暴徒と化したサポーターに告ぐ!!

 ナビスコカップ準決勝、ファースト・レッグの川崎フロンターレ対ジェフ千葉市原戦後に、大変残念なニュースが流れて来ました。

 試合終了間際に川崎DF佐原選手と千葉DFストヤノフ選手が揉み合いとなったのをきっかけに、両チーム入り乱れての乱闘が勃発。

 また試合後には、乱闘の際に佐原選手だけが退場処分になったことを不服とした川崎サポーターが暴走し、着替えたストヤノフ選手に対して2階から水をかけたり、コップを投げつけたといいます。さらに自分の車で帰宅する同選手を追いかけるサポーターもいたとか。

 そればかりでなく、ジェフ千葉市原の乗ったバスを川崎サポーターが取り囲み、「出てこいや~!」とか、「オシムがいないと何もできないくせに!!」といった罵声を浴びせたようです。

 う~む、何とも残念な出来事であり、起こってはいけない事件であります。

 ところでまず、始めにお断りしておきたいのですが、今回は、全ての騒動の発端となった佐原、ストヤノフ両選手絡みの暴行、両チームの乱闘、そして審判のジャッジについて、つまりピッチ上の出来事についてのコメントは、試合を見ていないということもあり、控えさせていただきます。

 このピッチ上の出来事もあってはならないことだし、審判の質も含めてJリーグが抱える問題点なので、もう一試合の準決勝で起こったフェアプレー絡みの問題と合わせて、別の機会に述べることに致します。

 そして、ここではあまり議論の対象となっておらず、マスコミも批判をしていないサポーターの暴走について指摘させていただきたいと存じます。

 それにしても、何故Jリーグではこういった類のサポーターによる暴走が起きるのでしょう。

 もちろん、本場の欧州、南米にもフーリガニズムは存在しますが、現在はフットボールの試合当日にスタジアム周辺を借りて、相手サポーターを襲撃することでストレスを発散させるというパターンが殆どです。これはこれで大変に根が深く、時として殺傷事件に発展する質の悪い問題なのですが、試合の判定や選手のプレーを巡ってサポーターが、選手を対象に暴徒まがいの行動に出るのは日本独特のものです。言語道断の愚行です。

 サポーターはフットボール市場に於ける消費者ですから、様々な権利を主張することも許されるし、守らなければならない立場にあるのも事実ですが、9月3日の試合後の彼等の行動は許されるものではありません。サポーターにあるまじき行為であります。

 まず、ストヤノフ選手に水をかけたり、コップを投げつけるのはどんな理由があるにせよ、暴力行為と何ら変わりはありません。

 バスを取り囲むことは業務妨害ですし、それぞれ犯罪まがいの行為なのです。

 川崎フロンターレ側は、公式ホームページでお詫びとお願いと称し、トラブルを未然に防げなかったことを反省、謝罪。また、情報の収集と事態の収拾に努め、試合運営と警備体制の見直しを図るとしていますが、ここは騒ぎを起こした主犯格を割り出し、ある一定期間の入場禁止などの断固たる処分を下すべきでしょう。

 川崎フロンターレが再発を防止したいのであれば、それは最低限なされるべきことです。

 ところで、今回は事件に限らず、何故日本では、サポーターが不甲斐ない試合をしたチームに対してバスを取り囲んで罵声、怒号を浴びせたり、監督出て来い、社長出て来いとわめくのでしょうか?!

