フットボール界にマイケル・ジャクソンはいらない!(Ⅰ)



最近、インターネット上で配信されている「マイケル・ジャクソン・スペシャル企画」なる番組を見る機会がありました。

マイケルのヒットソングのプロモーションビデオを年代順に14曲続けて観賞ることが出来るのですが、彼が如何に偉大なエンターテイナーであったかを改めて思い知らされた次第です。

9歳の時、ジャクソンファイブで衝撃的なメジャーデビューを果たして以来、40年以上も世界のミュージックシーンをリードし続けてきたのですから当然と言えば当然なのですが、彼の半世紀に及ぶ人生は、まさにKING OF POPの称号に相応しいものでした。

私如きが語ると陳腐に聞こえてしまうかも知れませんが、マイケルは有史以来恐らくは歌って踊れるエンターテイナーの最高峰に位置する人物であったし、死してなお、また未来永劫そうあり続けるのだろうと確信致します。

一方で、特に晩年はその奇行や性癖が取り沙汰され、スキャンダルにまみれた人生でもありましたが、世紀のスターなるものはスキャンダルの三つや四つあって当たり前。むしろあればあるほどスーパースターの証であったりもするので、その点は別にどうということはないのですが、深刻な心の病を患っていたという点では、残念ながら悲劇のヒーローであったと私は思うのです

その深刻なる心の病というのは、彼が極度の醜形恐怖症であったことです。

冒頭のプロモーションビデオは"OFF THEWALL" に始まり、"EARTH SONG"で  終わるのですが、それらはマイケルが半世紀に亘って打ちたてた数々の金字塔の記録であると同時に、彼が黒人独特の風貌から白人のそれになろうともがき苦しんできた歴史を読み取ることが出来るものでもあります。

"BEN"を歌っている頃のマイケルはまだ整形手術を行っていないと思われますが、思春期から青年期に差し掛かる頃から鼻が細くなり始め、そのうちに上を向いたかなり鋭利な蝋細工のような鼻へと変貌して行きます。

また、合わせて顎がかなりシャープになり、その先端が割れて晩年は原形を留めないほど変わり果てたマイケルの人工的な顔を見ることになるのです。

それに拍車を掛けたのが尋常性白斑という皮膚の病気で、皮膚の色素が斑上に失われる為に、それを隠す手段として色素の正常な部分も漂白する処方をマイケルは用いていたと言われています。それ故に、晩年は何とも形容しがたい青白い不健康な肌をしており、直射日光を避ける為に屋外では日傘を使っていたのは皆様の知るところでございます。

それにしても晩年のマイケルの風貌は、オリジナルを留めない別人になってしまっただけではなく、痛々しい手術痕を何かで塗り固めたようなサイボーグのようでありました。

彼は自分自身を、何故あんなにも変えなければならなかったのでしょうか。

私が知る限りでは、マイケルは実父より虐待を受けていたばかりでなく、その大きめの鼻について四六時中貶されていたようです。そのことがトラウマになっての行為であったとするならば、何と可哀想な人生であることか。悲劇とも言えるでしょう。

幼い頃のマイケルは、確かに鼻は大きめかも知れませんが、澄んだ瞳と愛くるしい笑顔の持ち主で、一般的に何らコンプレックスなど持つ必要のない風貌です。そして何よりも天才的な歌唱力とダンスのセンスは、万民の認めるところであり、何らその容姿について思い悩むことなどなかったはずです。そのまますくすくと成長してくれたならば、全世界の黒人社会の希望の星としてどれだけ多くの人々を励ませたことでしょう。個人的には、既に整形手術は施されていましたが、"THRILLER"の頃のままでも素敵過ぎるくらい素敵で、せめてあのままのマイケルでいてくれたならば、彼の人生は良い方へと変わっていたと思う次第です。

しかし、それは虚しいたらればの話しであって、事実はご存知の通り・・・。マイケルは50歳でその余りある才能を発揮し切ることなく、散ってしまいました。

さて、長々とマイケル・ジャクソンのことを書いてまいりましたが、何が申し上げたいのかといいますと、彼の早過ぎる死を引き起こした背景には、彼が育った複雑な家庭環境とレイシズム(人種差別)が深淵に横たわっており、この問題を音楽と並んで人類が創出した偉大な文化であるフットボールの世界に於いて存在させてはいけないということであります。                 (つづく)

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登録日:2010年 01月 28日 20:46:14

コメント

小谷さんがフットボールを通じて平和を訴えていらっしゃるように、七尾旅人というシンガーソングライターは、それをポップミュージックを通じて伝えようとしています。この方はしっかり世の中の現状を見据えた上で、理想を掲げています。
小谷さんの年始の言葉とリンクするものを感じたので、この文章を貼っておきました→http://tavito.seesaa.net/article/137074136.html
よろしかったら読んでみてください。

我々 @ 2010年 02月 12日 14:31:36

はじめまして。
フットボールへの熱いお気持ち、すごく伝わってきます。
これからも楽しみに拝見させていただきます。
頑張ってくださいね。

タミコ @ 2010年 02月 13日 09:34:37

我々さん

ご丁寧に貴重な情報を教えて頂き、誠にありがとうございます。

フットボールに限らず、全ての文化に寄与、貢献するものは世界の平和を願わなければならないというのが私の考えです。

なぜならば、有史以来、文化は平和な国家の中でのみ反映してきたからです。戦火の中で葉決して文化は栄えないのです。

タミコサン

初めまして、そしてコメントをありがとうございました。少しでもフットボール会の為になればという気持ちで今後も私なりのスタンスで発信していきたいと存じます。

まったくの予断ですが、タミコ(民子)というのは私の義理の叔母(故人)の名前と一緒です。優しい人でした・・・。

小谷泰介 @ 2010年 02月 15日 12:01:11

フットボールや音楽に限らず、大衆文化(ポップカルチャー)は時代を映す鏡であると同時に、相互に作用しあうものだと思っています。

小谷さんがフットボールの記事だけでなく、マイケルや野球なども取り上げていらっしゃったので、そうした理解のある方だと思い、上のようなリンクを貼らせていただきました。

こうしたリンクを貼ったということは、小谷さんだけでなくこのブログを見た他の方々にも伝わればいいなと、少しこの場を利用してしまった部分もあります。

諸々の説明不足で、このコメント欄とフットボールを利用してほかのものを伝えようとする流れを作ってしまったことを申し訳なく思っています。
ちなみに自分も回し物ではありません笑。

我々 @ 2010年 02月 19日 15:23:55

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プロフィール
小谷泰介
1955年、タイ王国バンコク市生まれのフットボールジャーナリスト。

四半世紀に及ぶ取材経験を生かしたジャーナリスティック、かつ辛口の解説は、ラジオやテレビで人気を博した。
また、本場欧州にプロクラブの監督や選手の友人が多く、クラブ経営にも造詣が深い。
チーム強化に重点を置いたクラブ運営に関する講演も好評。

著書に「拝啓 川淵三郎殿」(モダン出版)や「Jリーグ入門」[講談社)などがある。
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