カテゴリー [指定管理者制度]

文化政策業界の”強面担当”指定管理者を切る!

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先週の金曜日は東大で行われた公開研究会「びわ湖ホール問題が投げかけたものー指定管理者制度と公共性」に参加した。

びわ湖ホール問題とは、かいつまんで言えば3月1日付京都新聞記事「福祉予算の増額のためびわ湖ホールを半年間休館し、その間に民間会社をも含めた管理者を公募して自主事業費を削減するなどの予算修正案を検討中」という記事が出たことに端を発した問題である。

以前このブログで紹介したように、「検討中」というのは滋賀県議会の自民党会派である。それに対して「応援する会」ができて29000人の署名を集め、これとは別に芸団協やオーケストラ連盟など5団体が連名で緊急要望書を知事と議会に提出した。

なお、びわ湖ホールは県が100%出資で設立した財団法人びわ湖ホールが指定管理者として管理運営している。

今回の公開研究会は文化政策の研究者やホール関係者などが集まってこの問題を研究しようというもの。当事者であるびわ湖ホールの館長等も出席している。

当日はびわ湖ホール前館長で京都橘大学の上原先生の報告の後若干の質疑。そのあと神戸大学の藤野先生と埼玉大学の後藤先生がそれぞれコメントし、会場とディスカッションに入るという段取り。司会は東大の小林真理先生が担当した。

最初の報告のあとの質疑で、筆者が2点質問した。

Q「利用料金制が導入されたのは指定管理者制度が導入されたときか?」
A(館長)「そのとおり」
Q「財団に県の出向者は何人いるのか?」
A「40名のうち18名が出向者である。出向の理由は県立なので県の意向をよくわかる人間がいる必要があることと、ホールのことをよく理解している職員を県の中に増やすためである。彼らは出向から県庁の各部門に戻って、ホールのよき理解者になってくれる」

この二つの質問は筆者が後ほど「強面」の議論をするための伏線なのだが、長くなるのでいったん休憩。

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登録日:2008年 06月 02日 18:25:59

ここが変だよ指定管理者~びわ湖ホールの怪

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最近さわがしい滋賀県のびわ湖ホール。1998年に開館したオペラを主体にした県立の劇場だ。

京都新聞で「自民党県議団が県の福祉予算減額に対して、びわ湖ホールを半年間閉鎖してその後民間事業者に任せ、4億円を浮かして福祉に投入する提案を検討している」と報じられ、それに対して文化の火を守れ!というような趣旨で「びわ湖ホールを応援する会」が発足し、署名運動が起こっている。

びわ湖ホールを応援する会
http://biwako.e-message.jp/

結局4億円の話はうそで、運営費を1億円減らして福祉に1億円回せ、という話になっているらしい。いかにももっともらしいポピュリズム(大衆迎合主義)の言説で、県民がこんな程度で喜ぶと思うのもばかにした話だ。しかしこれをどう判断するかは県民の問題だ。

しかし、このホールは指定管理者制度のもとで財団法人びわ湖ホールが指定管理者になっているがそこに実は大問題が起こっている。

このホールは5年間の指定で、債務負担行為により5年間55億円(年11億円)の管理費支出を前提に協定(契約)が結ばれているそうだ。これはこのホールが目的とするオペラなどの制作は長期にわたるため妥当な方法だ。ところがその後県の財政再建計画のもと、指定管理者は昨年秋に管理費の削減を飲まされているという。平成20年度は管理費11億円支給のはずが1億1千万円減額されたようだ。既に事業計画は決まっているので財団は自らの基金を取り崩して穴埋めするらしい(自民党県議団はここからさらに減らせと言っている)。

わかりやすく言えば、県(行政府と議会)が契約違反を行い、指定管理者が自腹を切っているのだ。契約を守らないというのは法治国家の根幹を揺るがすものだ。法律は契約当事者双方に契約の履行を迫っている。法にもとづく契約の履行は行政の裁量や議会の議決よりも上位にある。法は自治体の行為も規制している。このような契約違反がまかり通るのでは法治国家は成り立たない。

県と財団にこのような認識がないことが問題だ。契約の当事者は契約に縛られるという点において対等であり、財団はもともと県が設置したものだとか管轄下にあるということは指定管理者の契約の上では関係ない話だ。財団は県を相手に訴訟を起こすべきだ。

