2006年 08月 04日
忘れ去られた従業員
【東京 3日 AFP】製紙業界2位の日本製紙は3日、独占禁止法に触れない10%未満の範囲内で、北越製紙株を取得する意向を明らかにした。王子製紙が2日に開始した北越に対する敵対的TOB(株式公開買い付け)を阻止するのが狙い。今回のケースは、日本の大企業による初の敵対的TOBとして注目されている。北越製紙の市場価値は1668億円に上ると見られる。写真は、記者会見を行う日本製紙の中村雅知代表取締役社長。(c)AFP/YOSHIKAZU TSUNO
業界一位の王子製紙が、業界第五位の北越製紙にしかけた、TOBをきっかけに、業界第二位の日本製紙が、北越の株式取得に乗り出すなど、製紙業界全体が、騒がしくなっている。この北越製紙をめぐる争奪戦は、第三者割当増資を引き受けようとする三菱商事の存在もあり、利害関係者が複雑に絡み合っている。
■これまでTOB関連の報道は、過去にもあったが、業界の一位と二位がからんだものはなかったかもしれない。そもそもTOBは、日本の企業には不向きだ思う。いくら「友好的」といっても、買収された側の心境は、ただならぬものがあるだろう。
■買収され側が抱くイメージは、ヅバリ「支配」だ。看板や名刺はかわり、今までの経営者はクビ。お茶の出し方から、文具の注文にいたるまで、全てのやり方が、買収した側の「企業文化」にとって変わるものだ。
■「企業文化」も、一言でかたずけられるほど単純ではない。部門や機能を切り売りする欧米の企業文化・風習と異なり、先輩や上司から、仕事を教えてもらいながら、一人前になっていく日本の企業文化には、そう易々と、他企業の風習を受け入れられる、習慣もなければ土壌もない。
■買収の目的は何か。最も端的なのは、「相乗効果」だ。今回、王子がTOBを仕掛けた目的は「需要の減少と原材料価格高騰への対応」というものだったが、要は、少量のものを大勢で分けるより、分ける方を少なくしようというものだ。
■ただ、買収によって、相乗効果が即生きるケースもある。レンタルビデオ大手のカルチャーコンビニエンスストア(屋号はTSUTAYA)が、同業者をいくつか買収した例だ。カルチャーは、買収した側の、従業員の士気を高めるため、買収側の店舗を、屋号のまま残したり、買収側だけのやり方を、押し付けるのではなく、お互いの従業員同士を交流させるなど、「した側」と「された側」の区別をしなかったのだ。
■こうした対応が功を奏し、今まで売れなかった商品が売れたり、新商品につながるアイディアが出たりと、ハード面だけでなく、ソフト面での相乗効果が出たのだ。
確かに買収によって、規模は拡大するかも知れない。
しかし、拡大した経営資源を、生かすも殺すも、そこに「集う」従業員次第とはいえないだろうか。
今回の結末はどうなるか分からない。しかし、北越の従業員にとって、モチベーションの上がる結果になって欲しいと思う。
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登録日:2006年 08月 04日 18:56:02
- プロフィール
- 如月 薫
- 東京都在住。外資系メーカーの営業職を経て、某サービス系企業の人事部に在籍。人事・労務業務の他、企業の倒産・再生の取材活動も実施。現在は社員教育、採用に注力する傍ら、フリーで教育・ビジネス関連(ビジネス文書書式集本、中小企業向採用・教育等冊子)の執筆も行っている。
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