 まず、はっきりさせておかねばならないと思うのですが、サポーターにそんな権利はありません。株主ではないからです。そして、例え株主であっても、そういった苦情、陳情は株主総会等の法的措置に則って行われなければなりません。

 不甲斐ない試合に対しては、スタンドで、自分のシートからブーイングを浴びせるなり、抗議のバナーを掲げれば良いのです。(因みにクラブ側には抗議のバナーを取り下げさせる権利はありません。)

 チケット購入者であり、サポーターなのだから、応援するのは当然のことですし、お金を払うに値しない行為には、或いはフェアプレーに反するプレーなどには容赦なくブーイングを浴びせれば良いのです。

 先のワールドカップの準々決勝のイングランド対ポルトガル戦で、ルーーニーの退場を煽ったクリスチャン・ロナウドに対し、数万人のイングランド・サポーターは以後、彼がボールを持つ度に、耳がつんざくようなブーイングと口笛の嵐で抗議し続けたのは記憶に新しいところですが、あれがサポーターのあるべき姿なのです。

 結局あの試合でイングランドはPK戦の末敗退しましたが、試合後にクリスチャン・ロナウドに水をかけたり、追いかけたりするサポーターは無論いませんでした。スタジアムの設計がしっかりしていることや、警備システムの違いはあるにせよ、イングランドのサポーターはフットボールを良く理解しています。日本で廃藩置県が実施された時、既にFAカップを開催していたフットボールの母国だけのことはあります。

 同じイングランドのプレミアリーグですが、Jリーグのように大きな旗や、鳴り物を持ち込むサポーターは存在せず、フットボールというアートを楽しむ、観劇に行くといった乗りでスタジアムに足を運んでいます。そう、大好きなミュージシャンのコンサートに行く感覚に近いものと言ったら良いでしょうか。それが故に贔屓のクラブの選手の良いプレーには、すかさず拍手を送り、それが一糸乱れず数万人の規模で行われる様は、鳥肌が立つほどです。

 日本ではいきなりJリーグが出来、まずクラブありきでサポーターが誕生してしまったために、そのサポーターがやたらに応援するチームに傾倒してしまっているように見えます。俺が応援しなくてはこのチームはダメなんだといった感情や、俺がこれだけ応援しているのにといった思いが強過ぎるのです。

 後にタニマチ根性とでもいうのでしょうか、サポートに対して何か見返りを求めている部分が見え隠れします。

 もちろん、それは一部のサポーターにしか過ぎず、殆どは善良なサポーターなのですが、本場と比較した場合に、かような違いが見受けられるのです。

 まず、フットボールありき!! そして、それは文化であり、その最高峰の体現者、アーティスト達がプロ選手達! そしてそのアートを楽しむ場がJリーグという意識が育てば、今回のようなトラブルはなくなると思うのですが、いかがなものでしょう。

 JリーグはプレミアやセリエAとレベルが違うんだとお叱りを受けそうですが、本場にもリザーブリーグや、3部、4部といったレベルの低いリーグが存在します。そして、それらのサポーターは、暖かくチームをサポートしているのです。

 いずれにしましても、最後にこれだけは声を大にして申し上げたいと思います。ピッチ上での暴力行為や、妨害行為は犯罪であるということ!逮捕されても仕方のない行為なのです。そしてどうしても抗議をしたい場合は、スタンドのシートの上で行うこと!(声を合わせるとその効果は絶対です。)

 そして、あまりに不甲斐ない試合だと感じたのならば、次からはスタジアムに足を運ばないこと。北朝鮮への経済制裁ではありませんが、これがクラブには一番応えるからです。

 以上、今後二度とサポーター暴走のニュースは聞かなくて済むことを心から願います。

コメント[12], トラックバック[0]
登録日:2006年 09月 08日 22:32:30

コメント

この国の応援団(日本にサポーターは存在しません)それを求める無理でしょう

東プリ @ 2006年 09月 10日 15:33:12

東プリさんのおっしゃらんとする意味が良く理解できません。日本にサポーターは存在しますし、歴史は浅くとも日本のサポーターが世界に誇れるものはあります。
また、今回のような愚行を起こすサポーターに対しても、クラブが話し合いや指導、啓蒙を行う等の努力で、徐徐にではあるかもしれませんが、改善されて行くと確信致します。
本場、欧州にも、フーリガニズムの他に、レーシズムという何年経っても根絶できない深い病巣が存在します。
フットボールを愛していらっしゃるのならば、無理と決め付けず、ご自身で出来ることから何かをなさっていただければと思います。