筆者がかねてから指定管理者と発注者は「水くさい」関係にある、というのはこういうことなのだが。

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登録日:2008年 03月 15日 11:23:07

指定管理者制度についての三題話

指定管理者制度についての最近の筆者の動き。

1.8月31日はある市の文化施設への指定管理者導入アドバイス会議

募集要項と業務要求水準書づくりにアドバイスしているのだが、すぐれた要項とはどのようなものか次のような話をした。

(1) 基本理念
市の基本理念とそれに基づく施設の基本理念(市の基本理念のどのような部分を担うのか)を明確にする。

(2) なぜ指定管理者か
なぜ直営ではなく指定管理者にするのか、何を期待しているのかを明確にする。

(3) 基本方針
指定管理者に守ってほしい基本方針を明確にする。

(4) 提案
指定管理者に特に提案してほしい部分を明示する。

このような要項は応募側から見ると非常に書きやすいものであり、書きやすいということは優れた提案が集まるということであり、高いレベルの競争でいい団体を選べるということである。
前の記事に書いた千代田図書館では、指定管理者側から、基本方針がはっきりしていたために提案がしやすかった、という話があった。

2.9月2日は「市民と議員の条例づくり会議2007」第6分科会「地域ガバナンスにおける議会の責任」でパネラーとして指定管理者制度の話をした。

指定管理者制度、PFI、市場化テストが進む中で、地方議員の役割は何かというのはなかなか難しい問題だ。非常に専門性の高い分野で、議会が実質的なチェック機関になるというのは現実には困難だ。

筆者の考えは上記1.の(1)基本理念と(3)基本方針の策定に議会が関与すべきだ、というものだ。
拙著「指定管理者は今どうなっているのか」の「指定管理者制度の光と影」で書いたように、指定管理者に対するガバナンスは自治体と利用者・市民並立であり、議会の立場は自治体の側にある。議決によって責任の一端を担っているからだ。だからその意味でもチェックという役割を果たすには限界がある。ガバナンスの一端を担って基本方針を定め、その達成度を評価し、改善を議論する、という役割と思った方がいい。

もうひとつ大事なことは、施設の利用者と利用しない市民は考え方が異なるかもしれない、ということだ。そこを調整するときに議員の出番がある。そのためにも基本理念にコミットしたほうがいい。

3.9月6日は親しい市議会議員から指定管理者について質問する、ということで相談を受けた。

彼女は9月2日の会議にも出席している。彼女は大変おもしろいことをやっている。指定管理者制度が導入されている市内140施設すべての事業報告書を集めようとしているのだ。彼女が集めた事業報告書のいくつかを見ていておもしろい点に気がついた。

ほとんどの報告書が自己評価と改善報告を記載していないのだ。つまりセルフモニタリングができていない、ということだ。利用者アンケートを実施し、その結果を記載しているところはあるが、アンケート結果をどのように評価し、何を改善したかが書いてない。モニタリングの意味が十分に理解されていないのだろう。

そのほかにも、発注者側のコミットメントの問題や、委託費があまりにも安く、指定管理者を有償ボランティアと間違えているのではないかというと事例などいろいろある。

次回の指定に向けて、改善すべき点がいろいろ見えてくるので140事例をじっくり研究したい。

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登録日:2007年 09月 08日 02:13:32

進む行政解体・・・水くさい指定管理者

おとといから腰痛が直らないのだが、本日はそれを押して新幹線で2時間、在来線(もちろんグリーン車)を乗り継いで1時間、関東の某市へ出張。

用事は某市文化振興財団がその市の文化施設の指定管理者に応募するので、事業企画のアドバイスをしてほしい、とのこと。筆者のテリトリー外だが、弊社の営業部門に頼まれて出張ったのである。

ここはもともと郵便貯金の施設だったのだが、最近郵政公社から市に売却された。市はそれを指定管理者の公募にかけた。文化振興財団が地元民間企業と組んで応募する他、東京の大手企業の応募も予想されるとのことで、提案書作りに万全を期すために筆者が呼ばれたのである。財団が取れるかどうかは予断を許さないのだ。

このようなケースが日常になりつつある。行政の解体は着々と進んでいるようだ。

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登録日:2007年 08月 08日 00:18:56

指定管理者本発売!

