Well done! 原さん、そしてWelcome!ザッケローニ監督


注目の日本代表新監督は以外にもザッケロー二氏でした。

私はスペインのサラゴサを率いて旋風を巻き起こし、FCポルトでも結果を残しているフェルナンデス氏であれば良いと期待していただけに、正直に申し上げれば今回の発表は残念な部分が無きにしもあらずでした。しかし、それはザッケロー二氏のことを私自身が良く知らなかったからに過ぎず、欧州に於ける大物選手や監督獲得の難しさを考えれば、日本協会、というより原さんは今回の交渉をよくぞ纏め上げたと思います。

今回のW杯での結果を受けて、原さんは岡田監督が土壇場で取ったシステムに未来があるとは考えていらっしゃるはずがなく、ブラジル大会では次のステップ、つまりベスト8の壁を破ることの出来る人物を選ばねばという姿勢で交渉に臨んでいらっしゃいました。それは長かった交渉期間中終始一貫して変わっていなかったはずで、ザッケローニ氏自身も本場で名だたるクラブの監督を歴任した人物ですし、実際に原さんが接触を認めたペジェグリーニ氏にしても、ヴァルヴェルデ氏にしても世界に名の通った名白楽です。

はっきりと申し上げられるのは、市場の相場からすると、今まで日本代表監督を務めたどの監督よりもレベルの違うところにいる人物との交渉を原さんは成功させたということです。勿論、年俸もそれなりに高いでしょうが、幾らお金を積まれても極東の日本なのでお断りというケースが過去にあったことを忘れてはなりません。さすがはスペインを中心に、欧州に太いパイプを築いてこられた原さんのことだけはあるなと感心した次第です。

一部のマスコミが交渉の遅れを糾弾する愚行を犯していましたが、W杯の本大会に出場し、そこで最良の結果を出すことが日本フットボールの発展に大きく寄与することを考えると、今の段階で交渉を焦る必要などなく、W杯明けの2、3試合くらい代表監督が代行であってもどうということはありません。多少時間は掛かっても納得の行く人選に徹すべきであり、原さん以下協会役員からは安堵の表情が見て取れるので、取り敢えずはこれで良かったということでしょう。

取り敢えずと申し上げたのは、まずは羅針盤を手に舵取りをしている原さんが納得できる人物を獲得できたとは良しとしても、大事なのはその人物が思う存分に力を発揮できるように徹頭徹尾サポート出来るかどうかだからです。当たり前のようなことで、これがなかなか難しいことは想像に難くありません。言葉や慣習の違いから起こる問題もさることながら、マッチメークを余程上手くやらないと、ザッケローニ氏がスポンサーの為に開催する無意味な親善試合の多さを嘆くことは容易に想像出来るからです。

なお、就任会見のザッケローニ氏の発言等を伺っていると、人間性の良さ、謙虚さが滲み出るようなコメントをされているので、大変に好ましく思います。例えば、自分はアジアと日本のことは分からないと素直に認めてその部分のサポートを求めているところ、日本人に成り切ることが大切で次回の会見は日本語でやりたい(勿論冗談)と話されているところ、そして記者会見の翌日には早速Jリーグの試合の視察に訪れているところなどは、人間性の良さを浮き彫りにしています。

人間性の良さといえば、原さんもその点では人後に落ちない方です。私も個人的に随分とお世話になりましたが、本当に謙虚で愛すべき正確の持ち主であられます。同氏が浦和レッズ監督時代の出来事ですが、ペトコビッチ選手が不甲斐ないプレーに終始したイレブンに対してロッカールームで「君達は原監督のような素晴らしい監督を男にしたくないのか!」と訴えたこと然り、チキことベギリスタイン選手が浦和を離れても、原さんとは太いパイプを築いていたことも然り、全てはその素晴らしい人間性ありきの話であります。

何故人間性の話をしているのかと言いますと、良い監督の最大の条件の一つが、良い人間性の持ち主、人格者であることだからです。恐らく数回にわたる交渉の過程で人格者の原さんの琴線に響く何かを持っていたザッケローニ氏のことですから、その大事な条件はクリアしているはずです。監督としての経歴も申し分ありませんので、一年ごとに見直しをするのも結構ですが、ここはひとつ2014年まで原さんと二人三脚で突っ走って頂きたと言ってしまうのは早計でしょうか。

ただひとつ気になるのは、近年のザッケローニ監督の成績を見てみると運に見放されているのではないかと思われる点があることです。強運の塊のような岡田監督が土壇場で結果を出したように、強運の持ち主であることも良い監督の条件であります。その点だけは今は神のみぞ知るですが、これまでよりは遥かに理にかなった好ましい格好で誕生したザッケローニ・ジャパンの未来に、幸多かれと心よりお祈り申し上げます。

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登録日:2010年 09月 01日 22:40:29

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プロフィール
小谷泰介
1955年、タイ王国バンコク市生まれのフットボールジャーナリスト。

四半世紀に及ぶ取材経験を生かしたジャーナリスティック、かつ辛口の解説は、ラジオやテレビで人気を博した。
また、本場欧州にプロクラブの監督や選手の友人が多く、クラブ経営にも造詣が深い。
チーム強化に重点を置いたクラブ運営に関する講演も好評。

著書に「拝啓 川淵三郎殿」(モダン出版)や「Jリーグ入門」[講談社)などがある。
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