伝説の樵(きこり) オシム
<サッカー アジアカップ予選>イエメンvs日本、 日本 我那覇のゴールで辛勝 - イエメン
【サナア/イエメン 6日 AFP】サッカー、第14回アジアカップ(Asian Cup)予選・グループリーグA、イエメンvs日本。試合は、日本が後半ロスタイムに途中出場の我那覇和樹(Kazuki Ganaha)のゴールで1-0とイエメンに辛勝した。尚、日本は同グループのサウジアラビアがインドに勝ったため残り2試合を残して本大会出場を決めた。写真は、ゴールを決めて喜びを爆発させる我那覇。(c)AFP/AMIN CHAMI
新生日本代表がアジアカップ予選中東ラウンドを1勝1敗の成績で終えました。
各マスコミは相変わらずかなりのスペースを割いてこの2試合を報道、分析、そして解説を加えていますが、私は現段階で勝っただの負けただの一喜一憂することは全くありません。
ことアジアカップの予選に関しては、2位以内で本選に進めれば充分であり、本大会でも優勝にこだわる必要はないと考えています。何故ならば、今の日本代表は誰が監督を務めてもアジアカップの予選は通過出来るし、本大会でも優勝とまでは行かずともある程度の成績は残せるからです。
それよりも何度も申し上げますが、オシム・ジャパンの最終目的は2010年のワールドカップ本大会でグループリーグを突破し、あわよくばベスト8に進出し、世界をアッと驚かせる(世界から称賛される)ことなのです。
それをちょうど複雑なジズゾーパズルを完成させる道程に例えるとすれば、オシムのことですから、既にシミュレーションを終えて大体のイメージも出来上がっているはず。そして、今はパズルの表箱の完成画を眺めつつ、楽しみながら各ピースを色分けしているところでしょうか。
パズルを組み合わせる初期段階で、早いだの遅いだの、或いは手つきがぎこちないだのと騒ぐのは滑稽であるし、オシムが今どんな木を植えているかではなく、どんな森にしようとしているのかをまず知るべきではないかと思うのです。
2002年の日本の森は植林計画が功を奏したのか、はたまた偶然の産物だったのかは別として、良く育った大木が多く、世界的にも見劣りのしないうっそうとしたりっぱな森でした。
しかし、その後りっぱな木々が伐採され、2010年に向けて新たな植林計画を練らねばならないとすれば、オシムは何を考えるでしょう?!
私なら、オシムは伐採されなかったりっぱな木々を中心にどこに何を植え、どのようにして深い森の緑を取り戻すかを考えると思います。
中田大檜や、宮本杉は伐採されてしまいましたが、中村杉や小野檜は健在ですから、その回りにどのような木々を植えていくのかということです。
なお、私は庭師ではありませんし、ガーデニングに関する知識も持ち合わせていませんが、庭園を設計する時も、もともとある木や池をどう活かすかが腕の見せどころなのだと思います。最初から全てを設計するにしても、木や大きな石や、池といったポイントとなる装飾物や素材の位置は、いの一番に決めるはずです。
つまり、私はこう思うのです。オシムはレイアウトの基本となるポイントはもうすでに決めているのではないでしょうか。すなわち、2010年の日本代表の軸となる選手は既に大体は決めてあって、今はその補佐をする選手(水を運ぶ選手)の育成と選定を行っているのだと。それには伸びしろのある若手も対象になるのは当然です。その中から将来の大黒柱が育つかも知れませんし、何と言っても若い選手は上達が早いからです。
軸となる選手は、いわゆるクォリティー・プレイヤーと呼ばれる選手であって、私は年齢等も考慮するとセルティックという欧州の名門でレギュラーを張って いる中村選手、或いはフランス1部のル・マンの中心的存在として活躍する松井大輔選手らがそれに該当すると考えます。小野伸二選手や稲本選手もその構想に入っていると思いますが、オシムならば彼等のレベルの高さは良く熟知しているはずで、今は自分の所属する本場のクラブで不可欠な存在となるよう努力を重ねなさいと暗黙のサインを送っているに違いありません。そのうちお声を掛けますよと・・・。要するに今は森としてのバランスが悪く、ハゲ山となっている部分に新芽を植え、育てる時期だということです。
このように考えれば、今の段階で細部にこだわって現在の新生日本代表をああだこうだと批評することの無意味さをわかっていただけるのではないかと思うのです。
まあ、何にせよ、そういったオシムのチーム造りに思いを巡らせる度に痛感することは、2006年のワールドカップはつくづくもったいなかったということです。
日本代表史の中でも希に見るタレント陣を擁しながらも、グループリーグで散ってしまった日本代表は素人庭師のおかげでせっかくの良い素材を台無しにし、ガーデニング・コンテストに予選落ちしてしまった庭のようなものです。
世界森林コンテストなるものがあるとすれば、りっぱに成長した杉や檜、さらには秋に美しい色彩りを添える木々を包括した美しい森を、樵とも呼べぬ人物によって枝打ちもせずに放置され、美観を損ねてしまった森林とでも言うのでしょうか。
まぁ、愚痴をこぼすのはこの位にしておいて、これからは伝説の庭師、はたまた樵(きこり)とも言うべきイビツァ・オシムの造園、或いは森作りをじっくり観察し、大いに楽しみたいと思います。そして4年後には、なるほどオシムはこんなに見事な日本庭園(日本の森)を造りたかったのかと感涙し、ともに喜びを分ち合いたいものです。
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登録日:2006年 09月 12日 21:25:06
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- プロフィール
- 小谷泰介
- (著者近影:昨年7月にチェルシーFCのレジェンドで元イングランド代表のケリー・ディクソン氏とともに)
1955年、タイ王国バンコク生まれ。
フットボール・ジャーナリスト。
四半世紀に及ぶ取材経験をベースにしたジャーナリスティック、かつ辛口の解説はラジオ、テレビで人気を博した。
また、欧州のプロクラブの指導者や選手に知己が多く、クラブ経営にも造詣が深い。
チーム強化に重点を置いたクラブ運営に関する講演も好評。
著書に『拝啓 川淵三郎殿』(モダン出版)などがある。
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