真面目が一番
<サッカー ブンデスリーガ>ブレーメン アウェーでドルトムントを降し2連勝 - ドイツ
【ドルトムント/ドイツ 15日 AFP】サッカー、ドイツ・ブンデスリーガ・第29節、ボルシア・ドルトムント(Borussia Dortmund)vsヴェルダー・ブレーメン(Werder Bremen)。前半39分、チーム2点目のゴールを決めたブレーメンのジエゴ・リバス(Diego Ribas)は、チームメイトからの祝福を受けて嬉しそうな表情を浮かべる。試合はアウェーのブレーメンが2-0でドルトムントを降し、2連勝でリーグ17勝目を挙げ勝ち点を57に伸ばした。(c)AFP/PATRIK STOLLARZ
4月も下旬に差し掛かり、本場欧州各国のフットボールリーグも佳境を迎えています。
今季の欧州主要リーグの特徴は、イタリア、フランス、スコットランドを除いては接戦が繰り広げられているという点が挙げられます。
プレミアリーグはマンチェスター・ユナイテッドとチェルシーが、リーガ・エスパニョーラはバルサ、セビージャ、レアル、バレンシアが、そしてブンデスリーガはシャルケ、ブレーメン、シュツトガルト、バイエルンがデッドヒートを繰り広げ、オランダやポルトガルのリーグも三つ巴の激戦となっています。
恐らくは、5月の中旬まで優勝の行方がわからない状況が続くのではないかと想像しますが、リーグ戦はぶっちぎりの独走チームが出るよりも混戦模様の方が盛り上がるので、歓迎すべきことであります。そして、最後にはフットボールの神様が一番頑張ったクラブに対して微笑んでくれればと心から願う次第です。
私は日本国内でも海外でも、最も正しい運営をしているクラブに勝って欲しいと願う者ですが、過去25年間の長きにわたって世界のトップリーグで常に優勝争に加わり続けている幾つかのクラブに対しては、尊敬の念を抱かざるを得ません。
例えばバイエルン・ミュンヘンやレアルにバルサ、マンチェスターU, リバプールにPSV、そしてFCポルトといったクラブであります。(因みにセリエAのユベントスとACミランは一連の事件からもわかるように、少なくとも私にとっては尊敬に値するクラブではありません。)
これらのクラブは、今季もいずれかのタイトル争いに残っており、さすがとしか言いようがありませんが、翻って日本のクラブはドイツのバイエルン・ミュンヘンに代表される健全経営型の手法を習い、確固たる伝統を築くべく経営努力を積み重ねてゆくべきだと個人的には考えています。
さて、そのドイツでもうひとつ注目しているクラブがあるのですが、それは友人のトーマス・シャーフ監督率いるヴェルダー・ブレーメンです。
シャーフ監督がいかに優れた監督であるかは当ブログの「良い監督の条件」でも紹介させていただいた通りですが、今季もきっちりと結果を出してくれています。ブンデスリーガでは首位のシャルケを2ポイント差で追走しており、UEFAカップでは準決勝進出を果たし、今季2冠達成の可能性を残しています。
そして特筆すべきは、徹頭徹尾攻撃的姿勢を貫いていることです。現時点でリーグ戦29試合の総ゴール数が64得点と、2位のシュツットガルトの51得点を大きく引き離しており、ブレーメンの3倍近い予算を誇り、毎年強力な補強を行っているバイエルン・ミュンヘンにいたっては45得点ですから、いかにブレーメンが正しい運営を行っているかがお分かりいただけると思います。そしてこの傾向はここ数年間続いていますので、シャーフ監督の手腕と同クラブの運営方針が本物であるということに異論を挟む余地はありません。
クラウス・アロフスGMとトーマス・シャーフ監督のコンビは、ドイツ最強、否、欧州最強のコンビといっても過言はないと思いますが、実はこの二人に関しては面白い逸話があります。
彼らは選手時代もブレーメンの一員としてカップ・ウィナーズ・カップやリーグ戦を共に戦い、制覇した仲なのですが、現役も終わりに近い90年代中頃のことです。クラブ側が銀行マンを招いて現役選手を対象に蓄財や資産運営に関するセミナーを開いたにもかかわらず、出席者は僅かに3名のみでした。そしてその1時間半ほどのセミナーに出席していた選手こそはトーマス・シャーフ、クラウス・アロフス、そしてトーマス・ヴォルターの面々であり、その3人で現在ブレーメンの主要な3つのポジション(GM、監督、リザーブチーム監督)を独占しているのです。
現役時代にクラブが主催したセミナーに出席したからと言って、現在のポジションが保証されるはずもなく、偶然と言ってしまえばそれまでなのですが、一事が万事。私は立派な因果関係が存在すると確信しています。
何しろこの3人は人間性が申し分なく、何事にも一生懸命で真面目です。だからこそ彼らは引退後のことを真剣に憂いて蓄財や資産運営のセミナーに出席したのでしょうし、コーチングライセンスの取得に関しても真摯に取り組んだのです。私はヴォルターが現役の若かりし頃から、簿記の勉強をしているのを知っていましたし、そういった全ての努力の上に現在の成功があるのだと思います。
しかし、今成功しているからといってそこで胡坐をかいてしまえば、後は下降線を辿るだけであり、オシム監督を見てもわかるようにフットボールピープルは生涯勉強、研究の日々でなければなりません。
なぜなら、フットボールは世界中の多くの人々の生活に密着しているが故に、移ろい行く世相と同じで日々変化し、進化し続けているからです。従って、基本的には日々の生活と一緒で、真面目が一番! 差し詰めブレーメンのアロフス、シャーフ、そしてヴォルターの3人は、その良いお手本と言えるでしょう。
そう、フットボールに限らず、何事も真面目が一番なのです。
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登録日:2007年 04月 20日 19:44:24
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- 小谷泰介
- (著者近影:昨年7月にチェルシーFCのレジェンドで元イングランド代表のケリー・ディクソン氏とともに)
1955年、タイ王国バンコク生まれ。
フットボール・ジャーナリスト。
四半世紀に及ぶ取材経験をベースにしたジャーナリスティック、かつ辛口の解説はラジオ、テレビで人気を博した。
また、欧州のプロクラブの指導者や選手に知己が多く、クラブ経営にも造詣が深い。
著書に『拝啓 川淵三郎殿』(モダン出版)、『来日サポーターPERFECT図鑑』(東邦出版)などがある。
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