フットボールの奥深さ

<サッカー 欧州チャンピオンズリーグ>ミラン 延長戦の末セルティックを降し準々決勝へ - イタリア

【ミラノ/イタリア 7日 AFP】サッカー、欧州チャンピオンズリーグ(Champions League)・決勝トーナメント1回戦、ACミラン(AC Milan)vsセルティック(Celtic)、第2戦。
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(c)AFP/CARLO BARONCINI

AFPBB News


 チャンピオンズリーグの決勝トーナメント第1回戦で、中村俊輔選手の所属するセルティックが延長戦の末、ACミランに惜しくも敗れてしまいました。

 順当といえばそれまでですが、チャンピオンズリーグ6度の優勝を誇る強豪ACミランを向こうに回して、180分間無得点に抑えていただけに残念無念。「第1戦で俊輔のあのフリーキックさえ決まっていればなあ・・・。」と溜息をついたのは私だけではないはずです。

 さすがは名門ACミランといったところですが、その中でも賞賛すべきは再三にわたって好機を演出し、延長戦でセルティックに引導を渡したブラジル人のカカ選手です。今や彼はミランの押しも押されぬ看板スターで、ミッドフィルダーながら今季のチャンピオンズリーグでは6点を挙げ、ファン・ニステルローイ、ドログバといった世界屈指のストライカー達と得点王争いを演じております。

 
 そして、何よりも私が賛嘆したいのは、カカ選手が実にシンプルにプレーをしながらも敵の一番嫌がるところを突き、決定的な働きをする点であります。

 彼は決してテクニシャンという印象を与えませんが、ボールを受けるやいなや、瞬時にドリブルかパスか、はたまたシュートかを嗅ぎ分ける才能に長けています。

 そしてひとたびドリブルを開始するや、その巧みなコース取りとスピードであっという間に敵陣深くまで切り込むのです。
 また、スルーパスを放つにしても、中村俊輔選手のように器用なキックをするわけではありませんが、その判断が速いために敵DF陣を混乱に陥れます。

 そんなカカとは対照的な選手が、同じブラジル代表のロナウジーニョやロビーニョです。彼らは幼い頃よりフットサルで培ったトリッキーなフェイントやキックで敵を翻弄し、局面を打開するタイプです。

 難しい技術を駆使せずとも、判断、スピード、コース取りの良さで勝負をするカカ選手とサーカス張りのテクニックで相手に挑むロナウジーニョやロビーニョ両選手。そのいずれもが攻撃の要として世界の桧舞台で活躍し、セレソンの中核をなしているところにフットボールの妙と申しましょうか、奥深さを感じる次第です。

 セレソンに限らず、日本代表にも中盤だけで中村俊輔選手、小野伸二選手、遠藤保仁選手、そして松井大輔選手に代表される技術系と、鈴木啓太選手、阿部勇樹選手、今野泰幸選手、そして稲本潤一選手のような水を運ぶ系とが共存しており、次元こそ違え日本のフットボール界を背負って立っているのです。

 では、カカ選手が水を運ぶ系かというと決してそうではなく、どちらかというと中田英寿元選手に近い実戦派タイプかと思いますが、いずれにしましても強いチームなるものは、明らかに違うタイプの選手達が絶妙のハーモニーを織り成していることだけは間違いありません。

 ハーモニーと言えば、オーケストラの指揮者を連想しますが、私は指揮者と監督の仕事には多くの共通点があると考えます。

 オーケストラの指揮者が様々な種類の楽器をそれぞれのパートごとに指導し、その後全体練習で仕上げていく様は、フットボールの監督が各ポジションの選手をそれぞれの特性を把握しながら組み合わせて行くことと共通点がありますし、オーケストラが演奏会で著名な奏者や歌手を招いてより深いハーモニーを奏でようとする慣習は、代表チームが大事な試合で海外組を召集してより高いパフォーマンスを引き出そうとすることと似ています。

 そして何よりも、同じオーケストラ(奏者)でも指揮者によって演奏の質が変わってしまう点と、同じチーム(メンバー)でも監督によってパフォーマンスの質が変わってしまう点は、どうしようもなく似かよっています。

 私が優れた監督と公言してはばからないオシム氏が、日本代表を率いていよいよ助走から離陸態勢に入ろうとしています。海外組を含め、どの選手とどの選手を組み合わせ、一体どのようなハーモニーを奏でてくれるのでしょうか。大いに楽しみです。

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登録日:2007年 03月 14日 19:29:01

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プロフィール
小谷泰介
小谷泰介
(著者近影:昨年7月にチェルシーFCのレジェンドで元イングランド代表のケリー・ディクソン氏とともに)

1955年、タイ王国バンコク生まれ。
フットボール・ジャーナリスト。
四半世紀に及ぶ取材経験をベースにしたジャーナリスティック、かつ辛口の解説はラジオ、テレビで人気を博した。
また、欧州のプロクラブの指導者や選手に知己が多く、クラブ経営にも造詣が深い。
チーム強化に重点を置いたクラブ運営に関する講演も好評。

著書に『拝啓 川淵三郎殿』(モダン出版)などがある。
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