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指定管理者本が発売になりました。

筆者も書いていますが、それはともかく、指定管理者制度をきっかけに文化財団の改革に取り組んだ三重県文化振興事業団の松浦さんや多治見市文化振興事業団の菱川さんの文章は迫力があります。また、松本さんが書いたアクティオの薬師寺本部長、サントリーパブリシティサービスの伊藤取締役のインタビューも、民間企業の本音や現場の実態が出ていて興味深い内容です。

ぜひお読みいただき、感想などいただければ幸いです。

■書名
『指定管理者は今どうなっているのか』中川幾郎、松本茂章編著、水曜社 2100円

■内容
「全国6万1565の管理者が直面する問題とは!?
ホールや劇場、公園、駐車場など「公の施設」の管理運営が、自治体の指定を獲得した民間企業やNPOなどに委ねられるようになって、はや3年。施行前とは、明らかにちがう動向が見えてきた。

本書は、指定獲得までのノウハウや管理者になってからの新たな業務などを、実践の現場から詳細にレポート。ロングセラーとなった前作を凌ぐ量・質で、現行の担当者はもちろん、実務家にも、新規参入を考えている団体・個人にも待たれていた一冊。

■目次
PART I 指定管理者は今どうなっているのか

1 指定管理者制度のいま―制度の概要と論点/片山泰輔
2 指定管理者制度への移行の現状と課題
第一期の導入状況と第二期へ向けて/草加叔也
行政・指定管理者からみた制度導入のポイント/笠井敏光
3 指定管理者からの報告
三重県文化振興事業団―管理者の裁量権拡大を活かした取組報告と制度の課題/松浦茂之
シアターワークショップ―指定管理者の次に来るものは/伊東正示
NPO法人芦屋ミュージアム・マネジメント―芦屋市立美術博物館をめぐる事情とその展望/柿木央久
多治見市文化振興事業団―指定管理者への道/菱川浩二
4 民間企業に聞く指定管理事業の最前線 聞き手・松本茂章
アクティオ株式会社/薬師寺智之
サントリーパブリシティサービス株式会社/伊藤せい子

PART II 指定管理者制度の可能性を探る

1 指定管理者制度を検証する―選定と業績評価手法をめぐって/中川幾郎
2地域ガバナンスと指定管理者制度/松本茂章
3 指定管理者制度の光と影―「民が担う公共」の可能性/桧森隆一

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登録日:2007年 04月 27日 08:52:11

指定管理者の大事なコツ

今日はある市の文化施設の指定管理者導入のアドバイスに行ってきた。

現在は直営でなかなかいい運営をしているが、平成21年から指定管理者に移行する予定だ。19年準備、20年選考、21年移行ということで意外とゆとりはない。しばらく定期的に通うことになるだろう。

帰りがけに雑談で話したのだが、大事なことはいかに優秀な応募者を多数集めて競争の中から選ぶか、ということだ。民間企業が慎重に案件を選んでいるこんにち、優秀な応募者に来てもらうのも、自治体間の競争になる。

ただインターネットに情報を流して待っているだけでは集まらない。それなりの仕掛けが必要だ。その辺のコツを伝授するのが、これからの仕事になるだろう。

もはや、民間企業を当て馬にして外郭団体に取らせるような時代ではなくなっていることは確かだ。

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登録日:2007年 02月 21日 00:02:23

指定管理者制度の理論

以前ここで紹介した指定管理者制度の本の原稿も少しづつ進んでいるがなかなか完成しない。その言い訳は、書いている途中で日々新たな知見に接するからだ。

例えば、いま指定管理者制度の理論のところを書いている。

「 指定管理者制度は市場を唯一絶対の資源配分システムと考える新古典派経済学の考え方に基づいていると一般には思われているようだが、必ずしもそうではない。既に述べてきたように、指定管理者制度の背景にはニューパブリックマネージメント(NPM)の概念がある。そしてNPMの名付け親であるイギリスの行政学者クリストファー・フッドは、NPMのもととなるアイディアは、プリンシパル・エージェンシー理論などを含む制度派経済学と、マネジリアリズム(1980年代半ば以降の、情報化などを活用した企業の経営革新の動き)の「結婚」である、と言っている。」

という出だしで制度派経済学の理論とそのひとつプリンシパル・エージェンシー理論を簡単に解説し、指定管理者制度の実例を理論的に解明する、というように進んでいる。
ところが先日の審議会のあと同じ委員のTK大K助教授にこの話をしたら、指定管理者制度には取引コスト理論も大いに関係があるのではないかと指摘された。まったくそのとおりで、長くなるから触れずに済まそうと思ったがやはりそうはいかない。指定管理者制度のもとで各アクターは自分の取引コストの最小化を目指す。その結果どうなるかは書かないわけにはいかない。

