2006年 03月
「民族浄化」を造り出したのは誰か?
【ポジャレバツ/セルビア・モンテネグロ 19日 AFP】ハーグ(Hague)の旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷(International Criminal Tribunal for the former Yugoslavia,ICTY)で公判中の身にあり、11日に独房で死亡した旧ユーゴスラビアのスロボダン・ミロシェビッチ(Slobodan Milosevic)元大統領(享年64歳)の葬儀が18日、故郷のポジャレバツ(Pozarevac)で行われた。
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(c)AFP/ANDREJ ISAKOVIC
【セルビアの言い分】
アルバニア系住民を虐殺した罪などで、国連の「旧ユーゴスラビア国際法廷」に起訴されていたスロボダン・ミロシェビッチ元ユーゴ大統領が死に、3月18日、生まれ故郷のポジャレバツとベオグラードで追悼集会が開かれました。10万人が追悼に集まったそうです。「スロボ、スロボ」と元大統領の愛称を連呼して涙ぐむ婦人の姿もあった、とか。セルビア人には「NATOとアルバニア人は、コソボのセルビア人を2500人も殺したのに、われわれだけが罪に問われている」という不公平感が強いのです。集会では「スロボはセルビア人のために世界と戦った」「スロボは国際法廷に殺された」などの声が聞かれた、と新聞は伝えています。
「民族浄化のミロシェビッチ」と聞くと、メディアを通してしかコソボのことを知らないぼくは、ついヒトラーみたいな男を思い浮かべてしまいます。
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登録日:2006年 03月 27日 00:22:21
アメリカ批判は 誰にでもできる
【バルセロナ/スペイン 20日AFP】18日、バルセロナでイラク開戦3周年の日に先立って反戦集会が開かれた。ヨーロッパ全土で数千人の人々が街頭に出てイラクからの占領軍の即時撤退を訴えると見られている。各種アンケートでは多くのヨーロッパの人々がこの戦争に反対している。写真は「われわれは戦争が続いていることを忘れなかった」と書かれた横断幕を先頭に歩くデモ参加者。(c)AFP/CESAR RANGEL
【幻滅の時】
イラク開戦から丸3年、どうやらアメリカは幻滅の時を迎えているようです。
CNNテレビが伝えた最近の世論調査では、イラク戦争に「価値がある」と答えた人は37パーセントに留まりました。ブッシュ大統領が03年5月1日、サンジエゴ沖の空母「エイブラハム・リンカーン」の艦上で、高らかに「戦闘終結」を宣言した時は、「価値を認める」人が73パーセントに上っていました。えらい沈みようです。3年前は、この戦争に「勝つ」と信じていた人が、69パーセントもいたのに、いま勝利を信じる人はわずか22パーセントです。
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登録日:2006年 03月 21日 20:01:37
「ミロシエビッチの死」で思ったこと
【ベオグラード/セルビア・モンテネグロ 13日 AFP】ユーゴスラビアのスロボダン・ミロシェビッチ(Slobodan Milosevic)元大統領(64歳)は11日、独房で死亡しているところを発見された。同元大統領は、1990年代の残酷なバルカン紛争における役割に関連して、大量虐殺、戦争犯罪、および人道に対する罪でハーグ(Hague)の国連戦犯法廷で公判中だった。写真はベオグラード中心部にある党本部前で13日、故ミロシェビッチ元大統領に敬意を表して、詩を朗読する年老いた支持者。(c)AFP/DIMITAR DILKOFF
【ベオグラードの賭け】
1980年の2月、ベオグラードのレストランで、日本人の記者仲間の1人と、ある賭けをしました。「チトーが死んだら、ソ連はユーゴに軍事介入する」という彼に、ぼくが「ソ連の介入なんて、あるわけないじゃないですか」と反論したことから、「じゃあ、賭けよう」となったんです。
ユーゴスラビア終身大統領のヨシップ・ブロズ・チトーが、リュブリアナの病院で左足の切断手術を受けた後、重体に陥ったと伝えられたのは、2月半ばでした。第2次世界大戦後、ユーゴスラビアを社会主義連邦として統一し、「非同盟」のリーダーといわれてきたチトーの死は、ソ連共産圏とバルカン半島の間に新たな緊張を生み出さずにはおかない、と誰しもが思っていましたから、世界各国から大勢の記者がベオグラードに集まっていたのです。
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登録日:2006年 03月 15日 15:44:15
日本が常任理事国になれないわけ