小谷泰介 @ 2006年 09月 11日 13:22:27

どうしてJリーグの応援団は試合後選手に挨拶を求めるのですか?また挨拶を行なうのも、入場券を買ってスタジアムに足を運んだ観客の全ての人たちではなく、ごく一部の応援団のみに、、、この習慣が応援団を勘違いさせて数々の愚行が過去に起こっているのではないでしょうか?だいたい試合後のあのような儀式を行なっているのはサッカー後進国です。まあ日本は全てにおいてサッカー後進国ではありますけど、、、

東プリ @ 2006年 09月 22日 22:47:27

試合後に、選手たちがサポーターに挨拶をするのは、Jリーグに限ったことではなくヨーロッパでも良く見られる光景です。
ただし、Jリーグのように観客席のすぐ側まで行って握手をするようなことはありませんね。アウェーの試合では時々目にしますが・・・。
私が目撃したのはいずれもブレーメン絡みの試合ですが、’93年のカップ・ウィナーズカップ決勝でモナコを破ったとき、遥々リスボンまで駆けつけてくれたサポーター達にイレブンが駆け寄り、丁寧に感謝の意を表していました。また、ユニフォームをスタンドに投げ込んだ選手もいました。
もう一試合は、2001年のブンデスリーガ、アウェーの対バイエルン戦での出来事です。接戦の末、試合終了間際にピサロが決勝ゴールを決めて、ブレーメンが3対2の劇的勝利を収めたのですが、この時も、試合後に選手全員がスタンドに駆け寄り、熱いエールを交換していました。
要は、選手とサポーターが一体感を共有したときに、このような美しい光景が自然発生するのだと思います。
そういえば余談にはなりますが、アレックス・ファーガソンがアバディーンの監督をしていた頃、これまたカップ・ウィナーズカップのアウェーでイプスウィッチを破った時、スタンドを指差して選手達にサポーターのところまで挨拶に行けと叫んでいたことを思い出しました。

小谷泰介 @ 2006年 09月 27日 12:25:43

アウェーでサポーターと勝利の喜びを分かち合うのは十分理解できます.。自然発生するその光景は美しいと思います。しかしながら日本では93年以来自然発生という現象は消えています。Jリーグのそこにあるものは勝ち試合でも負け試合でも個人の感情に関係なく義務で挨拶する選手と、挨拶を要求し勝ち試合は俺たちの応援で勝たせた自己満足し、負け試合は選手を罵倒する高飛車な応援団と言う光景です。まぁ応援団と馴れ合いの関係になっているサッカー協会、jリーグ、チームのフロント、選手、マスコミに問題もありますが、、、

東プリ @ 2006年 10月 01日 16:52:50

東ブリさんの指摘なさることは一理ありますが、全てのサポーターがそうだとは思いません。また、93年以降、自然発生という現象が消えているとも思いません。
東ブリさんのように、Jリーグのサポーターに対して、極端に批判的かつ悲観的な方がいらっしゃることを憂います。
以前にも書きましたが、だめだと決め付けず、どうしたら改善されるのか、そしてそのためには一人のサポーターとして自分に何が出来るのかを考えて、実行していただければ幸いです。
また、東ブリさんには、これに懲りずに今後とも当ブログに関するご意見ご感想をお寄せいただきますようお願い申し上げます。

小谷泰介 @ 2006年 10月 02日 21:25:36

何に懲りるのかわかりませんが、サッカーで飯を食べている人たちが飯の腐っているおかずにクレームをつけないということはよく理解できました。

東プリ @ 2006年 10月 07日 10:16:16

東ブリさん
飯は腐ってても、腐っていないおかずにはクレームをつけないという貴殿の表現は、なかなかユニークですね。感心致しました。
そういう意味では、懲りずにと言う表現は、貴殿が腐っているじゃないかとおっしゃることに対して、「いや、おかずは大丈夫だし、おいしいよ!」と私が言い張っていることを、指します。「腐っても鯛」という表現もありますし・・・。