さて、最近ある市の複合文化施設の指定管理者制度導入のアドバイザーをすることになり、昨日その下打ち合わせが行なわれた。業務水準書を策定するために、詳細な業務項目と、それにかかっている時間数を調査するという。業務量を把握したいからとのことだ。
ちょっと待った!
業務にかかる時間数が重要なのではない。その業務の目的と達成水準が重要なのだ。
例えば、閉館時に各部屋の点検施錠業務を行い、それに30分かかっているとしよう。でも点検施錠業務の目的は何だろう?各部屋を点検し、ごみがあれば拾い、忘れ物があれば回収し、乱れた机や椅子があればもとに戻し、電源を落として施錠する。つまり朝の開場時の状態に復帰させて施錠することが目的ではないのか?そうだとしたらその目的を達成すればよいのであって、30分という時間は問題ではない。目的が達成されれば時間は効率化できればすればよいのだ。方法は指定管理者の創意工夫にまかせる。だから点検施錠業務に30分かけなさい、という決め方は間違いなのだ。
実際に30分働いたかどうかチェックするには大変なコスト=モニタリングコストがかかる。事実上不可能だ。しかし目的を達成しているかどうかは、ときどき朝抜き打ちチェックをすればすぐできる。
これが「限定合理性」の基で「機会主義」を排し取引コストを最小化する「取引コスト理論的解決法」というものだ。


この市では、指定管理者が業務を適切に遂行しているかどうかをチェックするために、職員を常駐させる必要があるのではないか、という議論があるという。これでは何のために指定管理者にしたのかわからない。コストもかかるし、1~2人いたからといって常に見張っているわけにいかないのだから、チェックもしきれない。
そこで、指定管理者が自らPDCAサイクル(プラン・ドゥ・チェック・アクション)を回し、常に改善する、というセルフモニタリングをやらせる。そのために、まずいところをチェックしてけしからん、というのではなく、まずいところを自ら発見し改善したらほめる、というインセンティブを設計する必要がある。そして、指定管理者がセルフモニタリングでPDCAを回しているかをチェックするのが発注者の役割だ。
これが少ないコストで「モラルハザード」を防ぐ「プリンシパル・エージェンシー理論的解決法」というものだ。

このように、指定管理者制度というのは効用最大化を目指して限定合理的に行動する人間の「合理性」を設計することであって、決して「市場の見えざる手」にまかせっきりにするのでもなければ、規則でがんじがらめにするのでもない、ということは認識する必要がある。というのが筆者の考える指定管理者制度の理論だ。誰も言っていないことを書くのは大変だ。

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登録日:2007年 01月 18日 14:06:59

指定管理者制度の正体見たり枯れ尾花

指定管理者制度の本の原稿もようやく完成の目処がつきつつある。

一方、今日は東京で弊社の業務用音響機器営業部門(文化ホールにミキサーやスピーカーを売り込むお仕事)の人たちに指定管理者制度について研修しなければならない。
今まで行政や文化財団、NPOなどでさんざん講演や研修をやってきたが、やっとお膝元からお声がかかったのだ。社外では有名人でも社内ではこんなものである。

それはさておき、民間企業のひとたちに指定管理者制度の説明をするときに気をつけなければならないのは、「制度」という概念に対する官と民の捉え方の違いである。
「制度とは、伝統、慣習、法律といったフォーマル、インフォーマルな規範の体系であり、それらは一定の行為パターンを作り出す」(一橋大学 谷本完治教授)というのが、意識的にしろ無意識的にしろ民間人が抱く概念だ。終身雇用制度、金融制度、結婚制度などが想起される。
だから「制度の変更」や「新たな制度」には、かなり大きな変更、社会的に大きな影響を与える変更というイメージがある。

ところが、行政の概念としての制度はたかだか法律とその運用についてのことに過ぎない。法律を少しいじることを○○制度と称しているのだ。

指定管理者制度は、民間から見ると、「管理に関わる業務を一括して発注できる委託先を拡大した」ということに過ぎない。今まで「公共団体」「公共的団体」「地方公共団体が二分の一以上出資する法人」に限られていたのが民間企業、NPO法人、法人格を持たない団体にも拡大しただけだ。管理者の持つ権限や裁量幅は、良く考えると何も変わっていない。だから、利用者から見れば施設の利用については何も変わらないし、施設に納入している業者から見れば、発注する管理者の名前が変わっただけだ。

民間(企業や利用者)にとってはそこが変わるかどうかが大きな変化であって、管理者がどこであれやれることが同じなら、制度変更といっても泰山鳴動ねずみ一匹だ。サービスの向上やコストダウンは管理者がだれであろうが(制度がどうあろうが)やればいいだけのことだ。

指定管理者制度は、民間委託を進めるにあたって障害になっていた地方自治法244条について、施設の使用許可が行政処分に当るところを議会の議決を必要とすることでクリアして改正したものだ。これを新たな「制度」と言っているのだ。民間(企業や利用者)にとっては使用許可が行政処分かどうかはまったく関係ない。相変わらず受付でおばちゃんが利用許可証にハンコを押してくれるだけで、そのおばちゃんの身分がどこの職員かは誰も考えていない。