【東京 8日 AFP】太平洋戦争開戦の発端となった日本軍のハワイ真珠湾攻撃(Pearl Harbor)から8日で64年目を迎える。小泉首相(Juichiro Koizumi)は30日、きたる東アジアサミット(Asian summit)で靖国神社参拝を「外交カード」として利用しないよう近隣諸国に警告した。写真は8日、東京の靖国神社(Yasukuni Shrine)を訪れる人々。(c)AFP/Kazuhiro NOGI
【中国は舌なめずりをして】
麻生外相が9日の参院予算委員会で、台湾のことを「民主主義がかなり成熟しているし、経済面でも自由主義経済を信奉し、法治国家でもある」と言ったら、中国外務省が、得たりやオウ、とばかりに飛びついてきました。「粗暴に中国の内政に干渉する行為だ」というのです。台湾のことを「国」とか「国家」とか言ったら、中国政府が抗議するに決まってるじゃないですか。なにせ、外務省の局長が「日本のマスコミは中国のマイナス面ばかり書く。日本政府はもっとマスコミを指導すべきだ」という国です。麻生さんの発言は不用意でした。
もっとも、中国には、日本側の「失言」を、舌なめずりして待っているようなところがあります。
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登録日:2006年 03月 10日 20:17:47
兵士にされた子どもたち
【グル/ウガンダ 11日 AFP】ウガンダの反政府勢力、「神の抵抗軍(LRA)」のリーダー、ジョセフ・コニー(Joseph Kony)氏は、自身の元伴侶らに対し10年間にも及ぶ暴行を加え続けた。この事実を被害者である元妻たちが語り始めていて、暴行は誘拐から実質的な暴力にまで及び行われていた。写真は5日、グル(Gulu)のSanta Monica Tayloring Centre for girlsで娘のMercyちゃんとともに座る、元妻のエブリン(Evelyn)さん(23)。(c)AFP/JOSE CENDON
【ヨーロッパの何処かで】
あれは確か「ヨーロッパの何処かで」という映画でした。ナチス・ドイツ軍に両親を殺された子どもたちが、ドナウ川沿いを盗みを重ねながら放浪し、やがて丘の上の古城にたどりつき、そこでドイツ兵と戦うというストーリーだったと思います。遠い学生時代に見た映画ですから、詳しいことは覚えていません。ただ、城壁の上で「ラ・マルセイエーズ」を歌いながら、旗を降る子どもたちのシルエットだけが、今でも目の裏に焼き付いています。
あれから半世紀、ぜひもう一度見たいと思い続けているのは、戦う子どもたちの雄々しさと清らかさが、あまりにも強く印象に残っているからでしょう。そのせいか、「少年兵」と聞くと、ぼくは真っ先に「ヨーロッパの何処かで」のシーンを思い浮かべてしまいます。
ところが、つい最近、CNNテレビでウガンダの「チャイルド・ソルジャー Child soldiers」の実態を目の当たりにして、完全に打ちのめされています。ぼくは、とんでもない思い違いをしていたのです。
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登録日:2006年 03月 04日 13:13:56
シーアとスンニは なぜ憎み合うのか
【テヘラン/イラン 11日 AFP】1979年の革命記念日の11日、多数のイラン人がイスラム強硬派のイラン政権支持を表明する集会に集まった。写真はテヘランで11日、イスラム革命27周年を祝う集会に参加するイラン人。(c)AFP/BEHROUZ MEHRI
【臨界状態の殺し合い】
イラクでは、イスラム教徒同士の殺し合いが、臨界状態に達しています。争っているのはシーア派とスンニ派です。両派の対立は、今に始まったことではありませんが、シーア派の聖地「アスカリ聖廟」が爆破されたことで、報復の連鎖に火が点いてしまいました。
聖廟は9世紀、シーア派第10代イマームのアリ・ハーディと第11代イマームのハサン・アスカリが埋葬されたとされているところです。
その聖なる墓所を爆破したのはスンニ派だと信じるシーア派民兵が、仕返しにスンニ派の礼拝所を襲撃し、そのまた仕返しにスンニ派武装勢力が、シーア派住民に爆弾を仕掛ける、という悪循環が始まったのです。
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登録日:2006年 03月 01日 18:14:24
- プロフィール
- 伊藤 延司
- (男)
- 長野県生まれ。京都大学卒。
毎日新聞社ジュネーブ支局長、パリ支局長、学芸部長、出版局次長、英文毎日局長などを歴任。
主な訳書: 『アメリカの鏡・日本』(角川書店)、『壁の向こう側』(毎日新聞社)、『ブッシュ・ベイビーズ』(マーガレット・プライスとの共訳、毎日新聞社)、『犬たちをめぐる小さな物語』(日本放送出版協会)、『ダーティー・ハンズ』(都市出版)など。
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