2006年 02月 09日
ムハンマド風刺マンガが誘発した「文明の衝突」
【タブーに挑戦】
イスラム教の預言者ムハンマドを風刺したマンガが、イスラム世界に激しい怒りを巻き起こしていますが、はたして、これは「表現の自由」にかかわる問題なのか。ぼくは今、かなり考え込んでいます。
ことの起こりは、昨年9月30日付のデンマークの新聞「ユランズ・ポステンJyllands-Posten」が掲載したマンガです。12人の漫画家に、イメージするムハンマド像を描かせたものです。ぼくは見ていないから、はっきりしたことはいえませんが、爆弾の形をしたターバンを巻いていたり、短剣を振り回わしていたり、天国では処女が少なくなったと言ったりしている預言者ムハンマドのマンガのようです。
イスラム教では、神や預言者の姿を描くのはタブーだそうです。ユランズ・ポステンがあえてそのタブーに挑んだのには、理由がありました。ムハンマドに関する児童書に絵を依頼された漫画家が、イスラム教徒の報復を恐れて断わるということが、あったのです。同紙はこういう漫画家の「自己規制」を問題にしたかったのでしょう。フレミング・ローズ編集長は「表現の自由」と「宗教の自由」について「建設的なディベートを刺激したかった」(米CNNテレビの対談)と語っています。ところが、「建設的ディベート」ではなく「破壊的衝突」の導火線に火をつけてしまった。
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登録日:2006年 02月 09日 07:57:26
- プロフィール
- 伊藤 延司
- (男)
- 長野県生まれ。京都大学卒。
毎日新聞社ジュネーブ支局長、パリ支局長、学芸部長、出版局次長、英文毎日局長などを歴任。
主な訳書: 『アメリカの鏡・日本』(角川書店)、『壁の向こう側』(毎日新聞社)、『ブッシュ・ベイビーズ』(マーガレット・プライスとの共訳、毎日新聞社)、『犬たちをめぐる小さな物語』(日本放送出版協会)、『ダーティー・ハンズ』(都市出版)など。
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