これが指定管理者制度の正体見たり枯れ尾花である。

ただし、必ずしも法律には定められていない公募による競争やモニタリング、民間企業・NPOの参入によるサービスの向上、コストダウン、人材活用、地域の活性化などが起こると、その影響で公共施設の管理運営のありかた、ひいては地方行政のありかた、市民と行政の関係が大きく変わる可能性がある。そうなってはじめて制度が変わった、あらたな制度ができた、ということができるだろう。

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登録日:2007年 01月 10日 10:15:05

指定管理者制度の理論と現実

筆者は今、2月に出る予定の著書(共著)の原稿を書いている。本は指定管理者制度に関するもので、筆者の分担は指定管理者制度の理論を明らかにすることである。
しかしなかなか原稿が進まないので、ここで筆者の書く予定の原稿の構成をばらしてしまおう。手形を切ることによって自分を追い込むためである。

(仮題)指定管理者の理論と現実~「民が担う公共」の可能性に向けて
1. はじめに
2. 指定管理者の理論
(1) ニューパブリックマネージメントの潮流
(2) プリンシパル・エイジェンシー理論の適用
3. 指定管理者のガバナンス論
4. 指定管理者の運用
(1) 選定の現実と課題
(2) 運営の現実と課題
5. 指定管理者制度の展望

こうして見ると共著で原稿用紙25枚程度ではもったいない気もしなでもないが、まあこれはダイジェスト版ということで、いずれは事例などもいれて単著で出したいと思っている。
(いいから早く書け←自分)

内容にご質問があればコメント欄にどうぞ。

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登録日:2006年 12月 01日 09:55:59

指定管理者ってどうよ!?その2

指定管理者の問題は、このブログの読者のほんの一部の方しか興味が無いかもしれないが、しばしお付き合いを。

2.民間企業が指定管理者になると、芸術性の高い公演ができなくなる?

クラシック協会会員から、「民間企業が指定管理者になったら、芸術性は高いけれども集客が見込めない弦楽四重奏などはやらなくなって、ポップスや演歌ばかりやるようになるのではないか」という質問が出た。前のエントリーで書いたように、そうなるかどうかは行政側が指定管理者に対してどのような方針を示すかで決まる。行政側は基本的には芸術・文化を目的とする施設と考えているところが多いので、ポップスや演歌ばかり、ということにはならないだろう。

しかし、問題は、行政側の示す地方の文化施設の目的・役割りはほとんどが、地域の文化振興、地域の活性化、地元のアマチュアや地元在住実演家の活動支援、文化創造活動への市民の参加などであって、芸術の振興とは書かれていないところにある。
この目的を受けた指定管理者は、その実現のために、市民・アマチュア参加型企画や、地元演奏家活用企画を考える。プロを呼んでも、市民との共演やアウトリーチ活動が主眼になる。そうなると、芸術性の高い海外の弦楽四重奏などは出番がなくなる。

もとより、芸術は新たな美の概念を創造する活動であるから、若いアーティストにもチャンスはある。しかし、実演の芸術性という観点から見ると、世界の至宝といわれる演奏家と、地元のセミプロの間には、歴然とした、隔絶した力量の差があるのも事実だ。

今までは、そこをわかっている文化財団が、芸術性の高い公演を「恣意的」に自主事業で取り上げてきた。しかし、もし指定管理者に与えられたミッションに、市民への芸術の提供や芸術そのものの振興が入っていないとしたら、地方の公立文化施設からはそのような公演はなくなってしまう可能性が高い。もはや、公立文化施設の自主事業のお金はあてにできないと思うべきだろう。

指定管理者制度のもとでは、行政側、プレゼンター(クラシック音楽事業者)、演奏家側が、芸術性の高い公演を実施するための新たなスキームを考え出さねばならないのではないだろうか。文化政策として、市民・納税者も納得する形で、それができるだろうか?

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登録日:2006年 09月 12日 23:04:17

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Ryuichi Himori
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団塊世代の会社員から、定年を1年半後にひかえ、大学教授に転職しました。肩書きは日本文化政策学会理事、行政経営フォーラム副代表、市民フォーラム21・NPOセンター常務理事などいろいろ。行政経営(NPM)、文化政策、アートマネージメント、NPO論、都市政策などを研究しています。
というような立場を離れて、勝手なことを書かせていただきます。
(なお、mixi Twitterもやってます。)
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