TPP参加は日本の国益になるのか
今、TPPへの参加の是非をめぐり、推進派と反対派の溝が埋まらず、与党内が大いにモメている。自民党の谷垣総裁も、野田首相の早期参加表明には、反対の姿勢を表明しており、事態は収束の気配が全く見えない状況だ。
このTPP、環太平洋地域の自由貿易を推進するというものだが、果たして今、日本が参加することが、本当に国益になるのか、疑問でならない。
何が、どう変わるのか、対象分野等も含め、情報がほとんど見えないことに加え、新聞各紙は、参加を歓迎している論調が目立つため、真意が透けて見えないところに不安があるというのが、本音のところだ。
だが、少ない情報を基に考慮しても、どうも、今、日本が参加するメリットは全くないのではないかと思う。その理由はいくつかある。
一つには、日本が輸出できる経済規模が実質的にないこと。
参加9カ国の国内総生産の構成をみると、米国が約70%、日本が約20%で、オーストラリアが5%、残りの国を全部合わせて5%となっており、新興アジアに輸出を拡大する余地がないことがわかる。
二つ目は、米国への輸出はできないこと。
米国は前述のとおり、国内総生産構成比が70%と参加国内で最大だ。輸出対象としては、米国しかない。しかし、米国は今、失業率が高く、国内経済が悪化しているため、オバマ大統領は、2014年まで、米国の輸出を今の倍にすると宣言している。よって、日本は米国への輸出拡大はできない。
三つ目は、日本は決して「鎖国状態」ではないこと。
賛成、推進派の論調の中で、日本の貿易は閉鎖的で、自由貿易協定に参加しないと、鎖国化して世界から取り残されるというものがある。しかし、主要国の関税率を見てみると、主用品の平均関税率は、米国やEUに比べ低くなっており、また既に、12の国と貿易協定を個別に締結するなど、実績もあることから、決して鎖国状態ではない。
四つ目は、震災復興の妨げになること。
野田内閣は震災復興を最重要課題とした。しかし、TPPに参加することで、安価な農作物か輸入されることとなると、被災地域が農業は大ダメージを受け、復興の妨げになる。
それだけではない。農業以外に、保険や医療、金融といった、あらゆる分野において、米国有利の条件を飲まなければならなくなり、日本市場の米国化、デフレの更なる加速と、復興どころか、ますます日本経済が冷え込む可能性が、極めて大きい。
推進派の中には、参加のテーブルについて、条件が合わなければ撤退すればよいという意見もあるようだが、そんなことをすれば、米国はもとより、すべての参加表明国が日本に対して不信感を抱くだろう。外交面にも影響を与えかねない。
野田首相は、近く参加について決断するとしているが、党内もまとめられない状況で参加表明をしたら、それこそ混乱を助長するものだろう。
まずは、復興による日本経済の建て直しを最優先するとこ。TPPについては、その間十分な情報収集、分析を行い、たっぷりと時間をかけて議論をしてからでよいと思うのは私だけだろうか。
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登録日:2011年 11月 06日 09:33:38
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- 如月 薫
- 東京都在住。外資系メーカーの営業職を経て、某サービス系企業の人事部に在籍。人事・労務業務の他、企業の倒産・再生の取材活動も実施。現在は社員教育、採用に注力する傍ら、フリーで教育・ビジネス関連(ビジネス文書書式集本、中小企業向採用・教育等冊子)の執筆も行っている。
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