最近読んだ本
【7月4日 AFP】金融情報Sentido Comunのウェブサイトが2日に報じたところによると、メキシコ通信産業界の大富豪カルロス・スリム(Carlos Slim)氏の資産が678億ドル(約8兆3000億円)となり、米マイクロソフト(Microsoft)のビル・ゲイツ(Bill Gates)会長を抜いて世界一になったことが明らかになった。(c)AFP
日本語で出版されているヒスパニック/ラティーノ本はごくごく限られているので、村田勝幸さんが今回出された新刊『<アメリカ人>の境界とラティーノ・エスニシティ』は非常に意義がある。これから「この道」を目指す研究者にとっては必読本となるだろう。参考文献もとても充実している。読みながら何度も、著者の情報収集能力に驚かされた。しかし、もとは研究論文集(博士論文)であるからラティーノ初心者には向かないのもたしか。この本へ行くまでの橋渡しとなる書物がほしいが、そんな本を日本で出す余裕はないだろう。この国ではラティーノは流行らないのである。その理由はここでは述べない。また、村田さんと私の問題意識はかなり重なっているのに、ここまでキレイに「向いている方向が違う」のもおもしろいと思った。村田さんのこの本は整然とした「教科書」で、私の書くものは妄想爆発の「読み物」なのだろう。いずれにしても、社会学的な側面からの日本におけるラティーノ研究の成果としてお薦めしたい。この本の出版によって、ラティーノをテーマにした、さまざまな著者による論文集を作るくらいの気運が高まることを希望する。
内田樹『街場の中国論』を電車のなかで読了。内田さんのエッセイ本は電車読書に向いている。内田さんの「思いつき」が満載なので、いつでもどこでも止められるからである。しかし、一定のレベルは維持されつつも読み物としておもしろいのはいつものこと。ほぼすべてのページに傍線を引いてしまった。あとがきにある「素人の気楽さ」というのはかなりの謙遜で、中国の専門家は見習った方がよろしいのではなかろうか。一般的に、研究者は、中国バカ、アメリカバカ、メキシコバカ、チカーノバカのような専門バカに陥り、そうでもなければ「学術論文」など書けないのだろうが、それらの成果を専門ではない人びとにわかりやすく解説する義務もあるだろう。彼らが「〜バカ」になってしまう原因は大学機関のもつ蛸壺的な構造上の問題にあるとともに、研究者自身がそこから一歩出て、自らの立ち位置を相対化する努力を怠っているからではないか。というよりも、そもそも、テーマや地域に対する関心や興味がその内部で完結することなどあり得ないのであって、いまだ可視化されていない補助線や、星座を浮上させる線分はいたるところに隠れていることに気づくべきだ。
萱野稔人『国家とはなにか』を読み終わったが、すぐに2回目に突入。文体といい、参考文献のあげ方といい、専門書ではなく一般書。もちろん、こうやってわかりやすく書く方が難しいのは言うまでもない。チカーノ研究者は「チカーノバカ」にならずに、こういった理論書も併読した方がいいと思う。私が読了した本の余白には、たとえば「チカーノの成立はアメリカ国家の成立と裏返しである」とか「暴力のあり方をフロンティアの前線の状況で説明すること」とか「チカーノの歴史をアメリカ史のなかの暴力の歴史として捉え直す」とか「(シュミットの)ラウムをアストランとからめて!」などと書かれている。いまとなってはよくわからん。再読します。
吉本隆明『自著を語る』をさらっと読了。これを読んで彼の思想がわかるわけではないが、すでに慣れ親しんでいる人が読むととてもおもしろいと思われる。聞き手の渋谷陽一さんが専門家ではないところがいい(しかし、とても読み込んでいる)。だいたい、吉本さん自身が専門家ではなく「文芸評論家」だから、彼の文章には人を引きつける魅力がある。学術論文と文芸評論の違いは「人生に生きる意味を与えてくれるか否か」だ。本当の知識人は永遠の素人でなければならない。この本には続編があって、それは『SIGHT』に連載中である。阪神ファンでネコマニアで軍国少年だった吉本さん、長生きしてもらいたいものである。
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登録日:2007年 07月 10日 02:42:29
コメント
また来ました。どうしてラティーノは日本では流行らないんですか? お返事してもらえるのかしらん。
ヨーコ @ 2007年 07月 10日 22:46:10
何度でもこのぼろぼろの暖簾をくぐってくだされ。
なになに「どうしてラティーノは流行らないか」じゃと?
ふむ。じつはなあ、私にもよくわからんのじゃよ。
知ったかぶりなんじゃ。
いくつか理由らしいものも思いつくが、わしの妄想かもしれん。
まずはご自分で考えてみなされ。
では、ばいなら。
安原先生関係はみなさんお会いしてるんですか?
また仲間に入れてください!
いむさん @ 2007年 07月 11日 01:35:12
>まずはご自分で考えてみなされ。
それをしないのが「専門家」じゃない人たちなんですよ(笑)
やはり「専門家」じゃない人むけの文章をお書きになるおつもりはないのですね(涙)
>また仲間に入れてください!
いむさん、忙しそうだからなー
ヨーコ @ 2007年 07月 17日 11:58:34
昨日、早稲田大学で「なぜラティーノは流行らないのか」について私の考えを話してみました。長い話なので、今度お会いするときにでも。別に忙しくないので! 暇だから本ばっかり読んでるんですよ。
いむさん @ 2007年 07月 22日 14:42:05
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