低下する大卒の価値~低下するのは学力だけではない~
【合肥/中国 11日 AFP】中国中部、安徽(Anhui)省の合肥(Hefei)で11日、大学案内などが行われる高等教育フェアが開催された。最近の大学入試では約950万人が受験し、記録的な人数の入学が見込まれている。中国の厳しい雇用市場において、学士号はもはや良い就職口を保証するものではなくなってきている。写真は、高等教育フェアに設置された大学のブース。(c)AFP
若者を取り巻く状況は違うものの、「低下する大卒の価値」は日本も中国も同じようだ。
7月24日の朝日新聞によれば、
「定員割れを起こした私立大学が、昨年度から10.9ポイント増え、今年度は40.4%と過去最高になった」
とある。「名前を選ばなければ大学全入」の時代がいよいよやってきたようだ。いよいよ、と書いたのは
「97年度に5.4%だった比率は00年度以降、30%前後で推移。この1年間で急激に伸びた(朝日新聞)」
からである。この1年間で10%増えたというのは、何かの流れが変わりつつあると考えるのが自然だろう。
18歳人口が今後ますます減っていく中で、現在小中学生またはそれ以下の子供たちを持つ保護者が、「一味違う大人になるために、自分の子供に何を持たせておくべきか」について早い段階から考えておくことは当然になりつつある。それを持たなければこんな「大学生」たちと一くくりにされてしまうのだ。
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【大学全入とはこういうこと】
2004年度の大学進学率(短大含む)をご存知だろうか。
49.9%
である。18歳人口の「2人に1人」が大学生を名乗る時代がいよいよやってきた。
大学進学率は、バブル期の1990年でも36.3%だった。この頃の大学生が「勉強しない、できない」と言われていたことを覚えておられるだろうか。その後18歳人口の増加とともに進学率も上昇を続け、95年前後からは「18歳人口は減少、しかし進学率は増加」という傾向を見せ、とうとうこのような状況まで来たのである。
進学率50%ということは、皆さんが学んだであろう「普通の公立中」で半分の生徒が大学へ行くということ。あるいは皆さんが受けたであろう「業者テスト」で、偏差値50の生徒までが大学へ進学する、ということである。実際には偏差値が50以上でも大学へ行かないという人もたくさん居るだろうから、現実には
名前を選ばなければ、偏差値50以下でも大学へいける
時代がやってきたのだ。
私は塾で教えているので偏差値と学力の関係のイメージがつくが、イメージがつかない方のためにわかりやすく言うと
「(かつての相対評価の)通知表で5教科オール3」
でも大学へいけるということだ。
また地域によっても事情が異なるようで
「地域でみると、定員割れの比率は東京地区が12.4%、南関東(神奈川、埼玉、千葉3県)と京都・大阪が30%台。これに対し、中国は64.7%、四国は62.5%、北陸は60.0%だった。 (朝日新聞)」
地域によっては「学力は問わない、入学してくれるなら合格!」という大学だってあるかもしれない。昔だと「あの高校は名前さえ書けば合格だって」なんてことを言ったり聞いたりしたことがあると思うが、まさに同じことが大学で起こり始めているだろうということは容易に想像がつく。
【学力低下のダブルパンチ】
大学側の視点で考えれば、「経営のために従来不合格にしていた層」まで合格にしなければならなくなっている。これでも18歳全体のレベルが上がっていてくれれば「もしかしたら」と期待できるかもしれないが、悲しいかな、皆さんご存知の通り子供たちの学力は「悲惨なほど」低下の一途をたどっている。大学の先生方の心中を察すると・・・。
進学率上昇に歯止めがかからないと、将来はこの内容で学習を進めてきた生徒たちの半数が大学へ進学する。
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東京ミニマム、08年度めどに最低限学習基準
小学校高学年までにかけ算の九九をマスターし、都道府県名を覚え、燃焼の仕組みを理解する――。
学力低下に歯止めをかけようと、東京都教委は2008年度をめどにすべての小中学生に身につけさせる最低限の学習基準「東京ミニマム」(仮称)を策定する。
