、美術館など公演事業を行わない施設の担当者も含まれる。
そこで、今年の企画グループワークはできるだけ種類や経験の異なる担当者がばらけるようなグルーピングをしてもらった。
このグループワークは、まずひとりひとりが自分の施設の課題を解決する企画のコンセプトを考え、それをグループ内で発表し、グループディスカッションでひとつに絞り、みんなで企画概要書を作り上げる、というもの。今年は合わせて予算の概要書も作ってもらった。なんにつけ、財源が必要なのは政治だけではない。
できあがった企画はスキャナーで取り込んでプロジェクターで映しながらグループごとに発表する。ここでは同じ社内で遠慮がないので鋭い質問、つっこみが出る。
今年私から話したのは「企画は公演や実演の企画でなくてもよい。サービスの企画や展示、広報、イベントなどでもよい。お客様の満足度を高め、施設の価値を高める企画で切れ味の鋭いものを考えてほしい。ただし企画には始まりと終わりがあること、総花的でなく具体的に絞り込むことを意識してほしい。収入と費用もちゃんと出してほしい」ということ。
途中の議論や発表を聞いていて思ったのは、この会社はホールだけでなく図書館や美術館など文化領域で幅広い施設を管理していることがプラスに働いている、ということ。種類の異なる施設(文化施設)の経験を共有することで、新たなアイディアが生まれる。人材育成がKFS(成功の鍵)となる指定管理者ビジネスでは、これは大きなアドバンテージだ。
もしかしたら来年もこの研修があるかもしれないが、もし呼ばれるなら、社員の成長に合わせてこちらも新たなネタを開発しないと通用しない。講師も楽ではないのである。
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登録日:2009年 08月 14日 22:56:23
評価クォータリー

財団法人行政管理研究センターの発行する雑誌「評価クォータリー」に拙稿「民間企業の指定管理者から見た指定管理者評価の現状と課題」が掲載されました。
内容は、2月に行った民間企業の指定管理者から派遣されている施設の責任者にインタビューした結果に基づくものです。ぜひお読みください。
執筆中の記事はこちら。
http://www.actiblog.com/himori/78748
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登録日:2009年 05月 08日 19:18:02
論文執筆中
指定管理者の評価についての論文を執筆中である。
題は「民間企業の指定管理者から見た指定管理者評価の現状と課題」(仮)
執筆のために民間企業が指定管理者となっている施設の責任者(指定管理者側)にインタビューに回っているが、なかなか面白い話が聞けている。
どのような評価制度にしたら民間企業はより前向きに一生懸命仕事をするか、どうしたら民間企業のよい面をもっと施設運営に生かすことができるか、発注者側の行政にとってヒントになる内容になるだろう。4月発売のある雑誌に載る予定だ。
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登録日:2009年 02月 25日 15:58:34
指定管理者協議会発足

11月19日は指定管理者協議会の設立総会に招かれた。
この協議会は指定管理者になっている企業・団体37社が集まって設立されたもので、その目的は、会則によれば、
「本協議会は、指定管理者制度及び公の施設等の管理運営に関し、指定管理者、地方公共団体の知識、技術、ノウハウを高めるとともに、住民等を含めた関係者間の対話を通じた相互理解及び情報共有を深め、もって我が国における公共サービスの発展に寄与することを目的とする」
とのことである。つまりいわゆる業界団体、圧力団体ではなく、「指定管理団体が個々の利害を超えた立場から、官民連携による行政サービスの効率化と公共サービスの向上に貢献していくことを真摯に目指してまいります」(ホームページより)との趣旨の団体だ。
集まった37社・団体で全国で約400の施設を管理している。ちなみに37のうち民間企業が36、財団法人が1という構成だ。
私はこの団体の顧問に就任したので招かれたのである。ただの業界団体なら引き受けなかったかもしれないが、みなさん官民連携、住民との対話でパブリックを担っていこう、という志をお持ちなのでお手伝いしようと思ったのである。
総会では、顧問のおひとりである三菱総研地域経営研究本部長の鎌形太郎さんとともに、30分程度のパネルトークを行った。司会者の質問に対する私の発言の趣旨は以下の通り。
司会「指定管理者制度の導入自体をどのように評価しているか?」
桧森「三つある。①民間企業に自治体の仕事ができることを証明した。②民間企業のマネージメントノウハウが自治体の仕事にも有効であることを証明した。③施設の管理運営だけでなく、他の自治体の仕事にも広がっていくきっかけになるだろう」
司会「現在の主要な課題、取り組むべき問題はどういったものがあると考えるか?」
桧森「具体的には自治体の制度運用の問題と指定管理者側に起因するものなどいろいろあるが、根本的な問題は、制度の導入当時から自治体の財政がさらに悪化していることだ。自治体の再建ということになると指定管理者制度では追いつかない。施設の廃止、売却、転用などが必要となる。本当に必要な施設かどうかが問われる。それを証明することが、指定管理者にも求められる」
司会「指定管理者制度をよりよくしていくには、どういったことが必要か?」
桧森「官民のお互いの理解がまだまだ足りない。とくに、民は自分たちのほんとうの顧客は誰かを考える必要がある。顧客は施設の利用者や指定の窓口である自治体の担当者だけではない。施設を利用しない市民・納税者も顧客だ。そこにどう理解してもらうかが重要だ」
司会「この協議会は、どんな機能や役割を果たしていくべきか?」
桧森「三つある。①外郭団体にもぜひ入ってほしい。そして民間企業のマネージメントノウハウが伝播していってほしい。②現場からの制度への提言を制度作り、法改正に反映させる。③そもそも公共財・準公共財の管理運営だからそうそう儲かる商売ではないことはみなさんご承知の通り。もうからなくてもパブリックを担うのだという志を持ってやってほしい。それがこの仕事の資格だということを広める」
以上
協会の詳しいことは以下のホームページをご覧ください。
http://www.shiteikanri.org/index.html
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登録日:2008年 11月 29日 00:37:11
- プロフィール
- Ryuichi Himori
- (男)
- 詳細プロフィールはこちら
- 団塊世代の会社員から、定年を1年半後にひかえ、大学教授に転職しました。肩書きは日本文化政策学会理事、市民フォーラム21・NPOセンター常務理事、(社)指定管理者協会理事長などいろいろ。公共経営・行政経営(NPM)、文化政策、アートマネージメント、NPO論などを研究しています。
というような立場を離れて、勝手なことを書かせていただきます。
(なお、mixi Twitter facebookもやってます。)
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