‘07年Jリーグ第3節注目の一戦

 明日行われるJリーグ第3節のカードで、私が最も注目しているのは清水エスパルス対柏レイソルの一戦です。何故ならばこの2チームは,片や数年にわたる冬の時代を脱したクラブ、そして片や同じく数年にわたる冬の時代を脱しつつあるクラブという共通点があるからです。

 前者が清水エスパルスであり、後者が柏レイソルであることはすぐにお分かりいただけると思いますが、両クラブが期待の日本人監督に率いられているという共通点もあります。

 更に21世紀に入ってからの2チームの軌跡を振り返ると、幾つかの共通点があることが浮き彫りになります。

 
 まず清水エスパルスですが、年間総合順位が8位だった2002年のシーズン終了後、2年間でゼロックス・スーパーカップ連覇、天皇杯優勝と3つのタイトルをクラブにもたらしたゼムノビッチ監督を解任する愚挙に出ます。その後は11位、14位、15位と坂を転がり落ちるように年々順位を落とし、降格寸前のところまで行きます。そしてその間には監督の首を5人も挿げ替えるという有様でした。
 更に入れ替え戦直前までいった2005年のエスパルスの営業収入は、約30億8千万円とリーグ全体で9位なのですが、約半分(15億円)の大分トリニータが11位、約19億円の川崎フロンターレが8位だったことを考えるとコストパフォーマンスも低調であったことが分かります。

 一方、柏レイソルも2001年に4年間にわたって確実にチームをステップアップさせ、初タイトルももたらした西野監督を突然解雇という愚挙を犯します(その年の年間総合順位は6位)。その後は案の定、12位、12位、最下位と順位を急激に下げ、16位に沈んだ2005年には入れ替え戦の末ついにJ2降格という悲劇に見舞われてしまいま-す。その間に4人の監督の首を挿げ替え、現在の監督である石崎氏は5人目の監督となります。
 なお、J2に落としてしまった年のレイソルの営業収入ですが、約39億円とリーグ全体で4位に位置付けられ、コストパフォーマンスの悪さはエスパルスどころの騒ぎではありません。レイソル首脳部は大金をドブに捨てたと非難されても仕方がない状況でした。
 因みにレイソルが首を切った西野監督はその後、ガンバ大阪に移り、見る見るうちにチームを強化させ、同クラブは今季も浦和レッズと並んで優勝候補の筆頭に挙げられています。

 では、ここまでの2チームの共通点を整理してみましょう。

1. 21世紀に入って間もなく、退任させるべきでない監督の首を何故か挿げ替え、案の定、その後は3~5シーズンにわたってどんどんと順位を落としていった。

2. 3~5年にわたる低迷期には監督の首をころころと挿げ替え、強化に対する無策ぶりを改めて露呈した。

3. その間、資金を充分に活用できず、コストパフォーマンスも極めて低調であった。

 以上、ここまでは両クラブの悪い点ばかり並び立てるようで申し訳ないのですが、否定の仕様のない事実、かつ共通点ですのでサポーターの皆様にはご容赦いただきたいと存じます。なお、これは補足に過ぎませんが、この時期に強化責任者がレイソルからエスパルスに、石崎監督が(直接ではありませんが)エスパルスからレイソルに移動したという共通点もあります。

 さて、その後の両クラブはといいますと、前述のように期待の監督の下、浮上のきっかけを掴み、冬から春の時代を迎えようとしています。

 エスパルスは長谷川監督の手綱捌き宜しく、若手選手の成長も相まって今や優勝候補に名を連ねるチームへと成長し、今季は開幕から2連勝! 片やレイソルは石崎監督の下、長期にわたる厳しい戦いを勝ち抜いてJ1復帰を果たし、その勢いのまま今季は1勝1分けと好調を維持しています。また、鬼門であったJ1昇格の壁を突破した石崎監督に対し、どこか突き抜けたような印象を受けるのは私だけではないはずです。

 差し詰め明日の対戦は、春爛漫エスパルス対早春レイソルという構図となると思うのですが、短くない冬の時代を耐え忍んでこられたサポーターの皆様にとってはさぞや楽しみなことでしょう。

 この両クラブに春の時代をもたらしたのは、どちらも現監督の力量によるところ大だと私は考えておりますが、再び冬の時代に逆戻りすることのなきよう両クラブの首脳陣には発奮を促したく存じます。

 なぜなら、この両クラブの冬の時代は人災によってもたらされたもの、即ち無策の強化担当者及び首脳陣によってもたらされたからだと断言できるからです。

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登録日:2007年 03月 16日 14:27:02

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プロフィール
小谷泰介
小谷泰介
(著者近影:昨年7月にチェルシーFCのレジェンドで元イングランド代表のケリー・ディクソン氏とともに)

1955年、タイ王国バンコク生まれ。
フットボール・ジャーナリスト。
四半世紀に及ぶ取材経験をベースにしたジャーナリスティック、かつ辛口の解説はラジオ、テレビで人気を博した。
また、欧州のプロクラブの指導者や選手に知己が多く、クラブ経営にも造詣が深い。
チーム強化に重点を置いたクラブ運営に関する講演も好評。

著書に『拝啓 川淵三郎殿』(モダン出版)などがある。
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