カテゴリー [指定管理者制度]
滋賀県公文協セミナー
さて、滋賀県公立文化施設協議会セミナーである。
今年になってから、県公文協で講師をやるのは3回目である。1回目が3月の兵庫県公文協、2回目が6月の岐阜県公文協、そして今回である。やるたびにいろいろ発見があり、内容もバージョンアップしていくので、あとになるほどお得なのだが、考えてみれば受講する方がバージョンアップしているわけではないのでかえって迷惑だったかもしれない。
内容は以下の通り。
平成20年度びわ湖舞台芸術スタッフセミナー(アートマネージメント編)
全体会講演「指定管理者制度による公立文化施設運営組織の経営改革~公立文化施設の存続のために何を行うべきか」
1.はじめに
2.自己紹介
3.指定管理者制度の現状
4.指定管理者制度の本質
5.びわ湖ホール問題を通して指定管理者制度を考える
6.指定管理者制度を超えて
7.公立文化施設存続のためには?
8.まとめ~指定管理者に求められるもの
9.最後に~自主事業企画とは何か
これを10時15分から12時まで休憩なしでしゃべったので聞いている方々もお疲れになったと思うが、はたしてご理解いただけただろうか。
さらに午後は分科会の一つの講師をやった。
テーマは「公立文化施設運営における非営利セクターの今後」ということだが、次のようなワークシートを用意してグループワークをやった。
1.政策ワークシート
・ホールの機能、ホールのできること
・県、市、町の課題
・提案する政策
・政策実現の手段
各自でワークシートに記入した上でグループで話し合い、グループとしてひとつにまとめて発表する。これは午前の講演での「ホール運営者は、自治体や地域社会にとってホールが有用性があることを自ら証明しなければならない」という話を受けて、ホールが地域のどのような課題をどのように解決できるかを政策とその手段として提案する、というワークである。
2.ミッションワークシート
・担当部門のミッション(指定管理者の発注もと)
・施設のミッション(施設のミッションであって施設を運営する組織のミッションではない)
・重点業務(項目、ウェイトづけ、方法、手順、スケジュール、成果など)
これは最初からグループでディスカッションして、特定の施設のミッションをつくっていく。実は施設のミッションは政策ワークシートの政策実現の手段のひとつなのである。政策手段として「○○ホールに○○というミッションを与える」と表現すればよい。
なぜこのようなワークショップにしたかというと、最近の県公文協の研修は、指定管理者制度の発注もととしての行政(文化政策課や教育委員会文化課など)、直営館、財団の指定管理者、民間企業の指定管理者という立場の違う人々が入り乱れていることが多い。そのような人々の間で共通の議論ができるような場づくりとして、政策とミッションを取り上げたのである。
はたしてうまくいったかどうかわからないが、少なくとも熱心に議論していただいたのでよかったと思っている。
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登録日:2008年 09月 12日 01:51:08
指定管理者社員研修

先週は指定管理者として複数の公立文化施設を運営しているサントリーパブリシティサービス株式会社パブリックビジネス事業部の社員研修に講師として招かれた。対象は同社が運営する文化ホール4施設と本社の自主事業担当者。筆者が行った研修の内容は以下の通り。
第1部 講座編
1.指定管理者制度の現状と公共ホールの今日的状況
2.指定管理者による自主事業の企画方法について
(1)企画とは何か
(2)誰が企画するのか
(3)企画のサイクル
(4)企画の方法
(5)企画の実現
昼食 休憩
第2部 ワーク編
1.個人ワーク~懸案の企画テーマをもとにコンセプトを考える
2.グループワーク~とりあげる企画テーマ選び、企画概要書を
作成する
3.発表とディスカッション
朝10時から16時半までの長丁場だが受講者の熱心な受講態度に支えられて(大学の授業とは大違い)充実した研修になった。
研修をやってみて気づいたことをランダムに書くと・・・
1.同じ会社が複数の施設を運営するメリットは確かにある。それは施設どうしの密接な交流によるノウハウ向上や人材育成ができることだ。同社では大型イベントの時に他施設に応援に行ったりして日頃からノウハウの交流に努めているとのこと。今回の研修でも同じ会社としての一体感から来る密度の高い本音の議論、協力姿勢が感じられた。これは公文協や地域創造の研修には見られないものである。今回、受講者をシャッフルしてグループワークをやったが、このような姿勢のおかげで非常に効果的だった。
