チカーノになった日本人

危機にひんする文化遺産、「人間の活動が最大の脅威」

【6月7日 AFP】建築物や美術品の保存などを行っている非営利団体「世界記念物基金(The World Monuments FundWMF)」は6日、世界中で最も危機にひんしているとされる文化遺産100か所を掲載した2008年版監視リスト「World Monuments Watch List」を公表した。
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(c)AFP

AFPBB News


北海道大学の村田勝幸さんが『<アメリカ人>の境界とラティーノ・エスニシティ:「非合法移民」の社会文化史』(東京大学出版会)という本を出版される。6090円と少々値が張るが「買う」以外の選択はないでしょう。読んだらまた感想を書きます。



『KEI チカーノになった日本人』(東京キララ社)を読んだ。ここで名指されている「チカーノ」は、たとえば『アメリカン・ミー』や『ブラッド・イン・ブラッド・アウト』のような映画のなかで重要な場面の一部として描かれる<刑務所>とともに語られるチカーノである。いわば「典型的なチカーノ」と言ってもいい。

アメリカ社会に抵抗する主体としての存在をもっとも先鋭的に体現している人びとである。チカーノが歴史的にアングロ社会のなかで排除されながらも、その結束の強さからくる独特の共同体を構築していることが、塀の中のチカーノ性をさらに凝縮させているわけである。

著者は塀の向こうでチカーノのグループに認められ、10年近くをチカーノとして生きた。この得難い実体験からくる描写は生々しく衝撃的でもある。私はチカーノという存在をいつまでも塀の中の人びとと直結して語ることには違和感を覚えるが、それでも、それぞれのチカーノ共同体の真実の姿を教えてくれる情報からはつねに学んでいたいと思っている。そういう意味では大変勉強になるとともにおもしろかった。

この本の中でチカーノが登場するのは半分を過ぎたころで、そこまでは著者のヤクザ時代のこれまた凄まじい体験が語られる。この前半部分でのハードな経験があるからこそアメリカの刑務所を生き延びるタフさが身についたのだと読者は納得させられるだろう。

しかし、人がヤクザになるか国会議員になるか、あるいは、聖職者になるか犯罪者になるかの分岐点は、人生のある時点での小さなきっかけに過ぎないと思うし、著者はけっして、ヤクザだったことを得意げに語っているわけではない。

そして、チカーノとのつきあいを誇らしげに語っているわけでもない。淡々とした文体にのせて「何かを考えるきっかけになるだけでいい」と語る。「カラーギャングなど、チカーノの表面的な部分だけを真似する若者を危惧する」という文字も見える。

私は著者の思いとは裏腹に彼を神格化するような若者が現れるだろうと予想するし、それは仕方のないことだと思う。しかし、徐々にでも彼のメッセージを読み取れない者は「チカーノ」について語るべきではないだろう。

著者も何度も触れているように、チカーノは精神的な結びつきを最大の特徴とする。仲間意識や家族愛という内面のつながりがもっとも重要なのだ。それは抑圧のなかで生き延びるために必要だからである。だからこそ、遊び半分でギャングとなり、無意味に敵を作り、誰かを傷つけるような行為を著者は戒めるのである。

おそらく、私たちの社会にも「チカーノ性」は必要とされるようになるだろう。しかし、著者に倣って、私たちにとっての「敵」とは誰なのかを判断するくらいの常識と知性は持ち合わせていなければならない。

コメント[4], トラックバック[0]
登録日:2007年 06月 09日 01:40:12

コメント

 こんにちは。本の紹介、いつも参考にしています。今までずっと手探りで本探しをしていましたが、こうして情報を公開して頂けるので、本選びがずいぶん楽になりました。
 会うといつもぎゅっと抱きしめてくれたラティーナ達の肝っ玉母さん的な優しさと思いやりを思い出しました。この本も早く読みたい。
 読みたい本がたくさん出てくるのは、幸せでありがたいことです。いつも娘に邪魔されながら読んでます。
 ありがとうございます。

しも @ 2007年 06月 09日 21:47:24

コメントありがとうございます。近くに住んでいたら、ぜんぶお貸しするんですけどね。というか、すべて100円でお売りします。うちに本がたくさんあるのがイヤなんですよ。

われわれは、喜怒哀楽をストレートに出すことがあまりないですからね。彼らから学んだことを身の回りで生かしていきたいと思っています。

imura @ 2007年 06月 10日 14:52:59

ひゃ、ひゃくえんで売って頂けるのでしょうか?? 買わせて頂きたいんですけど…。

しも @ 2007年 06月 11日 07:59:02

もっているすべての本を100円でお売りするわけではないですよ(当たり前か)。ブックオフに捨てるのなら、知人に二束三文で売った方がいいという感じです。では「いらない本」リストを作成することにします。

imura @ 2007年 06月 11日 20:28:32

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