二つの謝罪会見
<サッカー 欧州チャンピオンズリーグ>バレンシア アウェーゴールでインテルを上回り準々決勝へ - スペイン
【バレンシア/スペイン 6日 AFP】サッカー、欧州チャンピオンズリーグ(Champions League)・決勝トーナメント1回戦、バレンシア(Valencia)vsインテル(Inter Milan)、第2戦。
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(c)AFP/PHILIPPE DESMAZES
AFCチャンピオンズリーグが開幕し、浦和レッズと川崎フロンターレがともに快勝!幸先の良いスタートを切りました。
懸念された小競り合いや乱闘騒ぎもなく何よりでしたが、予選リーグを突破するためにはレッズが後3試合、フロンターレが2試合をアウェー(海外)で戦わねばなりません。カッとならずに平常心で持てる力を出し切れば、両チームとも必ず予選は突破できるはずですので、今後に期待したいと思います。
カッとなるといえば、レッズのワシントン選手がAFCチャンピオンズリーグ第1戦の対ペルシク・ケディリ戦で、途中交代した際にベンチで手袋とユニフォームを脱ぎ捨て、試合終了を待たずに帰宅しまうという愚行を犯してしまいました。
不甲斐ない自分への怒りが原因だったとはいえ、プロフェッショナルにあるまじき行為であり、当然のことながら翌日には本人が監督とGMに直接謝罪を入れ、その後報道陣を前にして謝罪会見を開きました。
何を隠そう私はワシントン選手が好きで、点取り屋としての実力も然ることながら、そのひたむきで熱いプレースタイルを高く評価しています。面識はありませんが、非常に純真と申しましょうか、人間性が素晴らしいのではと勝手に想像しています。
彼とて人間ですから欠点はあるでしょうし、今回の事件も熱くなりやすい性格が悪い方向に働いたに違いありません。今季は右ひざ痛の影響でコンディションがままならず、自分に対する不甲斐なさがあのような格好で爆発してしまったようです。しかし、大切なのは起こしてしまったことに対してきちんと反省できるかどうか、そして素直に謝罪出来るかどうかです。
その点に於いてワシントン選手の対応は適切であり、後は「二度としない。」と公言したことを守り、ピッチで結果を出すしかありません。
ところで、今週は海の向こうでも同種の会見が開かれ、バレンシアでプレーするナバーロ選手がチャンピオンズリーグでの暴力行為に対しての釈明を行い、深く謝罪の意を表しました。
同じチャンピオンズリーグでもこちらは選手同士の乱闘騒ぎですから事態は深刻で、UEFAは14日に両チームの5選手に対する処罰について検討するようです。特にナバーロ選手はインテルのアルゼンチン人MFブルディッソ選手の鼻を骨折させてしまっていますから、厳重に処罰されることでしょう。ナバーロはバレンシアでは数少ないユース出身の生え抜きで、これまで目立ったラフプレーのなかった選手だけに、魔が差したとしか言いようがありません。
しかし、救いは同選手が深く反省をし、どんな処罰でも甘んじて受け入れると表明していることです。そして怪我を負わせたブルディッソ選手に対しては、イタリアに出向いてでも謝罪したいと語り、家族とは泣きながら夜を徹して話し合ったことも告白しているので、事件は間違いなく収束へと向かうことでしょう。
今季は、フットボールの本場欧州と南米でサポーター同士の乱闘や殺傷事件が相次ぎ、ついにはイタリアで警備に当たっていた警官が殺されるという悲劇が起こってしまいました。その悲しみが癒えぬうちに、今度はチャンピオンズリーグという大舞台で選手同士が殴り合ってしまったのは、愚行中の愚行としか言いようがありません。しかし、一方で今回のナバーロ選手のように打ちひしがれながらも即座に反省と謝罪の会見を開くのは、さすが本場の対応だと思います。
翻って日本の場合は、対応が迅速とは言いがたいことと、事件を起こした当事者が直接釈明の会見を開き、謝罪のコメントを述べる機会が極めて少ないように思います。芸能、スポーツの世界では事務所や所属クラブが前面に立ってしまい、本人は謝罪のコメントを書面にて伝えるケースが殆どではないでしょうか。
その点ではワシントン選手が、起こした事件のことはさておき、自らが謝罪会見を行ったことは評価に値すると考えます。
実は今年のプレシーズンマッチでロッソ熊本の上村選手が、清水エスパルスの戸田選手に対してあり得ない状況下であり得ないタックルを仕掛け、処罰の対象となりました。
上村選手は試合後に清水の長谷川監督のところへ謝罪に言ったようですが、監督は誠意を感じられなかったとコメントしています。また、この事件に関する一連の報道で、上村選手のイメージが著しく損なわれてしまいました。
もし、本人が翌日に釈明と謝罪の会見を開いていれば、随分と違った展開になったのではと、私は考える次第です。謝罪会見など開かないに越したことはありませんが、Jリーガーとて人の子ですから、間違いも起こします。その際にはワシントン選手やナバーロ選手を見習うことが大切だと声を大にして申し上げたいと存じます。
なお、過去にはJリーガーではなく、Jクラブ関係者が使途不明金問題などの不祥事を起こしたことがありますが、その際には実名で報道されることもなく、Jリーグもマスコミも臭いものには蓋をしろ的な対応に終始しました。最近、本場イタリアで膿を出す作業が行われたように、我が国でも自浄作用が働くようなシステム作りが行われるよう切に希望致します。
そして私も含め、人間は過ちを犯してしまったときに逃げ出さず、誠意を持って謝罪をし、全力で対処することが重要であると痛感するのであります。
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登録日:2007年 03月 09日 20:07:20
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- プロフィール
- 小谷泰介
- (著者近影:昨年7月にチェルシーFCのレジェンドで元イングランド代表のケリー・ディクソン氏とともに)
1955年、タイ王国バンコク生まれ。
フットボール・ジャーナリスト。
四半世紀に及ぶ取材経験をベースにしたジャーナリスティック、かつ辛口の解説はラジオ、テレビで人気を博した。
また、欧州のプロクラブの指導者や選手に知己が多く、クラブ経営にも造詣が深い。
チーム強化に重点を置いたクラブ運営に関する講演も好評。
著書に『拝啓 川淵三郎殿』(モダン出版)などがある。
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