2.同社では、それまで施設を管理していた財団の職員のうち希望者を社員として採用したケースがあるとのこと。その社員に話を聞いたが、同じ場所で同じ仕事をしていながら、現在の方が働き甲斐を感じているとのこと。財団時代と比べてセクショナリズムがなく、他の仕事にもどんどん口を出したり出されたりしてみんなで一つの目的に向かって努力する一体感があるそうだ。最初は「え、やってもいいんですか?」という言葉がつい出たが、いいと思うことはどんどんやる、ちがったら直せばいいという風土はやりがいがあるという。採用の時「今まであなたがやりたいと思ってできなかったことをやってください」と言われたそうだ。
3.筆者が研修で指摘したのが、「自治体は文化ホールだけでなく様々な文化イベントをやっている。民間企業の指定管理者が本当に企画力があるなら、他の仕事も文化ホールとしてどんどん請け負ったらどうか」ということ。例えば新空港の開港記念式典音楽イベントなど何も広告代理店に頼む必要はない。文化ホールとして企画提案すればいい。そうすれば地域らしいものができるし外部付加価値の取り込みもできる。これは企画を外部発注する直営館や財団ではできないが、自ら企画を制作する民間企業の指定管理者だからこそ可能なアイディアだ(できない民間企業ももちろんある)。
4.研修をやってみてあらためて感じたのが、やはり民間企業は現場主義だということだ。同社では役員、本部長も実によく現場を回っていて現場の瑣末な問題も把握している。また現場の社員の顔と名前もよく知っている。これは当たり前のことなのだが、直営や財団の時代、自治体の幹部はこれほど現場を掌握していただろうか。すべての元は現場にある。現場で顧客と接するところから戦略や方針が生まれる。もっと言えば意志決定も現場に根ざした即断即決になる。
公の施設の利用者は顧客か否か?という神学論争があるが、少なくとも現場主義による顧客満足度の向上が公の施設の効用を高めるのは間違いない事実だ。
感想はまだまだあるがとりあえずはこんなところか。
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登録日:2008年 08月 27日 15:53:05
栗東さきらはもっとすごいことになっている

筆者は6月29日の記事にある通りある県の公文協の講演で「指定管理者の先にあるもの」という話をした。
今日、ある講演の打ち合わせでいただいた資料の中にあった栗東市広報の7月号を見て、そのことが現実になりつつあることを知った。
ご存知の方も多いと思うが、栗東芸術文化会館さきらは、2005年から2006年にかけて指定管理者制度の導入でもめたところである。結果的にはそれまで管理していた財団ではなく、JR西日本の子会社が指定管理者になった。このとき筆者も市民主催のシンポジウムのコーディネーターとしてかかわったのだが、あれから2年半以上の月日が流れた。
その後、ご承知のように県知事が交代して栗東市新幹線新駅が「凍結」という名の中止に追い込まれた。その結果栗東市はそれまで進めていた新駅予定地の区画整理事業の後始末などで返すあてのない莫大な借金を抱え込むことになり、財政は一気に逼迫した。
栗東市広報の7月号にはそのため「栗東市財政再構築プログラム(素案)」というのが載っている。中身は平成21年度から実施するものとして、人件費の削減、住民憩いの家や出土文化財センター、栗東歴史民俗博物館など施設の廃止や休館、福祉関係の本人負担の導入や高齢者バス代支援の廃止など厳しい内容がならんでいる。
その中でさきらについて「芸術文化会館文化活動事業補助金の廃止」がうたわれている。これにともなって入場料収入のない育成型事業などはほとんどできなくなるだろう。
さらに平成22年度には児童館保育園の統廃合、遊休資産の売却などが目白押しだが、「さらに検討する項目」として、「栗東芸術文化会館さきら運営方法・転用・休館を検討」と書かれている。
考えて見れば、2005年の指定管理者騒動、「導入反対」だの「財団の雇用を守れ」などはかわいいものだったのである。さきらの指定管理者の期間は5年だが、次回は施設そのものがなくなる可能性があるのだ。ちなみに、現在財団が指定管理者になっている野洲川体育館も「運営方法・廃止を検討」と書かれている。
さて、再び「さきらを守れ」という運動が巻き起こるのか?それとも今は「民間企業が指定管理者になっているから関係ないや」ということになるのか?歳月は栗東市に何をもたらしたのかが注目されるのである。