小谷泰介 @ 2006年 10月 10日 11:43:54

腐ったミカンと言う言葉もあります、、
コインを表と裏、違う角度から見ているもの同士がコインの柄で意見が合うことはないと思いますが、、、
取れたての新鮮なミカンがミカン箱に入れられ、腐ったミカンに感化されて、フットボールの本当の素晴らしさをわからないのは気の毒なことです。

東プリ @ 2006年 10月 19日 14:33:30

勿論、腐ったミカンがミカン箱に入っていたらその廻りのミカンから徐々に腐っていきます。

本来、ミカン箱の中には腐ったミカンがあってはならず、あれば取り除くべきなのです。
でも、主にそれはミカンの生産に携わる農家の方々の仕事です(フットボールの世界で言えば、FIFA,各大陸の連盟、各国のFA、或いは各国のリーグに所属する人々の仕事)。

但し、サポーターも言わば消費者ですから、腐ったミカンの入ったミカン箱が市場に出回れば、大いにクレームをつけるべきです。(この点については、英国のFootball Supporters Federationという団体が,先進的な活動をしています。)

ミカンはビタミン豊富なおいしい世界中の人に愛されているフルーツなのですから。

小谷泰介 @ 2006年 10月 24日 18:04:04

もちろん、本場の欧州、南米にもフーリガニズムは存在しますが、現在はフットボールの試合当日にスタジアム周辺を借りて、相手サポーターを襲撃することでストレスを発散させるというパターンが殆どです。これはこれで大変に根が深く、時として殺傷事件に発展する質の悪い問題なのですが、試合の判定や選手のプレーを巡ってサポーターが、選手を対象に暴徒まがいの行動に出るのは日本独特のものです。言語道断の愚行です。

と、ありますが、これは勝手なことを言ってるとしか思いません。
自分は南米に住んでましたけど、試合の判定や選手のプレーを巡ってサポーターが、選手を対象に暴徒まがいの行動に出るのは日本独特のものではないでしょう。

大谷 @ 2008年 03月 05日 19:49:56

コメントを有難うございます。

今ひとつ貴殿のおっしゃりたいことの本質が摑めないのですが、勿論、南米にも試合判定をめぐってのイザコザはあるでしょう。

ただ、私が強調したかったのは、ヨーロッパでは特にイタリア、南米では特にアルゼンチンには、日本で言えば暴走族のような連中が、フットボール場、或いはその周辺を借りてストレスの発散行為を繰り広げていて、それが時に死傷事件に発展死するわけで、幸い日本にはそのような輩はまだ存在しないということであります。

そして、それに比べると、判定やラフプレーを巡って激高し、先日のXEROX SUPER CUPでのアントラーズサポーターのようにピッチまで下りてきたり、社長を出せ、審判を出せなどとわめいたりするのは可愛いもので、日本らしいと申し上げたかった次第です。

いずれに致しましても、正確な表現ではなかったことをお詫び申し上げます。

小谷泰介 @ 2008年 03月 05日 20:54:47

コメントを追加

Trackback

この記事に対するトラックバックURL:

カレンダー
< 2006年 09月 >





1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
プロフィール
小谷泰介
小谷泰介
(著者近影:昨年7月にチェルシーFCのレジェンドで元イングランド代表のケリー・ディクソン氏とともに)

1955年、タイ王国バンコク生まれ。
フットボール・ジャーナリスト。
四半世紀に及ぶ取材経験をベースにしたジャーナリスティック、かつ辛口の解説はラジオ、テレビで人気を博した。
また、欧州のプロクラブの指導者や選手に知己が多く、クラブ経営にも造詣が深い。
チーム強化に重点を置いたクラブ運営に関する講演も好評。

著書に『拝啓 川淵三郎殿』(モダン出版)などがある。
最近のトラックバック
[12/05] スッキリ♪
カテゴリー
お気に入りリンク
検索