2006年 08月
今や遠い記憶となった戦いの理由
【ベイルート/レバノン 26日 AFP】34日間におよぶイスラエル軍の空爆によりがれきと化したベイルート南部の郊外では、停戦から2週間が経過した現在も、住民らの復興作業が困難をきわめている。ベイルートのHaret Hreik地区では、焼けたプラスティックの臭いが漂い、建物の残骸を片付ける切削機がほこりをあげるなか、住民が自宅や経営する商店から使えるものを少しでも運び出そうと苦労している。写真は26日、破壊されたアパートの中から見つけた所持品を持ち出そうとするキリスト教徒のレバノン人男性。(c)AFP PHOTO/ANWAR AMRO
【どっちが悪い人?】
1つの戦争が終わったとき、テレビや新聞は必ず破壊された街の悲惨な光景をクロースアップします。イスラエルとヒズボラの戦争でもそうですが、テレビはイスラエルの空爆で破壊されたレバノン南部の街の映像を繰り返し流しました。そこから、ぼくが受け取ったのは、この破壊をもたらしたのはイスラエル軍であり、戦争の被害者はレバノン南部の住民であるというメッセージでした。
イスラエル側にも、ハイファのようにヒズボラのロケットで民家が破壊され、一般市民が殺傷されたところがあります。しかし、ハイファの惨状はあまり伝えられませんでした。
惨禍の差は、イスラエル軍とヒズボラの破壊力の差に過ぎないのですが、テレビ映像はひどく破壊されたレバノンの方が戦争の被害者であり、だからイスラエルは「悪い人だ」といっているように思えます。
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登録日:2006年 08月 27日 16:32:52
ホロコーストを否定するイラン、イスラエルに銃を向けられないドイツ
<イスラエル軍進攻>ヒトラーと同じとイスラエルを非難 - イラン
【テヘラン/イラン 16日 AFP】イランのマハムード・アフマディネジャド(Mahmoud Ahmadinejad)大統領は15日、イスラエルのイスラム教シーア派武装組織ヒズボラ(Hezbollah)とガザ地区(Gaza Strip)への攻撃は、アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)と同様な手法であると非難した。テヘラン(Tehran)の東部と西部をつなぐトンネルの開通式での発言。写真は祈るアフマディネジャド大統領。(c)AFP/ATTA KENARE
【ホロコーストを風刺するマンガ展】
国連安保理のレバノン停戦決議が発効した8月14日、テヘランでホロコーストを風刺するマンガ展が開かれたと聞きました。一等賞金1万2000ドルで、世界各地から200余点の作品が集められたそうです。
昨年9月、デンマークの新聞がイスラム教預言者のムハンマドの風刺マンガを掲載しイスラム社会の強い怒りを買いましたが、今度のマンガ展は、表現の自由をかざしてイスラム教を揶揄した西欧社会が、ホロコースト風刺にどんな反応を示すかをみるのがねらいだ、と主催者はいっているそうです。
言葉どおりなら、ただのあてこすりですが、このマンガ展の意味は、そんな生易しいものではないでしょう。
西欧社会には、ナチス・ドイツのユダヤ人大虐殺は自分たちの文明が内包してきた反ユダヤ主義の狂的表出、という深い自責の念があります。イスラエルというユダヤ人国家の定礎には、そういう西欧社会の贖罪意識が埋めこまれているのです。
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登録日:2006年 08月 21日 01:19:18
小泉外交は「安保理常任理事国入りに失敗した」のですか?
【ソウル/韓国 2日 AFP】2日、ソウルの日本大使館前で、日韓両国の中間に位置し、共に領有権を主張する竹島(韓国名は独島)を巡る問題について、韓国の退役軍人たちが日本側の主張を非難する集会を開いた。日本は1905年、日露戦争時に竹島を領土に編入し、その後1910年から45年の第2次大戦敗戦まで、朝鮮半島全体を併合した。韓国側は、自国の領有権について数世紀にさかのぼると主張している。写真は2日、日本大使館前で抗議する退役軍人たちの影。(c)AFP/KIM JAE-HWAN
【庶民を錯覚させる罪】
イランのウラン濃縮活動に対する制裁警告決議、北朝鮮のミサイル連射に対する非難決議、そしてレバノン停戦決議案。このところ国連安保理の動きに庶民的関心が集まっています。ぼくの周りで、これほど安保理が話題になったのは初めてです。家のものにさえ「アンポリってなんなの?」と聞かれます。
とくに、大新聞が「常任理事国入りは日本外交が全力を挙げて取り組むべき問題」といったり、小泉外交は「常任理事国入りで失敗した」というような総括をしたりするので、国連安保理への関心が、一段と煽られているように思います。
たとえば、7月2日付け毎日新聞の日米首脳会談に関する社説は、ブッシュ米大統領との「個人的な親密さを武器に安定した関係を築いた小泉首相の功績は評価していい」といいながら、外交については、こう批判しています。
「しかし、小泉首相が良好な日米関係を現実の国際政治に生かし切れなかったのは残念だ。典型的な例は国連安保理常任理事国入りの失敗である。中国の反対も大きかったが、米国の冷淡さは決定的だった。首相の個人的関係に依存し総合戦略を欠いた小泉外交の限界を露呈したものだ」
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登録日:2006年 08月 11日 04:37:35
ユダヤ人とマサダ・コンプレックス
<イスラエル軍進攻>イスラエル首相、ヒズボラ壊滅への強硬姿勢崩さず - イスラエル
【シュトゥラ/イスラエル 2日 AFP】エフド・オルメルト(Ehud Olmert)首相は1日、イスラエル軍のレバノン進攻が終了すれば、イスラム教シーア派武装組織ヒズボラ(Hezbollah)がイスラエルを脅かすことは2度とないだろう、と語った。写真は同日、レバノンとの国境沿いの街シュトゥラ(Shtula)の軍事基地付近で配備につく戦車。(c)AFP/DENIS SINYAKOV
【ユダヤ人はいとこ】
かつて、PLO議長のヤセル・アラファトが、こんなことを言っていました。
「私たちは彼らをJew(ユダヤ人)と呼んだことがない。いとこと呼んできた」
ユダヤ人もパレスチナ人も、同じパレスチナに住む「いとこ同士」だというのです。
一般に「パレスチナ人」といいますが、この呼び方は必ずしも正確ではないかもしれません。「パレスチナ・ユダヤ人」に対して「パレスチナ・アラブ人」と呼ぶべきところでしょう。でも、いつしか「パレスチナ人」で通っています。
パレスチナがイギリスの委任統治下に置かれていた1920年代、ユダヤ人とアラブ人は共に反英闘争を戦っていました。彼らは同じ「パレスチナ人」として、父祖の地をイギリスの支配から解放するという共通目標を持っていたのです。アラファトは、そういうことを言いたかったのだと思います。
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登録日:2006年 08月 02日 12:19:50
- プロフィール
- 伊藤 延司
- (男)
- 長野県生まれ。京都大学卒。
毎日新聞社ジュネーブ支局長、パリ支局長、学芸部長、出版局次長、英文毎日局長などを歴任。
主な訳書: 『アメリカの鏡・日本』(角川書店)、『壁の向こう側』(毎日新聞社)、『ブッシュ・ベイビーズ』(マーガレット・プライスとの共訳、毎日新聞社)、『犬たちをめぐる小さな物語』(日本放送出版協会)、『ダーティー・ハンズ』(都市出版)など。
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