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登録日:2008年 07月 13日 22:59:00
これは異なことを承る

佐伯泰英の「居眠り磐音江戸双紙」シリーズを読んでいるので頭の中が時代小説モードになっている。
(各地の藩の芝居小屋の運営を手広く請け負う江戸の大店(おおたな)寿屋(ことぶきや)の番頭が、芝居小屋に詳しい学問所の先生に諸々相談に来ている。この先生、母方が深川の木場育ちなので時々口調が伝法になる。)
番頭「ところで先生、幕府が各地の藩の芝居小屋を盛んにするために助成金を出しているのをご存知でございますか?」
先生「うむ、地域創造とか申す会所をつくってやっておるやつですね。富くじの上がりも財源になっているはずだが」
番頭「はい、それでございます。それで手前どもも、ある藩の芝居小屋について申請いたしました。ところが、会所では、商人(あきんど)はまかりならぬとおっしゃるのでございます」
先生「それは異なことを。藩のお役人が運営しようが、そなたら商人に運営を任せようが、藩がつくった芝居小屋に変わりはないではありませんか」
番頭「それが、藩か藩がおつくりになった会所でなければだめだとおっしゃるのです」
先生「どれ、ここに会所が作った要綱があるので見てみましょう。なになに・・・
公立文化施設活性化支援事業助成要綱
(2)助成対象者
公立文化施設活性化事業を実施する次に掲げる公立文化施設を管理、運営している者
①地方公共団体
②地域における芸術文化活動の振興に資することを目的として民法第34条の規定により設立された法人のうち、地方自治法の一部を改正する法律(平成15年法律第81号。以下「改正法」という。)附則第2条の規定により、なお従前の例によることとされた改正前の地方自治法第244条の2第3項の規定に基づき公の施設の管理を行なうもの
③改正法による改正後の地方自治法第244条の2第3項の規定に基づき指定管理者として指定を受け、公の施設の管理を行なう法人その他の団体
④地域における芸術文化活動の振興に資することを目的として民法第34条の規定にもとづき設立された法人(②を除く。)のうち、地方公共団体が基本金その他これに準じるものを出資している法人で地域創造が特に認めるもの
ふむふむ、番頭どの、そなたらもこの③にあてはまるのではないかな。商人も「管理を行う法人その他の団体」には変わりないでしょう」
番頭「それがどうしてもだめだとおっしゃいまして」
先生「番頭どの、まさかそれで引き下がったんじゃあるめぇな」
番頭「もちろんでございます。どうしてもだめなのでございますか、と食い下がりました。すると最後には、どうしてもということであれば、そなたらに発注している藩の役所に助成金を出すことにはやぶさかでない、とおっしゃいました」
先生「ふん、石頭の役人め。それで藩の役人どもはなんて言ってるんでぇ」(口調がだんだん伝法になる)
番頭「それが先生聞いてくださいまし。藩のお役人は、もし地域創造から助成金が藩に入るのであれば、それは手前どもに回すが、その分管理料は差し引いて遣わす、とおっしゃるのです」
先生「なんだと!そんな理屈があるか、べらぼうめ!おう、寿屋、こうなったら金輪際お上の金なんぞ当てにせずに、商人の意地を見せてやるこったな。てめぇら商人の才覚で、役人どもが思いもつかねえような、藩の領民が喜ぶ芝居小屋の運営をやってみねぇ」
番頭「それはそのつもりでございますが、幕府がかねてからおっしゃっている「公平性」というのはどうなるのでございましょう。同じ藩の芝居小屋を運営する団体でも、藩の作った会所には直接助成し、商人には助成しない、というのはいかがなものでございましょうか」
先生「う~む。士農工商の世の中、お侍の役人が威張る時代はいったいいつまで続くんでぇ。しかし孔子様も「過てば則ち改むるに憚ること勿れ」と曰っていらっしゃるんだから、お役人もしまったと思えばさっさと変えやがれってんだ」
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登録日:2008年 07月 12日 11:44:29
指定管理者講演会
金曜日は朝東京を発って午前中は愛知県岡崎市の大学で授業。午後は岐阜県北方町で開催された岐阜県公立文化施設協議会総会で講演。
タイトルは「指定管理者制度による文化ホール運営組織の経営改革」
内容は以下の通り。
1.はじめに
2.自己紹介
3.指定管理者制度の現状
4.指定管理者制度の本質
5.びわ湖ホール問題を通して指定管理者制度を考える
6.指定管理者制度を超えて
7.公立文化施設の存続のためには?
