2010年 07月
果報は寝て待て!? 小倉氏会長就任の仰天人事
今回の新会長人事を巡るドタバタ劇について述べる前に、まずは新会長に就任された小倉純二氏当人にスポットを当ててみたいと存じます。何故なら小倉会長は、これまでずっと縁の下の力持ちとして外交面で日本協会を支えてこられた方で、ご本人は会長に就任することなど夢にも思わなかったはずだからです。
実際小倉氏は選手経験どころか、フットボールの競技経験が全くなかった方で、三ツ沢の古川電工独身寮に入っておられた若かりし時に、その直ぐ傍の公園内で練習に興じる同僚の古川電工の選手達(若かりし川淵三郎氏や宮本征勝氏ら)に興味を示され、球拾い役を買って出たことがフットボールとの出会いであったと聞いています。
元来、温厚で面倒見の良い性格である為、フットボールに情熱を傾ける同世代の若者達の単なる世話役から、やがて古川電工サッカー部の部長を務めることになりますが、同サッカー部のOB達が重鎮として実質協会を切り盛りするようになると、ますますその国際感覚が重用されるようになります。特に古川電工ロンドン支社勤務時代には協会の窓口として、キリンカップで来日するチームの交渉を一手に引き受けるなど、外交面で協会の為に尽力。当時の協会のみならず、日本のフットボール界で英語を流暢に操られる方など殆ど見当たりませんでしたから、その語学を含めた外交能力は抜きん出ていたのでしょう。
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登録日:2010年 07月 27日 22:23:03
メスット・エジルという選手
W杯南ア大会で3位となった新生ドイツ代表の象徴であり、今夏移籍市場の超目玉ともいうべきエジル選手の現所属チームとの契約延長の交渉が不調に終わり、獲得合戦がいよいよ本格化しそうな気配です。獲得に名乗りを上げているクラブが、バルサ、レアル、マンU、アーセナルといいますから、彼が如何に移籍市場で高く評価されているかが分かります。
しかし、ドイツのヴェルダー・ブレーメンに籍を置くこの21歳の若者は、ブンデスリーガ通や欧州フットボールの事情通の間では既に知られた存在でしたが、今回のW杯で彗星の如く突如として現われたように感じた日本のフットボールファンが少なくなかったようです。
それもそのはずで、ドイツ代表は伝統的に20歳前後の若者を中盤の要に据えることなどありませんでしたし、実際バラック選手がFAカップで怪我さえ負わなければ、今回ドイツの中核としてこれ程活躍することはなかったかも知れないのです。また、私も現地で観戦しましたが、去年の2月にデュッセルドルフで行われたドイツ対ノルウェーの親善試合では、後半途中から交代出場を果たしたものの殆ど目立った活躍はしておらず、それから僅か1年半後のW杯であのような勇姿を見ることなど想像すら出来ませんでした。
そういった意味では強運の持ち主であることは間違いなく、そのノルウェー戦に出場した約3ヵ月後のドイツカップ決勝戦では唯一の決勝ゴールを挙げてMVPに。そしてその直後に開催された欧州U-21選手権ではドイツ代表の中盤の要として優勝に貢献と、立て続けに大きなタイトルを獲得します。また、明けて始まった昨シーズンからは、絶対的エースとして君臨したジエゴ選手がユベントスに移籍したため、中盤の要として活躍するようになり、ブレーメンの3位躍進に貢献しました。
そして何よりもレーブ監督と彼を支えるドイツ協会が、若手育成強化プロジェクトで育ってきた彼ら若者を積極的に起用すると言う明確な意図があったことも、彼にとっては幸運でした。具体的には、よりスピーディーに試合を展開する為に選手1人当たりの1回のボールキープ時間をこれまでの3秒から、その半分近くに短縮するという目標を監督が掲げていましたが、エジル選手が難なくそのコンセプトを理解し、適応出来たことも更なる追い風となります。
このように幾つかの伏線が敷かれていた上で今回のW杯での活躍があったわけですが、幸いにも友人であるブレーメンのシャーフ監督との縁で、ここ2年間にわたってエジル選手のプレーを具に見る機会を得たり、実際に会話をしたりする機会があったので、本日はこの未完の大器について私の知り得る範囲で紹介させて頂くことに致しましょう。
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登録日:2010年 07月 20日 02:30:09
W杯南ア大会、日本の実況中継はグループリーグ最下位
ワールドカップの熱狂と興奮が冷め遣らぬ15日、日本サッカー協会の原博実強化担当技術委員長は都内の同協会で犬飼基昭会長にワールドカップ南アフリカ大会での日本代表の戦いぶりを総括した報告書を早々と提出したようです。今後はこの報告書などを基に、次期後任監督の人選を出来るだけ早く進める意向だそうですが、本命と目されるビエルサ氏がチリ代表監督続投の意向を示しているようで、そうすんなり簡単には決まりそうにありません。
