ワールドシリーズと日本シリーズに想う
<MLB 06ワールドシリーズ>セントルイス・カージナルスvsデトロイト・タイガース・第5戦 - 米国
【ミズーリ/米国 27日 AFP】MLB・06ワールドシリーズ、セントルイス・カージナルス(St. Louis Cardinals)vsデトロイト・タイガース(Detroit Tigers)・第5戦。第4戦を終えて3勝1敗でワールドシリーズチャンピオンに王手をかけたカージナルスは、4-2の接戦の末タイガースに勝利、第2戦の黒星から3連勝を収め、地元ブッシュ・スタジアム(Busch Stadium)で24年ぶり10回目のワールドチャンピオンに輝いた。(c)AFP/Getty Images Jed Jacobsohn
セントルイス・カージナルスが大方の予想に反し、24年ぶりのワールドシリーズ優勝を決めました。
ご存知のようにそのワールドシリーズでは、37歳の田口 壮選手が守備に打撃にいぶし銀の活躍を見せ、優勝に貢献し喜ばしい限りです。イチロー選手も好きですが、私はあのバンビのような目をした田口選手が大好きなのです。
イチローの所属するマリナーズと違って、カージナルスはポストシリーズの常連の強豪ですから、なかなかレギュラーには定着できませんが、攻走守3拍子揃った選手としてチームになくてはならない存在でした。
セントルイスのファンにも愛されている様子はテレビの画面からも充分に伝わってきたし、苦節5年でメジャーの頂点まで上り詰めることができて、本当に良かったなと思います。かつては2Aも経験したことのある苦労人だけに、心から祝福したい気持ちで一杯です。
この快挙をフットボールの世界に置き換えてみると、まさにチャンピオンズリーグ優勝チームの一員として、時には先発、時にはベンチスタートで途中出場したりという事になるのでしょうが、そんな選手はまだ日本のフットボール界にいないだけに、尊敬に値します。
もし、セルティックが今季チャンピオンズリーグで優勝すれば中村選手が、或いはガラタサライが優勝すれば稲本選手が田口選手と肩を並べることになるのでしょうが、その可能性は極めて薄いと言わざるを得ません。
また、言うまでもなく、昨年のワールドシリーズでは井口選手がホワイトソックスの一員として優勝に貢献しており、翻ってフットボール界に於いては2年連続でチャンピオンズリーグ優勝チームに日本人選手がいるなどという状況はまず考えられないことであります。
何が申し上げたいかというと、日本のプロ野球界は伊達に70年の歴史を刻んでいないという事です。つまり、当初は全く歯が立たなかったメジャーリーグではありましたが、年月をかけて日本人特有の緻密さと器用さを磨き、つなぐ野球に代表されるスモールベースボールを熟成させ、肩を並べるまでに至ったのです。
肩を並べたというのは過大評価かもしれませんが、同じ土俵の上にに乗ったことは間違いないのではないでしょうか。その証明が、今年のWBC優勝であり、イチローの年間最多安打賞獲得であり、そしてまた2年連続の日本人選手ワールドシリーズ獲得なのだと思うのです。
また、松井秀喜選手はヤンキースでレギュラーを掴んでいますが、これはレアルやチェルシーやバルサでレギュラーに定着するに等しいことであり、これだけで大変な偉業であります。
ましてやイチローともなれば、バロンドール受賞の対象となるような偉業を既に何回か達成しており、私としては日本史上もっとも優れたスポーツ選手の称号を与えてもおかしくはないと考えています。
さて、さらに国内でも日本シリーズに目を向けてみますと、44年ぶりに劇的な優勝を遂げた北海道日本ハムファイターズですが、あの新庄選手の凄まじい人気と存在感はどうでしょう!!
残念ながらあれだけ多くの人々を熱狂、涙させ、老若男女の心を鷲摑みにする千両役者は今の日本フットボール界には見当たらず、あっぱれという他ありません。
今回は、日本のプロ野球の選手をうんと持ち上げてしまいましたが、決してプロ野球界全体や機構を持ち上げたのでは決して無いことをご了承下さい。
一方、ワールドシリーズや日本シリーズの興奮冷めやらぬうちに、スケートのフィギュア界から弱冠16歳の織田信成選手とミキティーこと安藤美姫選手が揃ってグランプリシリーズ初戦を制するという吉報が飛び込んできました。
かつては胴長短足の代名詞だった日本人が、美を競うフィギュアの世界で頂点を極めるなど想像もできなかっただけに、感慨無量です。
マック万歳!ケンタッキー万歳!!というのは冗談ですが、やはり日本人の器用さ繊細さをベースに西洋仕込みの表現力や、ジャンプ力を身に付けて獲得した栄誉ではないかと考えます。
さあ、日本フットボール界もうかうかしてはいられません。JFAは日本ではダントツ、世界的に見てもかなり裕福なスポーツ協会となりましたが、まだまだ世界との実力の開きは大きく、やらねばならぬことが山積しています。
とりわけ選手の皆さん、或いは将来、プロを目指そうという金の卵の皆さんは、良いお手本となる日本人選手がメジャーリーグに沢山いるだけに、発奮し、ますます精進を重ねていただきたいものです。日本のフットボール界にも古くは奥寺選手、最近では中田選手といった欧州で認められた選手もいますが、プロ野球選手と比較すればまだまだだと思うのです。
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登録日:2006年 10月 31日 13:17:06
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- 小谷泰介
- (著者近影:昨年7月にチェルシーFCのレジェンドで元イングランド代表のケリー・ディクソン氏とともに)
1955年、タイ王国バンコク生まれ。
フットボール・ジャーナリスト。
四半世紀に及ぶ取材経験をベースにしたジャーナリスティック、かつ辛口の解説はラジオ、テレビで人気を博した。
また、欧州のプロクラブの指導者や選手に知己が多く、クラブ経営にも造詣が深い。
著書に『拝啓 川淵三郎殿』(モダン出版)、『来日サポーターPERFECT図鑑』(東邦出版)などがある。
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