【算数・数学の学習法1】「公式博士」は最強なのか?

ヒマラヤ登山学院、創設50周年 - インド

【ダージリン/インド 15日 AFP】15日、ダージリン(Darjeeling)にある登山家養成学校、ヒマラヤ登山学院(Himalayan Mountaineering Institute)の設立50周年記念祭が開かれた。インド人登山家のテンジン・ノルゲイ(Tenzing Norgey)によって創設された同学院は、全国でも有数の養成講座を提供し、指導にも定評がある。写真は15日、創設者テンジン・ノルゲイの銅像を花輪で飾る男性。(c)AFP

AFPBB News


私は全く登山には興味がない。最後に登山をしたのは高校の頃の「宿泊学習」だろうか。この手の「宿泊学習」では、悪さをしたり集団の規律を乱したりすると罰として『下山命令』というルールがあることが多いそうなのだが、私の知り合いから、

「山登り?かったるいなぁ。下山命令?願ったり叶ったりだよ」

とばかりに開き直る生徒が多く、罰則を『登山命令』に変更したら、急に皆まじめになった

という笑い話(?)を聞かせてもらったことがある。私などは「確かにこっちのほうが本当の罰則だよ」と頷いてしまうクチである。
   *   *   *
 それでも、この登山養成学校には非常に興味がある。別に自分が入学したいというわけではなく、この学校の『指導スタイル・システム』に興味があるのだ。おそらく学習指導との間に「多くの共通点」があるのではないだろうか。

 あくまでも私の予想だが、この登山養成学校でも指導者は「併走」よりも「指導者の背中を常に見せる」ような歩き方をするのではないだろうか。おそらく1から100まで指導者の言うとおりにしていても進歩しないと思う。言われたことを「自分なりに考え消化し実行する」ことが不可欠だと思う。これは学習指導と何ら代わりはない。

『こうすれば山に登れるようになる』という公式でもあるのか?と考えた人はそうとう「頭が固い」と自覚したほうがよい(^^)。今回は「公式」から指導法・勉強法を考える。
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【親切・丁寧の落とし穴】

 昨日電車の中で、私の前に座っている人が本を広げて勉強していた。何気なく覗いてみると、公務員試験向けなのか就職試験向けなのかとにかく「算数・数学の基本を復習する」問題集だった。よく見るとテーマは「速さ」。勉強している人ではなく、その本の内容に興味を持ったので中身をチェックしてみた・・・。愕然・・・。見開きの左ページには「要点チェック」、右ページには「練習問題」の構成になっているのだが・・・

左ページには「速さ攻略のポイント」として

1 「とにかく公式を覚えましょう」
2 「単位をそろえましょう」
3 「方程式を作りましょう」

と書いてあり、ご丁寧にも

     き
------------------
   は |  じ

と大きく明記してあるのだ・・・。くどいですが、これ「大人向け」ですよ。


 これって「親切なテキスト」なのか???買う側の心理として「藁にもすがる思いで」というのは理解できる。しかし「まず公式を覚えましょう」は無いだろう。公式さえ覚えてしまえば解ける、ということであれば世の中の子供・大人の間になぜ「速さアレルギー」が蔓延しているのだろうか。

 現実はまったく逆で、「公式にあてはめさえすればOK」ではすまない「奥の深さ」があるからこそ、「速さ」は面白いわけだし、困る人もたくさん出てくるわけだ。


【勉強の視点を変える勇気】

 興味を持ったのでその後本屋で色々調べてみた。どうやら「大人向け」ではこの手の問題集が主流を占めているようで、どの本でもチェックポイントは「まず公式」のようである。
この手の本を買う人たちについて予測すると、学生時代から「まず公式」という勉強に慣れきっていて、「勉強とはそういうものである」という固定観念がガチガチにこびりついているのではないだろうか。だからこの手の本に飛びつくという構図である。

こういう勉強をしてきたから「現在自分が困っている」ことになった

という発想を持つことができないのは悲劇でしかない。この大人たちが将来子供を持てば、「ほぼ100%」子供にも同じ勉強スタイルを強制するであろう。そしてその子供も「算数・数学」で苦労する・・・。「恐怖の負の連鎖」である。

 これをくいとめるには「視点を変える」しかないのだ。

 一般によい先生と言われる人に共通しているのは「教え方に柔軟性がある」ということだ。例えば「速さ」を指導する場合であれば、「Aという考え方→子供にヒットしない」「じゃあB」「じゃあC」という具合に、指導者の側が引き出しから新しい考え方を次々に出してきて、ヒットするまで待つということである。だから結果として「小難しいことを簡潔にわかりやすく伝える」ことができる。

これに対して、「速さの指導はまず公式」という具合に「この問題にはA」という1対1の対応で、「数学は暗記」スタイルの先生だと、

子供がAという考え方にヒットしない場合
「どうしてわからないんだ、それはお前が悪い。とりあえず公式を丸暗記しとけ」

ということになる。結果「問題を見れば答えは出る」かもしれないが、本質を理解していない、もしくは出題の仕方(発想の切り口)を変えた問題に出会うと、とたんに手が動かなくなる子供が続出するのである。

以前「学力不足」の回でも書いたが、「0.3÷0.4」の計算はできるのに「0.6は1.5の何倍ですか」になると正答率がガクッと下がる、というのも同様の原因なのである。

この大人向けの問題集が「数学が苦手な人」に適していないということは一目瞭然である。自分が苦手になっていった過程をもう一度たどっても、何も新しいものは産まれない。


【視点を変えるってこういうこと】

具体的に1問、問題を紹介してみる。
速さだとアレルギーを持っている人が多いので、食塩水にしました(^^)。
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10%の食塩水が300gと,12%の食塩水が200gある。それぞれの食塩水からxgずつ取り出して,他方の食塩水に混ぜたところ,2つの食塩水の濃度は等しくなった。濃度は何%になったか。
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おそらく例の問題集のポイントには「方程式を作りましょう」「食塩の量に注目しよう」と書いてあるはず。そして、

     (食塩の量)
濃度=-------------------- ×100  
     (食塩水の量)

なる公式が書いてあるはずだ。
     


算数・数学の面白いところ、それは「大人は気づかないのに子供なら気づく」瞬間があるからだ。子供が同じ条件で大人を負かすことができる、これが醍醐味。

正解・解法は次回まで引っ張ることにする。解法は「子供向け」でいきます(^^)。
ちなみに、最初に紹介した「登山養成学校」のスタイルは、どう考えても「まず公式」ではないということは容易に想像できると思う。「公式暗記」は万能ではないのだ。

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登録日:2006年 10月 20日 15:24:55

コメント

mixiの「高校への数学」で、先生に感銘を受けた者です。ここまで、追っかけをしてしまいました。

 >算数・数学の面白いところ、それは「大人は気づかないのに子供なら気づく」瞬   間があるからだ。子供が同じ条件で大人を負かすことができる、これが醍醐味。

 はるか昔、中学生だった頃の私が数学に興味を持つきっかけになったのは、まさにこれでした。それなのに大きくなっていくにつれ、自分でも気がつかないうちに「手っ取り早い公式の世界」に解法を求める「大人」に退化してしまっていました。
最近、「昔自分を夢中にさせてくれた数学に触れたい」と思っていた私にとって、先生との出会いは衝撃的でした。
 これからもどうぞよろしくお願いします。

クミリン @ 2006年 10月 23日 06:24:27

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