FIFAクラブワールドカップジャパン2006の1回戦を終え
<06クラブW杯>クラブ・アメリカ 全北現代を降し準決勝へ - 東京
【東京 11日 AFP】サッカー、06クラブW杯(FIFA Club World Cup Japan 2006)・1回戦、全北現代(Jeonbuk Motors、韓国)vsクラブ・アメリカ(Club America、メキシコ)。試合は、後半34分にリカルド・ロハス(Ricardo Rojas、左)のゴールで先制したクラブ・アメリカが1-0で勝利を収め、14日に行われるバルセロナ(Barcelona、スペイン)との準決勝に駒を進めた。(c)AFP/KAZUHIRO NOGI
皆様ご存知のように今年のクラブワールドカップ1回戦では、アフリカ代表のアルアハリとオセアニア代表のオークランドシティが対戦してアルアハリが、そして北中米カリブ海代表のクラブアメリカとアジア代表の全北現代モータースの1戦はクラブアメリカが制して、それぞれ準決勝に駒を進めました。
1回戦を見る限りは、緩急自在なパスワークとチーム全員が戦術に対する高い共通意識を持つクラブアメリカが最もレベルの高いフットボールを展開し、欧州スタイルのフットボールを踏襲したアルアハリがそれに続くといったところでしょうか。
残念ながらアジア代表の全北現代とオセアニア代表の2チームは負けるべくして負けたとしか申しようがございません。特にオークランドシティはセミプロクラブのハンディを闘志だけではカバーし切れず、パスコースが全て予想できる単調なフットボールに終始していました。岩本選手もまだフィジカルが戻っておらず、チームのアクセントになっていませんでした。オーストラリアは即刻、オセアニア連盟に復帰せよと叫びたくなってしまった次第です。
全北現代は結果こそ1点差の惜敗ですが、アジア人の特性を活かした戦術を披露することなく、むしろ東アジアのフットボールの悪いところだけを見せてくれたような感じでした。精度の低いクロスに枠に行かないシュート。試合を組み立てるのは外国籍選手にまかせっきりで、ゴール前の決定機も全て外国籍選手が演出するといった具合です。日本リーグ時代のヤンマーディーゼルやフジタ工業の全盛期の試合を見ているようでした。
来季、アジアチャンピオンズリーグに出場する浦和レッズと川崎フロンターレ、特にレッズは万難を排してタイトルを獲得していただきたいと思います。そして少なくとも北中米やアフリカのチームは破って、あわよくば欧州王者か南米王者の鼻を明かして欲しいものです。そのためには良い指導者の下に確固たる戦術を掲げ、ターンオーバー制を採用するなどの創意工夫を凝らし、チーム一丸となって戦わねばならないでしょう。
ところで準決勝に駒を進めたクラブアメリカですが、さすがはメキシコの雄と呼ばれるだけあって見事なテクニックとパスワークを披露してくれました。全員が共通した戦術理解の下に効率よく動き、意図したところにきっちりとパスが繋がる様子は、考えて走るフットボールのお手本。お見事です。これが俺たちのフットボールさと言わんばかりのパフォーマンスでした。如何せん、スピードと瞬発力、そしてやや決定力に欠けるきらいがありますが、もしそれらの点を克服できれば、バルセロナとてうかうかしていられないでしょう。
一方のアルアハリですが、アフリカといっても地中海に面するエジプトのチームですから、
隣国のアルジェリア、モロッコ、チュニジアといった北アフリカのフットボール、つまりは技術に裏打ちされたパスワークを尊重するフランスやスペインのチームのようなフットボールを展開致します。
因みにアフリカのクラブNo.1は殆ど北アフリカの国々から誕生するのですが、それは代表チームが強いナイジェリア、ガーナ、コートジボアール、セネガル、カメルーン等の優秀な選手が、殆ど欧州のリーグでプレーしてしまうためです。強い代表チームでさえ財政面で四苦八苦している中部及び西部アフリカでは、貧しい国内リーグを発展させることが極めて困難なのです。従って、必然的に財政面で安定している北アフリカのビッグクラブが良い選手を確保出来て、タイトルを手中に収めやすくなるというわけです。