一刻も早く4年後に向けてのスタートを切りたいという意志は評価致しますが、大事なことは今日までの代表チームの歩みをしっかりと検証し、その進むべき方向性をしっかりと見据えることであります。釈迦に説法かもしれませんが、犬飼会長始め原技術委員長以下、日本丸の舵取りをなさる皆様には信頼にたる海図と狂いのない羅針盤を持った確かな船と、そして優秀な船長と従順な船員達が居て、なおかつ幸運を手繰り寄せてこそ、初めて航海は成功することを肝に銘じていただきたいと存じます。
さて、今回お話申し上げたいことはそんな日本協会の動向とは関係なく、日本の各主要テレビ局が繰り広げたW杯南ア大会の実況中継についてでございます。
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登録日:2010年 07月 16日 18:25:25
育成の勝利!スペインがW杯初優勝!!
いや~、本当に良いものを見させて頂きました。
W杯の決勝戦は、1974年大から10大会連続で現地のスタジアム或いはテレビにてライブ観戦しておりますが、個人的には昨夜のスペイン対オランダ戦がその中では最高の決勝戦かなと感じている次第です。
技術、戦術面に於ける鬩ぎ合い、双方初優勝を賭けての執念のぶつかり合い、それぞれが違った持ち味を出し切っての手に汗握る大接戦と、どれをとっても申し分のない内容で、死闘と呼ぶに相応しい内容ではありますが、久々に極上のご馳走を心行くまで堪能させて頂きました。
どちらのチームも基本的には高いポゼッションを維持しつつ、方や局地戦の中から針の穴を通すようなパスを紡ぐ流麗派、一方はピッチの両翼を一杯に使い、大きな展開から時に強引なドリブル突破を織り交ぜて攻撃を仕掛ける豪快派と、両者ともそれぞれ違った持ち味ながらその攻撃的姿勢を終始失わなかったチームであったことは特筆に値します。かなりファウルが多く、イエローカードがオランダを中心に相当数出されましたが、それは汚いプレーという印象よりは気迫の表れと受け取れるもので、むしろ互いの厳しいマークによって頻発するファウルを巡っての駆け引きを楽しむことが出来ました。なりふり構わず、パスの基点キーマンを中心に激しいチャージを仕掛けるオランダに対し、それを務めて冷静にいなそうとするスペインという構図のように見受けられましたが、最後にオランダが退場者を出してしまった事実を見ても分かるように、結局はスペインが試合の流れとなるを引き寄せるべくして引き寄せたと言えるでしょう。
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登録日:2010年 07月 12日 16:28:30
美と情熱の勝利
事実上の決勝戦と謳われたドイツ対スペインの準決勝での対戦は、スペインに軍配が上がりました。下馬評ではドイツ有利の声が高かったのですが、何が起こってもおかしくない今大会ですから、この結果は全く驚くに値しません。否、むしろスペインが勝つべきして勝ったと私は考えます。スペインは美と情熱の国といわれますが、正に美しいパスワークと勝利への執念で決勝への切符を掴み取ったのはないでしょうか。
あの流れるような素早いパスワークと意表を衝くアイデアに富んだコンビネーションプレーは、恐らくはこれが人間の限界であろうと思わせるほど洗練され、かつ美しいものでした。その中核をなしていたシャビ選手、イ二エスタ選手、そしてペドロ選手はいずれも170センチそこそこの小柄な選手達ですが、あのスピードを創出するにはそのくらいのサイズでなければならないだろうと思わせるほど、素早いものでした。脳の指令を末端神経に早く行き届かせるには小柄な方が有利という単純明快な理論を証明するかのように。
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登録日:2010年 07月 08日 15:53:06
組織力と個の力
いやあ~、ウルグアイ対オランダの準決勝戦は実に見応えのある試合でしたね。
強豪相手にはポゼッションを与えておきながら、ボールを奪うや際どいところまで相手を追い詰める堅守速攻型のウルグアイと、流れるような早いパスワークから攻撃の糸口を見出すオランダの対決の構図は、1998年W杯で観戦したフランス対クロアチア戦を思い起こさせるものでした。
しかし両者に共通していたのは、決定的なシーンや得点がらみの局面は個の力によって生み出されていたということです。オランダの1点目はファン・ブロンクホルスト主将の鮮やかなロングシュートでしたが、32年前のW杯でやはりオランダ代表の主将であったアーリー・ハーン選手がねじ込んだ圧巻のロングシュートを彷彿とさせる見事なものでした。
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登録日:2010年 07月 07日 14:59:32
こんなドイツ代表見たことない!