8.財団が生き延びるためには?
写真は当日使用したパワーポイントの一部。
当日の顔ぶれを見て、かなり脱線していろいろしゃべったので後で録音をもらいたいものだ。
以下は当日の感想である。
1.公文協メンバーの多様化
なぜ脱線したかというと、出席していた県公文協の顔ぶれが直営館、指定管理者の外郭団体、指定管理者の民間企業にわかれていて面白かったからである。ここの公文協の副会長も指定管理者の民間人の館長だった。今回の講演の質疑では民間企業の指定管理者からも質疑、意見があった。どうも今まではこの手の会合ではやや違和感を感じていたらしいが、筆者の話に触発されて発言しやすくなったようだ。
2.運営主体の多様化の影響
同質集団だった公文協に異質の企業が入ってきた。これは面白い。お互いの暗黙の前提が通用しないのだから。いままでは公立文化ホールにとって何がいいことかは暗黙のうちに共有されていたと思う。
例えば、民間企業の指定管理者には、公文協の暗黙の前提としてあった「高尚な芸術文化を地域に啓蒙する」という「上から目線」はない。
「施設を通して地域の文化振興を図る」というミッションを与えられた指定管理者にとっては、「高尚な芸術文化の啓蒙」はイコールではないはずだ。(しかも高尚と目されているのは18世紀19世紀の西洋の芸術だ)。少なくとも民間企業はそれまで公文協で刷り込まれていないので、「地域の文化振興」については「高尚な芸術文化の啓蒙」だけではないさまざまな方法を考える。
これ以外の暗黙の前提がたくさんあったと思うが、暗黙は通用しなくなったのだからひとつひとつ客観的に検証する必要があるだろう。
3.梅棹“水道方式”からの脱却
指定管理者制度以前の公立文化ホールは「幽体離脱」のようなものだった。全国公文協や地域創造で研修を受け、高尚な芸術文化を地方に普及することをミッションだと教えられた。ホールの担当者は口を開けば「うちの地域は遅れているので」と言っていた。文化に遅れているも進んでいるもないのに。だからホールは地域から遊離してしまった。それがびわ湖ホール問題の本質だ。公立文化施設の目指すものは地域それぞれ別のはずだ。
かつて梅棹忠夫は「全国どこでも蛇口をひねれば文化が出てくるように」と言い、その考えにもとづいて全国つづ浦々に公立文化施設ができた。その蛇口から出てくる文化が全国一律に「高尚な芸術文化」というのはそろそろ脱却しなければならない。
4.指定管理者の先にあるもの
ところで筆者は講演で「指定管理者の先にあるもの」という話をした。このまま財政が悪化すれば、指定管理者どころか施設の廃止もあり得る、ということだ。更地にして売却する動きも出てくるだろう。その時に文化ホールの存続について説得力ある主張ができるだろうか。「地域経済と芸術・文化のスパイラルな関係」における文化ホールの重要性を確立し、説得するのはホール所管部門の役割である。
指定管理者に丸投げしたからと言って、文化施設所管部門の政策上の責任が軽くなるわけではない。
5.直営館の問題
今回の講演で気になったのは、直営館はややのんびりしていた、ということだ。財政に危機感を持つ自治体の企画部門では当然これからも指定管理者制度の導入やあるいは場合によっては施設の廃止、売却、用途転換などが検討されるはずだ。のんびりしていると直営館に配属されている職員やその所管部門は蚊帳の外に置かれてしまう。全体の政策の中で文化ホールをどのように位置づけるかは、自らが身を削ることも含めて担当者も一緒に考えねばならないだろう。
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登録日:2008年 06月 29日 01:03:28
文化政策の“強面担当”指定管理者を切る!(続き)

びわ湖ホール問題について詳しくはこのブログの2008年3月15日のエントリーを見ていただきたい。
