BABEL
<第79回アカデミー賞>助演女優賞候補で、一躍脚光を浴びる菊地凛子 - 米国
【ロサンゼルス/米国 24日 AFP】これまで日本では、ほとんど無名に近かった女優、菊地凛子(Rinko Kikuchi)が映画「バベル(Babel)」への出演を機に、ゴールデン・グローブ賞(Golden Golbe Awards)などの有名賞にノミネートされ、ついに第79回アカデミー賞(The 79th Academy Awards)助演女優賞候補に名前が挙がり、一躍脚光を浴びている。
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(c)AFP/HO/A
地元のレイトでやっと『バベル』を見てきた。
公開されてから今日まで、何人かの人に「見ましたよ!」と言われて「どうだった?」と訊ねても「まあ、見てくださいよ・・」と言われたり、「よくわからな〜い」とか「あんまりおもしろくなかったっす」などの感想を、これまで<それなりに>映画を見てきただろう年齢の人からもたまにいただいたりして、<あまり期待しないで見た>というのが本当のところ。
監督のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥは、常日頃から「映画言語」そのものについて言及することでよく知られている。「映画を見る」という行為が観客に喚起する「何か」についてとても意識的な監督だと言えるだろう。今回もパンフレットには次のようなセリフ。「映画に翻訳はいらない。なぜなら普遍的な人間の感情を引き起こすからだ。映画とは限りなくエスペラントに近いものだ」。じつに楽観的である。
しかし、今回『バベル』を見ての私の感想は「この映画は観客を選ぶ作品だなあ」ということ。はっきり言っておくが「つまらない」と感じた者は黙っていればいいのである。映画言語においても、ビギナーから達人までいるわけで、誰にでもわかる映画はそれなりの内容しか伝えられない。文章を読み取る力と同じように、ある程度訓練しなければ映画言語は身につかないということである。
人はそれぞれの視力の強度を通して世の中を見ているのだから「つまらない」と言うのではなく「わからない」と言えばいい。アレハンドロ自身は、人間が神から天罰を与えられる以前の言語として「映画」を位置づけたいのかもしれないが、実際にはこの『バベル』という映画を前にして人びとが好き勝手なことを言っているのは皮肉なことである。
最近はCGによって作りだされた映像を見て「おお〜!」と思うことは多々あるが、地球上に実際に存在する映像を目の前にして感動したのは久しぶりだった。モロッコは美しすぎる。東京も美しい。米墨国境はさらに美しい。ガエルとボーダー・パトロールとのやりとりの緊張感も、アドリアナが砂漠をさまようシーンの絶望感も真に迫っていた。「国境映画」とはただ国境を映像に収める映画のことではなく、国家間の境界線が生みだす問題点を浮き彫りにするような映画のことを言う。
性的な描写が多いのは、性こそ翻訳はいらないというメッセージだろうか。菊池凜子演じるチエコの行動を見るとそのようである。「バベル」というタイトルから私たちは、この映画が「言語」そのものについて述べている作品だと受け取りがちである。しかし、その「言語」が「国家言語」を意味しているとしたら、そのような捉え方は間違っている。「言語」は国家などによって作りだされた人工言語のことだけを指すのではない。人と人が解り合うためのすべてのツールのことを指す。したがって、同じ国家言語を話しているからといって分かり合えるわけではない。
つまり、言語がバラバラになったから私たちは解り合えなくなったのではなく、私たちはもともと「他者の好意さえも誤解する」ような世界に生きている。そのことを絶えず突きつけられる。この映画の最大のテーマもそこにある。その誤差を少しでも埋めるために言語は作られた。もちろん、それだけでは不完全である。性はその誤差をさらに埋めてくれるだろうか。
現実には、好きな者には拒否されるのに対して、身内の者に対して向けられる性は受け入れられるという矛盾(身内の者に裸体をさらす女性たち)。
死の問題についても、いくらでも考える糸口が与えられている。
恐るべし、いニャりとぅ!
追伸:ガエルの鶏の絞め方が堂に入っていて「さすがメキシコ人!」と思った。
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登録日:2007年 05月 22日 02:30:59
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