今大会は予測し難い様々な出来事が現実のものとなり、波乱含みの大会となりましたが、準決勝に残ったチームを見る限りはウルグアイを除いては開幕前から優勝候補に上っていたチームが名前を列ねています。
オランダは、チームの心臓と呼ばれるスナイデル選手が絶好調で、文字通り牽引車としてチームをここまで引っ張って来た印象があります。また、ブラジル戦を見ても分かりますが、攻守のバランスが絶妙で、非常に組織された隙のないチームと言えるかも知れません。守備に難があると指摘する専門家の声もがありましたが、ブラジル戦を見る限りはどうしてなかなか。唯一全勝をキープしているチームでもあります。ロッベン選手の復帰したオランダは一段とパワーアップし、悲願のW杯初優勝に向かってチーム内の結束も高まっていることでしょう。
ウルグアイは、堅守速攻を伝統とする国ですが、今大会も正に伝統に磨きをかけたスタイルでここまで勝ち上がってきました。A・マドリーのヨーロッパ・リーグ優勝の立役者フォルラン選手、アヤックスで今季35点を叩き出したスアレス選手、パレルモの得点源カバー二選手という非常に能力の高い点取り屋が3枚揃っていることで為し得るカウンターフットボールをここまで披露してきましたが、準決勝はその一翼を担うスアレス選手を欠くだけに苦戦は必至でしょう。しかし人口が400万にも満たない小国がここまで出来るのですから、日本がベスト4に進めないわけがありません。要は協会の覚悟と方針なのです。
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登録日:2010年 07月 05日 20:14:48
威風堂々
昨日よりベスト4を賭けた戦いの幕が切って落とされ、いずれも接戦の末にオランダとウルグアイが準決勝に駒を進めました。
ブラジルの敗退は予想外でしたし、前半を見る限りオランダにとって状況は相当に厳しかったはずなのですが、フットボールはわかりません。後半8分にブラジルの主将フェリペ・メロと守護神ジュリオ・セザールの連携ミスから献上した自殺点を境に流れがオランダに傾き、23分にはスナイデルの驚異的な反射神経がもたらしたオランダの勝ち越しゴールが決まります。
伝統的に高い個人技に裏打ちされた攻撃力を誇るブラジルに、ドゥンガ監督が規律と秩序を植え付け、手堅く隙のないカナリア軍団へと変貌を遂げたはずなのですが、不測の事態に対応するマニュアルに不備があったとしか言いようのない状況が重なります。自殺点を献上してしまったことへの自責の念も手伝ってか、逆転されて間もなく今度はそのフェリペ・メロがロッベンを故意に踏みつけて一発退場。イライラを爆発させた格好で自らを窮地に追い込んでしまいました。前半には先制点をお膳立てする素晴らしい縦パスを披露していただけに、正に天国から地獄の心境だったことでしょう。
それでもブラジルは終盤に数的不利をものともせず果敢に攻め込むましたが、結局はオランダにいなされて万事休す。前回大会に引き続き、ブラジルはベスト8で姿を消すことになりました。
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登録日:2010年 07月 03日 09:58:48
- プロフィール
- 小谷泰介
- 1955年、タイ王国バンコク市生まれのフットボールジャーナリスト。
四半世紀に及ぶ取材経験を生かしたジャーナリスティック、かつ辛口の解説は、ラジオやテレビで人気を博した。
また、本場欧州にプロクラブの監督や選手の友人が多く、クラブ経営にも造詣が深い。
チーム強化に重点を置いたクラブ運営に関する講演も好評。
著書に「拝啓 川淵三郎殿」(モダン出版)や「Jリーグ入門」[講談社)などがある。
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