話をアルアハリに戻しましょう。アブートリカを軸にフラビオ、ホスニの攻撃陣はなかなかのものですが、如何せん全てが欧州トップクラブの5分の3のスケールといった印象は否めないと思います。準決勝ではインテルナショナルを相手に善戦は出来ても、打ち負かすだけの力はないといわざるを得ません。
ところで、このFIFAクラブワールドカップですが、観客動員の問題や、日本という国で単独開催されるという不条理も含めて悪評紛々です。しかし、前身のトヨタカップでさえ、チケットが入手困難になったのは第6回大会以降のことだし、10回大会位までは欧州クラブのモチベーションが低かったりと、当初の運営はなかなか大変だったのです。まさに歴史を積み重ねることで大会の権威を引き上げていったことを知るべきでしょう。
要するに継続は力なりと申し上げたいのですが、東京で開催するという必然性については議論を要するとしても、大会そのものは毎年開催されるべきことを強く訴えたいと思います。
同大会は、本場欧州と大きく遅れを取っているアジア、オセアニアといった地域のクラブが、その差を認識できる貴重な機会ですし、この大会を通じて各大陸が自国のリーグの問題点や足りない面を肌で感じ、一歩でも欧州に近付くための実験証明の舞台にせねばならないと思うのです。
実際、一回戦を見ただけでも、各大陸のチャンピオンクラブの戦術やスタイルはまさに桜梅桃梨で、実に多様です。そしてクラブアメリカのようにその国や大陸の特性をより活かしたクラブが勝ち残っています。
いつの日か、Jのクラブが頂点に上り詰める日が来ることを夢見つつ、FIFAクラブワールドカップの継続と発展を心から祈りたいと思います。
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登録日:2006年 12月 13日 22:18:45
コメント
オークランドシティは代表になるまで、オーストラリアのチームとの対戦がなかったようですが・・・。
seifu @ 2006年 12月 15日 17:34:30
seifuさん
オーストラリアのFAがAFC(アジアフットボール連盟)に移籍した関係で、オーストラリアのチャンピオンは今年からオセアニアクラブチャンピオンシップに参加していません。変わりにニュージーランドから2チームが参加して、そのうちの1チームであるオークランド・シティが優勝しましたが、先の大会を見ても分かるように、レベルは低いと言わざるを得ませんね。
私がオーストラリアFAは、オセアニア連盟に即刻復帰せよと書いたのは、このままだとオセアニア地域だけが、世界から取り残されてしまいそうだからです。何しろこの地域はラグビーが圧倒的に盛んで強いですからねえ。
ちなみに最近のニュースで、フランス領ニューカレドニアのリフー島出身のカランブー('98ワールドカップ、’00欧州選手権、’01コンフェデ杯フランス代表)が、ニュージーランドのクラブチームに移籍しました。でも峠はとっくに越えている選手ですから、どれだけの助けになるかは疑問です。
小谷泰介 @ 2006年 12月 18日 10:45:16
なるほど。オセアニア代表だけが、レベルの差があるとクラブW杯自体も
盛り上がらないですよね。
丁寧な解説ありがとうございました。
seifu @ 2006年 12月 18日 13:33:36
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- プロフィール
- 小谷泰介
- (著者近影:昨年7月にチェルシーFCのレジェンドで元イングランド代表のケリー・ディクソン氏とともに)
1955年、タイ王国バンコク生まれ。
フットボール・ジャーナリスト。
四半世紀に及ぶ取材経験をベースにしたジャーナリスティック、かつ辛口の解説はラジオ、テレビで人気を博した。
また、欧州のプロクラブの指導者や選手に知己が多く、クラブ経営にも造詣が深い。
チーム強化に重点を置いたクラブ運営に関する講演も好評。
著書に『拝啓 川淵三郎殿』(モダン出版)などがある。
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