そこにも書いたように、ひとつの問題は「契約違反」だ。公開研究会でも報告されていたが、2006年に「5年間の指定管理料55億8300万円を限度とする債務負担行為」が明記された基本協定が締結され、それにもとづいて年平均11憶1660万円の指定管理料が明記された年度協定が毎年締結されていたにもかかわらず、2008年度には1憶1000万円の減額を飲まされ、2010年度には1憶5000万円削減される予定という。
何度も書いているが、指定管理者の協定は双方に履行義務のある契約である。確かに債務負担行為の金額は「限度として」という文言を入れることになっているが、建設工事などあらゆる債務負担行為で慣例としては明記された金額が契約金額である。
今回、財団はあたかも県庁の一部局であるかのような感覚で「予算削減」を受け入れたが、これは指定管理者制度の根幹にかかわる問題だ。発注者と指定管理者の関係は筆者が著書『指定管理者は今どうなっているのか』で指摘した通り「水くさい」関係で頼るよすがは契約しかないのだ。公開研究会に出席していたサントリーパブリシティーサービスの担当者からは、「民間企業なら法的手段をとるだろう、またこのようなことがあったところでは民間企業は応募しないだろう」という意見があった。
実は県庁もこのことはわかっていて、指定管理者でも民間企業や民間企業とのジョイントのところは減額していないという。財団でも指定管理者として契約に縛られていることに変わりはないのだが、双方にその意識が希薄ということなのだろう。
さて、ここまでは公開研究会参加者の皆さんの共通認識だろう。研究会の後半の意見交換で、筆者は次のような意見を述べた。
「今は大学教員だが、民間企業の出身であり、元祖NPM(ニューパブリックマネージメント)の行政経営フォーラム副代表としては、文化政策業界では強面担当を自任しているのでその立場から意見を述べる。
先ほどから、指定管理者制度もあながち悪い側面ばかりではない、という意見が出ているが、いい点は協定の範囲で経営の自由度がある、ということだ。ご承知のようにホールの管理運営費用の80%以上はメンテナンス、清掃、警備などハードに関するものだ。指定管理者はこの部分で仕様を満たしさえすればさまざまな手段でコストを削減する自由がある。削減したコストで自主事業や顧客サービスの充実を図ることも自由だ。
そこでまず第一に指摘したいのが、指定管理者のうち88%は従来からの管理者が指定されている。その多くは自治体が設立した財団法人、社団法人だ。にもかかわらず各地で劇的にコストが下がった例が報告されている。同じ団体が指定管理者になっただけで3割4割コストが下がったのはなぜか?それは自治体からの出向者が帰ったからだ。出向者の賃金は財団の計上されていたので、帰れば劇的にコストは下がる。たとえプロパーに入れ替えたとしても、その差額は大きい。他のホールでは専門性の高いプロパー人材が年収300万円でがんばっている例もある。
先ほど指摘された出向のメリット(前回のエントリー参照)もわからないではないが、3年で転勤していく県庁職員ではなく、ホールに愛着を持った専門人材を雇用してしかも大幅にコストを下げることは考えないのか?その自由が指定管理者にはあるはずだ。
次に、指定管理者になった以上県設立の財団といえども、乾いた雑巾を絞るようなコスト削減努力をして、自立した、強い経営体をつくるべきだ。実際そのように自らを改革した文化財団の例もある。電力会社を切り変えて電気代を下げるとか、いろいろ工夫する余地がある(びわ湖では電力契約を見直して電気代を下げたとのことだが)。びわ湖がそうだとは言わないが、まだまだ甘い経営の財団が多いと言わざるを得ない。年間17憶の予算規模なら1億~1憶5千万円のコストダウンは人件費含めてできるはずだ。
民間企業の指定管理者なら当たり前のことにすぎないとはいえ、強くて柔軟な経営体質を自ら作り上げ、県と対峙すべきだと思うが、どうか?」
以上の強面の意見に座はしーんとしてしまったが、賛同者は多かったように思う。
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登録日:2008年 06月 03日 14:36:50
文化政策業界の”強面担当”指定管理者を切る!