学校で教えるべき内容の基準としては国の学習指導要領があり、都道府県が教育現場向けの具体的な基準を作るのは初めて。来年1月に小学5年生と中学2年生を対象に実施する一斉学力テストで成績下位層の実態を把握したうえで、大学教授などの専門家や現場の教員の意見も踏まえて、主要教科の基準づくりに着手する。
小中学生の学力低下は、文部科学省の国立教育政策研究所が今月14日に公表した学力調査結果でも浮かび上がった。それによると、漢字の書き取りでは小4の「チームのシュリョク(主力)になる」、中2の「輝かしいコウセキ(功績)を残す」の正答率がともに2割以下。計算問題では足し算とかけ算の交ざった「3+2×4」の正答率が小6で6割を下回った。
都教委では、一斉学力テストで対象の学年よりも低いレベルの問題を入れるなどして、基礎学力の定着度を調査。基本的な問題ができない児童・生徒が、ほかの教科ではどのような分野を苦手にしているかといった傾向もつかむ。
これと並行して、教員向けにも成績下位層をどう指導するかのマニュアルを作成する。
(2006年7月30日 読売新聞)
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「3+2×4」の正答率が小6で6割を下回るということは、少々強引だが
3+2×4が出来なくても大学生になれる
ということなのだろうか。う~ん、厳しい。
【授業と通知表の現実】
ここ数年「指導要領を超えた悪問」という記事を見かけないのだが、皆さんはどうだろうか。10年程前であれば毎年「指導要領を超えた悪問」の紹介と、それを出題した学校名が、中学受験・高校受験問わず発表されていた。それは、この当時の指導要領が「これを超えて教えてはならない」とされていたからである。現在は「東京ミニマム」も含めて最低限の学習基準となっているのである。
「最低限の学習基準」ということは、「これだけ教えておけばOKなのか」と考える指導者や、「これだけは出来て欲しい」という考えから、視点が成績下位生に偏ってしまう指導者を産むだろうという推測ができる。「これだけは出来るようになってね」が口癖の指導者から、「発展的で刺激的な内容」の授業を受けられるとは思わない。
実際私も経験があるが、質問に行ったときに「これは高校範囲だから」と言われることがあった。逆に言えばそのレベルのやりとりが、普通に教室の中にあったということだ。
「超えてはいけない」と言われると、「よし超えてやろう」と考えるのは大人も子供も同じだろう。このあたりにも学力低下の要因の一旦がうかがえる。
現在はといえば、授業内容は「最低限」。しかしながら塾にでも行っていなければ、この内容が出来ていればOKと考えるのは、子供は当然だし事情を知らない親でもそうだろう。しかも通知表は「絶対評価」で他人との比較ができないのだ。「自分がどの位置にいるのか」を見極めるのは非常に難しいのだ。
3+2×4 が出来なければ「ダメ」と判定すべきだと思うが、現在だと「態度・関心」がよければ「ヨシ」になってしまうのだ。この計算が出来なくても、期限までにノートをきちんと出して授業中毎回手を挙げれば「5段階で3」はもらえてしまう・・・。
【この言い訳をさせるな】
最近は企業の求人でも「大学名を問わない」選考が多いらしい。ということで最近の風潮では「大学名が問題なのではなくて大学で何を学んだかが問題だ」という声が大きくなっている。「大学名のみを問う」ことに意味が無い、というのなら同意するが。厳しいことを言えば、
この言葉を言い訳にする生徒が多すぎる!
のだ。この言葉を安易に発する生徒には、必ず「こんなに勉強しなくてもどっかの大学にはいけるだろう」という甘えが見え隠れする。「大学名は問わない時代だから、このくらいやっとけばいいんだよ」とばかりに、自分で限界を定めて言い訳をする。親まで子供と一緒に頷いていたりするから始末が悪い。
少なくとも自分の子供には、絶対こんなことは言わせない。
私は、自分の子供が「正負の数の計算すらできない学生に混じって」勉強することをヨシとはしないし、それであれば学費を払うことはしない。「どの大学で何を学んだか」が問われる、これを最低の基準におきたい。
「せめて大学だけは・・・」といって無理して行かせた大学に、「高い金を払う価値のある環境」がなかったということは、今後絶対に増えてくる。
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登録日:2006年 08月 04日 09:57:08
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