最近書いた論文の要旨

<米移民規制法案>不法移民は増加傾向 国境の町の風景 - 米国

【ボカ・チカ/米国 24日 AFP】ピュー・ヒスパニック・センター(Pew Hispanic Institute)の最新の報告書によると、米国の不法移民数は1千2百万人に増加、労働者20人に1人の割合となっている。
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(c)AFP/HECTOR MATA

AFPBB News


4月は生活パターンが変わり、しかも季節の変わり目でなんだか疲れます。ということで、最近書いた論文の要旨をまとめるように少し前に依頼されたので、それを貼り付けておきます。ここのブログは月に最低4本は書かなければいけないのですが、それで許してもらうことにしよう! 本当は「Cuture Clash」について書こうと思っていたのだけれども、いかせん時間不足と私の実力不足。




21世紀最初のセンサスでラティーノ(ヒスパニック)の数が黒人を抜かしたと報じられた。しかし、ラティーノは人種概念でも宗教概念でもなく「スペイン語またはラテンアメリカおよびカリブ海地域にアイデンティティの源をおくアメリカに住む集団」であり、この結果には多くの矛盾が含まれている。

つまり、人種や宗教の対立を過度に強調し国家の結束に利用してきた国家原理をラティーノは相対化しているのである。キリスト教とイスラム教、あるいはアングロとそれ以外のように、人と人のあいだに明確な境界線を引いて世の中を把握しようとする「文明の衝突」概念も、さまざまな人種と宗教を内に含んでいるラティーノに当てはめることはできない。

そこで「境界線の論理」という概念を持ち込むことによって見えてくるものがある。境界線の論理とは、排他的な境界線によって人間や土地や時間を分断して理解する方法論のことである。もちろん、現実には、均質な共同体は存在することはなく、ある土地や時代はその他の土地や時代との関係性のなかに位置づけられる。国民国家を再考するためには境界線の論理の再考が求められている。

たとえば、混血か否かに焦点を当てないラティーノは、国家原理の想像上の概念としての純血を必要以上に強調する国家原理の陥穽を突いている。混血であることについて、ラティーノのあり方は私たちに再考を迫るのである。ラティーノのような混血を不純と捉えてしまうのは、国家原理の発想自体に原因がある。

移民国家であるとともに侵略的な側面をもつ国家であるアメリカの特殊性は、このような国家原理の矛盾とつねに対峙し、隠蔽や歪曲を行ってきた歴史でもある。ラティーノはその影響をもっとも受けた集団の一つであり、彼らとアメリカを相対化することによって明らかになる矛盾は、アメリカおよび国家原理の本質を見るために有効である。

以上のような論点を、ラティーノやチカーノの具体的な例や実践に焦点を当てて論じた。

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登録日:2007年 04月 28日 23:33:59

コメント

今日、あるディスカッションの場で「外国人労働者を農村で受け入れる可能性」についてのコメントが出ました。いくつかの意見の中で「地方には外国人に対する心理的な抵抗感もあるだろう」という声があったのですが、そのときに漠然と考えたこと。

「抵抗感があるということは、外国人を異種としてとらえるということだよなあ。日本人一色なのがあたりまえっていうことか。でも、移動が簡単になった今は需要があればいくらでも海外から働きたい人が来られるわけだし…日本人だけの社会が純っていうのも無理な時代になってるよな。っていうか、ある特定の人たちだけのコミュニティを当然にしている国家・国境って恐ろしい」

純な国家の限界、についてなんとなく考えていたので、井村さんの「混血を不純と捉えてしまうのは、国家原理の発想自体に原因がある」という一文に、ふんふん、と思いました。

celeste @ 2007年 04月 29日 17:57:24

地方だから外国人に心理的抵抗がある、というのは勝手な偏見だと思います。都会の人よりも田舎の人の方が、近代的思考方法に浸っている人よりも前近代的な思考方法の人の方が、案外、オープンだったりします。明治時代の日本人は外国人とおおらかに接していたようですしね。

それと併行して、同じような顔をして同じような考えを持っている人と、まったりと暮らすことの安堵感についても考えます。異なる人種で異なる考えを持った人とまったりと暮らすには、それなりの経験とテクニックがいるでしょうし。

だから、資本主義がもたらしている加速化する人間の大量移動が、必ずしも好ましいものとは考えません。それよりも、まず「私たち自身も十分「混血」だよなあ」と考えてみたり、外国人とつき合ったり結婚したり、海外で行方をくらましちゃったりすることから始めようと思います。

imura @ 2007年 04月 30日 02:00:09

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