ラモスの続投、都並の解任
今週はJSL時代の読売クラブとJリーグ発足直後のヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ1969)の黄金期を支え、日本のサッカー界にも多大なる貢献をした二人の指揮官の去就が注目を集めましたが、両者とも20年近くにわたって親しくさせていただいてきた好漢だけに、他人事ではありませんでした。
結果だけを申し上げれば、解任間違いなしと目されていた東京ヴェルディのラモス瑠偉監督は続投となり、これからの巻き返しを誓っていたに違いないセレッソ大阪の都並監督がGM共々突然の解任と、実に対照的なコントラストを描き出したことになります。
しかしながら、あくまでも私の個人的見解ではありますが、誠に残念ながら指揮官としてはこの愛すべき人物達に疑問符を付けざるを得ません。
まず、ラモス氏についてですが、指導者としてのデビューとなった柏レイソルのコーチ時代に同チームを2部に降格させてしまいました。その時点で既にいやな予感はあったのですが、その後の監督としての采配を見ると良い監督の条件の一つである勝ち運はなさそうです。
勝ち運の無さについては都並氏にも言える事なのですが、ラモス氏の場合はその他にも充分な戦力を整えたチームを2年続けて低迷させてしまい、連敗を喫すると歯止めが利かない采配自体が問題視されています。
采配の初年度に充実した戦力で昇格を逃し、今年もあれだけの補強をしておきながら球団ワースト記録の7連敗を喫して、またも失速ですから洒落になりません。
一方、都並氏はそこそこの成績は残すものの、何故か不運が重なって弾けることが出来ないという傾向性が見受けられます。今回の突然の解任劇といい、どこか影がついて回っている感じがしてしまうのです。
ああ、二人ともジーコではありませんが人間的には尊敬に値する愛すべき人達だけに、指揮官という部分についてのみとは言え、批判をするのは断腸の思いです。また、毎度自分のことは棚に上げて申し訳ないと思うのですが、こればかりは仕事ですから致し方ありません。どうか許していただきたいと存じます。
しかし、実は今回私がお伝えしたい論点は、二人の指導者としての素養や実力云々ではなく、両クラブの運営方針にあるのです。
勿論、現場を預かるのは監督であり、成績不振の最大かつ直接的要因は監督にあります。但し、このブログで何回も指摘させていただいているように、その監督を選ぶのは強化部であり、その責任者は強化部長、或いはGMなのです。
そういった意味では、セレッソ大阪がGMの西村氏にも責任を取らせたのは筋が通っていると言えるでしょう。そして都並体制ではセレッソ大阪の今季唯一最大の目標であるJ1昇格を達成出来ないと判断したことも許せます。
しかし、問題はその後の手の打ち方です。何故、クルピ氏が後任なのか。そして、誰が新たなGMなのか明確な打ち出しがされておらず、首を傾げざるを得ません。
サポーターの皆さんはさすがに鋭く、今回の電撃的解任劇に対する抗議や苦情がクラブに殺到しているようで、その対応として今月19日にサポーターズ・ミィーティングが開かれるとのこと。
その席上にクラブの代表として臨むのは出原社長、新谷事業部長、そして梶野チーム統括部長となっていますから、恐らく梶野氏が西村GMの後任なのだと思います。そして新監督の人選についてはクルピ氏の下で現役生活を送った梶野氏が、その指導方針を評価していたのでオッファーを出したという図式ではないでしょうか。クルピ氏の指導法はさておき、GMとしては選択肢が狭すぎるように感じますし、梶野氏が心中出来る人はクルピ氏しかいないのかと老婆心ながら心配してしまいます。
いずれにしましても既に賽は投げられてしまったわけですから、後はお手並み拝見と参りましょう。目まぐるしく監督の首を挿げ替えるセレッソ大阪のイメージが一新されることを希望致します。
さて、一方の東京ヴェルディですが、こちらは支離滅裂と申しましょうか、迷走しているとしか思えません。試合後等にコメントを発している社長や役員の方々は、とても競技経験者思えず、J1昇格よりもラモス監督のスター性やカリスマ性の方が大事なのかと勘ぐってしまいます。実際、人気の無いクラブのひとつですからその気持ちも分からないではないですが、選手個々の能力に頼りすぎてチーム全体の戦術的、体力的底上げが出来ていないことに何故気が付かないのでしょうか。
ラモス氏が俺は止めないと言うのは許されるとしても、クラブの方針として続投を打ち出した時はさすがにあきれてしまいました。くれぐれも今季J1に昇格できなかった時の責任の所在を明確にしておくべきだとご忠告申し上げたいと存じます。
その時ラモス氏は間違いなく辞任するでしょうが、J1昇格失敗はもう彼の責任ではありません。今回の続投を打ち出した方々の責任であり、貴重で健気なヴェルディ・サポーターのためにも彼らこそがクラブを去るべきだと申し上げたいと思います。
最後に、指導者としてのラモス氏と都並氏に対する私の分析と批評が間違ったものであることと、ご両人の今後の活躍を心より祈りつつ筆を置くことに致します。
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登録日:2007年 05月 11日 22:47:08
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- プロフィール
- 小谷泰介
- (著者近影:昨年7月にチェルシーFCのレジェンドで元イングランド代表のケリー・ディクソン氏とともに)
1955年、タイ王国バンコク生まれ。
フットボール・ジャーナリスト。
四半世紀に及ぶ取材経験をベースにしたジャーナリスティック、かつ辛口の解説はラジオ、テレビで人気を博した。
また、欧州のプロクラブの指導者や選手に知己が多く、クラブ経営にも造詣が深い。
著書に『拝啓 川淵三郎殿』(モダン出版)、『来日サポーターPERFECT図鑑』(東邦出版)などがある。
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