良い監督の条件 ⑥

<サッカー 欧州チャンピオンズリーグ>バルセロナ戦への意気込みを語るシャーフ監督 - スペイン

【バルセロナ/スペイン 4日 AFP】サッカー、欧州チャンピオンズリーグ(Champions League)・グループA・第6節。
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(c)AFP/LLUIS GENE

AFPBB News


 以前に良い監督の条件と題して、私の監督論を展開致しましたが、前回ルグエン監督の辞任騒動について述べた際に、書き忘れていた条件があったことに気付きましたので追加させていただきたいと存じます。

 私の考える良い監督と呼ばれるための10番目の条件ですが、それは「弱いチームを強く出来ること、また、チームの選手全員の底上げが出来ること」であります。

 スター選手の集まっているビッグクラブでタイトルを取ったからといって良い監督であるかといえば、必ずしもそうではありません。例えば現在レアルの監督を務めるカペッロ氏や、現ACミラン監督のアンチェロッティー氏が本当に良い監督なのか私には断言できません。彼らには弱いクラブを強くしたという実績が無いからです。ビッグクラブのみならず、弱小クラブを躍進させてこそ名将なのではないでしょうか。

 
 アンチェロッティー氏はセリエBのレッジャーナで監督生活をスタートさせ、直ぐにセリエA昇格を果たした実績がありますが、その直後にビッグクラブに移籍していますので本当に弱いチームを強くしたとは言い切れないと私は考えます。カペッロ氏に至っては、ミラン、ローマ、Rマドリー、ユベントスでしか指揮を取っていませんし、彼が指揮を取るチームはスペクタクルとは対極にあるフットボールをするので、むしろ大した監督ではないと考えています。

 繰り返しになりますが、潤沢な資金のあるビッグクラブでスター選手が揃っていれば、誰が監督をやってもある程度の成績は残すものですし、このブログでも何度か指摘させていただいているように、私がブッフバルト氏を良い監督として認めない根拠もそこにあります。

 また、スター軍団を擁した黄金時期のヴェルディーを指揮したネルシーニョ氏も然り。彼の日本の評価は高いようですが、それなりの選手を抱えたグランパスを浮上させることは出来ませんでした。アルディレス、オフト、ペリマン、ジョアン・カルロス各氏といった日本で評価の高い!?外国人監督達も私の基準では良い監督ではありません。その証明とまでは言いませんが、過去十年以上、欧州のトップリーグで彼らに監督のオッファーを出したクラブは存在しないのです。

 逆に弱いクラブを躍進させたことのある監督はというと、古くは下部リーグの弱小イプスイッチをあれよあれよという間に1部リーグのチャンピオンにし、イングランド代表監督としてもワールドカップを制覇したアルフ・ラムゼー氏、うだつの上がらなかったダービー・カウンティーと、ノッティンガム・フォレストをそれぞれ強豪クラブに育て上げたブライアン・クラフ氏、小さな田舎のクラブであったボルシアMGをドイツのトップチームに押し上げたヘネス・バイスバイラー氏、2部リーグにいたブレーメンを1部の強豪に育て上げ、タイトルとは無縁だったギリシャ代表を欧州チャンピオンに押し上げたオットー・レーハーゲル氏らが挙げられます。

 現役では、スコットランドの中堅クラブに過ぎなかったアバディーンを欧州カップ・ウィナーズ・カップ優勝にまで導き、マンUの黄金時代を築いたアレックス・ファーガソン氏、モナコをフランスのトップクラブに押し上げ、弱小グランパスにもタイトルをもたらし、アーセナルを世界のトップクラブへと築き上げたアーセン・ベンゲル氏、2部落ちの危機にあったブレーメンを数年で欧州の強豪に育て上げたトーマス・シャーフ氏、リヨンを国内無敵のみならず、欧州のトップクラブにまで育てたポール・ルグエン氏、凋落著しかったエヴァートンを復活させたデヴィッド・モイーズ氏といった面々でしょうか。

 Jリーグでは、オシム氏を筆頭にバクスター氏、西野氏、バビチ氏、ゼムノヴィッチ氏、関塚氏、シャムスカ氏らの名前を挙げたいと思いますが、石崎氏、大木氏らを加えても良いかもしれません。(つづく)

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登録日:2007年 01月 31日 20:17:37

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プロフィール
小谷泰介
小谷泰介
(著者近影:昨年7月にチェルシーFCのレジェンドで元イングランド代表のケリー・ディクソン氏とともに)

1955年、タイ王国バンコク生まれ。
フットボール・ジャーナリスト。
四半世紀に及ぶ取材経験をベースにしたジャーナリスティック、かつ辛口の解説はラジオ、テレビで人気を博した。
また、欧州のプロクラブの指導者や選手に知己が多く、クラブ経営にも造詣が深い。
チーム強化に重点を置いたクラブ運営に関する講演も好評。

著書に『拝啓 川淵三郎殿』(モダン出版)などがある。
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