先週の金曜日は東大で行われた公開研究会「びわ湖ホール問題が投げかけたものー指定管理者制度と公共性」に参加した。
びわ湖ホール問題とは、かいつまんで言えば3月1日付京都新聞記事「福祉予算の増額のためびわ湖ホールを半年間休館し、その間に民間会社をも含めた管理者を公募して自主事業費を削減するなどの予算修正案を検討中」という記事が出たことに端を発した問題である。
以前このブログで紹介したように、「検討中」というのは滋賀県議会の自民党会派である。それに対して「応援する会」ができて29000人の署名を集め、これとは別に芸団協やオーケストラ連盟など5団体が連名で緊急要望書を知事と議会に提出した。
なお、びわ湖ホールは県が100%出資で設立した財団法人びわ湖ホールが指定管理者として管理運営している。
今回の公開研究会は文化政策の研究者やホール関係者などが集まってこの問題を研究しようというもの。当事者であるびわ湖ホールの館長等も出席している。
当日はびわ湖ホール前館長で京都橘大学の上原先生の報告の後若干の質疑。そのあと神戸大学の藤野先生と埼玉大学の後藤先生がそれぞれコメントし、会場とディスカッションに入るという段取り。司会は東大の小林真理先生が担当した。
最初の報告のあとの質疑で、筆者が2点質問した。
Q「利用料金制が導入されたのは指定管理者制度が導入されたときか?」
A(館長)「そのとおり」
Q「財団に県の出向者は何人いるのか?」
A「40名のうち18名が出向者である。出向の理由は県立なので県の意向をよくわかる人間がいる必要があることと、ホールのことをよく理解している職員を県の中に増やすためである。彼らは出向から県庁の各部門に戻って、ホールのよき理解者になってくれる」
この二つの質問は筆者が後ほど「強面」の議論をするための伏線なのだが、長くなるのでいったん休憩。
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登録日:2008年 06月 02日 18:25:59
ここが変だよ指定管理者~びわ湖ホールの怪

最近さわがしい滋賀県のびわ湖ホール。1998年に開館したオペラを主体にした県立の劇場だ。
京都新聞で「自民党県議団が県の福祉予算減額に対して、びわ湖ホールを半年間閉鎖してその後民間事業者に任せ、4億円を浮かして福祉に投入する提案を検討している」と報じられ、それに対して文化の火を守れ!というような趣旨で「びわ湖ホールを応援する会」が発足し、署名運動が起こっている。
びわ湖ホールを応援する会
http://biwako.e-message.jp/
結局4億円の話はうそで、運営費を1億円減らして福祉に1億円回せ、という話になっているらしい。いかにももっともらしいポピュリズム(大衆迎合主義)の言説で、県民がこんな程度で喜ぶと思うのもばかにした話だ。しかしこれをどう判断するかは県民の問題だ。
しかし、このホールは指定管理者制度のもとで財団法人びわ湖ホールが指定管理者になっているがそこに実は大問題が起こっている。
このホールは5年間の指定で、債務負担行為により5年間55億円(年11億円)の管理費支出を前提に協定(契約)が結ばれているそうだ。これはこのホールが目的とするオペラなどの制作は長期にわたるため妥当な方法だ。ところがその後県の財政再建計画のもと、指定管理者は昨年秋に管理費の削減を飲まされているという。平成20年度は管理費11億円支給のはずが1億1千万円減額されたようだ。既に事業計画は決まっているので財団は自らの基金を取り崩して穴埋めするらしい(自民党県議団はここからさらに減らせと言っている)。
わかりやすく言えば、県(行政府と議会)が契約違反を行い、指定管理者が自腹を切っているのだ。契約を守らないというのは法治国家の根幹を揺るがすものだ。法律は契約当事者双方に契約の履行を迫っている。法にもとづく契約の履行は行政の裁量や議会の議決よりも上位にある。法は自治体の行為も規制している。このような契約違反がまかり通るのでは法治国家は成り立たない。
県と財団にこのような認識がないことが問題だ。契約の当事者は契約に縛られるという点において対等であり、財団はもともと県が設置したものだとか管轄下にあるということは指定管理者の契約の上では関係ない話だ。財団は県を相手に訴訟を起こすべきだ。
筆者がかねてから指定管理者と発注者は「水くさい」関係にある、というのはこういうことなのだが。
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登録日:2008年 03月 15日 11:23:07
指定管理者制度についての三題話
指定管理者制度についての最近の筆者の動き。
1.8月31日はある市の文化施設への指定管理者導入アドバイス会議
募集要項と業務要求水準書づくりにアドバイスしているのだが、すぐれた要項とはどのようなものか次のような話をした。
(1) 基本理念
市の基本理念とそれに基づく施設の基本理念(市の基本理念のどのような部分を担うのか)を明確にする。
(2) なぜ指定管理者か
なぜ直営ではなく指定管理者にするのか、何を期待しているのかを明確にする。
(3) 基本方針
指定管理者に守ってほしい基本方針を明確にする。
(4) 提案
指定管理者に特に提案してほしい部分を明示する。
このような要項は応募側から見ると非常に書きやすいものであり、書きやすいということは優れた提案が集まるということであり、高いレベルの競争でいい団体を選べるということである。
前の記事に書いた千代田図書館では、指定管理者側から、基本方針がはっきりしていたために提案がしやすかった、という話があった。
2.9月2日は「市民と議員の条例づくり会議2007」第6分科会「地域ガバナンスにおける議会の責任」でパネラーとして指定管理者制度の話をした。
指定管理者制度、PFI、市場化テストが進む中で、地方議員の役割は何かというのはなかなか難しい問題だ。非常に専門性の高い分野で、議会が実質的なチェック機関になるというのは現実には困難だ。
筆者の考えは上記1.の(1)基本理念と(3)基本方針の策定に議会が関与すべきだ、というものだ。
拙著「指定管理者は今どうなっているのか」の「指定管理者制度の光と影」で書いたように、指定管理者に対するガバナンスは自治体と利用者・市民並立であり、議会の立場は自治体の側にある。議決によって責任の一端を担っているからだ。だからその意味でもチェックという役割を果たすには限界がある。ガバナンスの一端を担って基本方針を定め、その達成度を評価し、改善を議論する、という役割と思った方がいい。
もうひとつ大事なことは、施設の利用者と利用しない市民は考え方が異なるかもしれない、ということだ。そこを調整するときに議員の出番がある。そのためにも基本理念にコミットしたほうがいい。
3.9月6日は親しい市議会議員から指定管理者について質問する、ということで相談を受けた。
彼女は9月2日の会議にも出席している。彼女は大変おもしろいことをやっている。指定管理者制度が導入されている市内140施設すべての事業報告書を集めようとしているのだ。彼女が集めた事業報告書のいくつかを見ていておもしろい点に気がついた。
ほとんどの報告書が自己評価と改善報告を記載していないのだ。つまりセルフモニタリングができていない、ということだ。利用者アンケートを実施し、その結果を記載しているところはあるが、アンケート結果をどのように評価し、何を改善したかが書いてない。モニタリングの意味が十分に理解されていないのだろう。
そのほかにも、発注者側のコミットメントの問題や、委託費があまりにも安く、指定管理者を有償ボランティアと間違えているのではないかというと事例などいろいろある。
次回の指定に向けて、改善すべき点がいろいろ見えてくるので140事例をじっくり研究したい。
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登録日:2007年 09月 08日 02:13:32
進む行政解体・・・水くさい指定管理者
おとといから腰痛が直らないのだが、本日はそれを押して新幹線で2時間、在来線(もちろんグリーン車)を乗り継いで1時間、関東の某市へ出張。
用事は某市文化振興財団がその市の文化施設の指定管理者に応募するので、事業企画のアドバイスをしてほしい、とのこと。筆者のテリトリー外だが、弊社の営業部門に頼まれて出張ったのである。
ここはもともと郵便貯金の施設だったのだが、最近郵政公社から市に売却された。市はそれを指定管理者の公募にかけた。文化振興財団が地元民間企業と組んで応募する他、東京の大手企業の応募も予想されるとのことで、提案書作りに万全を期すために筆者が呼ばれたのである。財団が取れるかどうかは予断を許さないのだ。
このようなケースが日常になりつつある。行政の解体は着々と進んでいるようだ。
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登録日:2007年 08月 08日 00:18:56
- プロフィール
- Ryuichi Himori
- (男)
- ryuichi.himori@gmail.com
- 団塊世代の会社員から、定年を1年半後にひかえ、大学教授に転職しました。肩書きは日本文化政策学会理事、行政経営フォーラム副代表、市民フォーラム21・NPOセンター常務理事などいろいろ。行政経営(NPM)、文化政策、アートマネージメント、NPO論、都市政策などを研究しています。
というような立場を離れて、勝手なことを書かせていただきます。
(なお、mixiもやってます。)
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