監督が全て!?
<サッカー プレミアリーグ>マンチェスター・ユナイテッド ミドルスブラと引き分けホーム11連勝ならず - 英国
【マンチェスター/英国 21日 AFP】サッカー、イングランド・プレミアリーグ・第35節、マンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)vsミドルスブラ(Middlesbrough FC)。試合は1-1のドローに終わり、首位マンチェスター・ユナイテッドのホームでの連勝は10で止まった。(c)AFP/ANDREW YATES
リーガ・エスパニョーラを除いて欧州各国のリーグは殆がその日程を終了し、選手や監督の移籍をめぐる話題がメディアを賑わわせています。
欧州で活躍する日本人選手ですが、今季はセルティックの中村選手を筆頭に、フランクフルトの高原、バーゼルの中田、ガラタサライの稲本、ザルツブルグのサントスと宮本、そしてルマンの松井と7人もの選手が欧州の主要リーグでレギュラー、或いは準レギュラーとして活躍をしたわけで、奥寺康彦さん以前の時代から欧州リーグを観戦してきたおじさんにとっては感慨ひとしおです。
しかも、セルティックがリーグとカップの2冠、ザルツブルグがリーグ、バーゼルがカップを制しており、欧州各国のトップチームで日本人選手が純粋に戦力として必要とされている現状は、喜ばしい限り!
しかし、バリバリのレギュラーとして活躍した稲本選手は、ガラタサライとの契約を更新出来ずに新たなクラブを探していますし、ルマンの松井選手も契約があと1年残っているものの、まだ来季の去就が決まっていません。プロの世界は本当に厳しいことを痛感する次第です。
一方でどのリーグに限らず、監督に信頼されている選手は、その監督が首にならない限りは移籍をしないことが分かります。日本人選手の場合を見ても、ストラカン監督の中村選手への信頼度は大変なものがありますし、フンケル監督と高原選手の絆も相当固く、両選手とも早々に来季に向かって残留を表明しています。稲本選手もゲレ ツ監督が首になりさえしなければきっと残留していたことでしょう。
欧州のトップチームを見ても、チェルシーのモウリーニョとカルバーリョはFCポル ト時代から固い絆で結ばれていますし、ファーガソンとギグスの関係も師弟を越えて親子に近いものを感じるほど深く、選手は監督と共にいることを示す良い例と言えます。
一方、かなり古い話になりますが、かつてボルドーを指揮していたジレス監督が同選手のプレーをいたく気に入ってオッファーを出したことがあります。しかし、シーズン終了と共にジレスが解任され、その移籍話は流れてしまいました。もし、ジレス監督が続投していたら、フランスに名波の名が轟いていたのかも知れませんが、監督の運命に選手が左右されてしまう典型的な例と言えるでしょう。
奥寺選手が四半世紀以上も昔にドイツに渡れたのも、バイスバイラー監督の強い引きがあったからこそですし、ブレーメンでレギュラーとして数シーズンに亘って活躍出来たのも、同選手がレーハーゲルの信頼を勝ち得たからに過ぎません。
要するに、選手にとってまずは監督の信頼を勝ち取ることが出来るか否かが非常に大事だということであります。それは、今さら私が声を大にして言うまでもないことですが、監督にゴマをするとか、言いなりになるとかいったレベルではなく、頼りにされるということはどういうことなのかを、全てのプロ選手は今一度熟慮するべきではないでしょうか。
例えば、戦国時代の武将が監督とすれば、選手はまさにその家臣であり、共に命を掛けて戦に臨む同士であります。そう、運命共同体です。そして家臣は大将の戦略をどれだけ理解し、どれだけ大胆、迅速かつ慎重に戦えるかが全てです。そして、いざという時には自らの命を賭して大将を守るのが本物の家臣であります。
多少大袈裟かも知れませんが、選手は戦国時代の家臣と同じ気持ちで大将である監督に接する覚悟が必要だと考えます。但し、大将がろくでもない人物であったら、それは悲劇です。実際、戦国時代には大将が愚かであったばかりに無駄死をせざるを得なかった優秀な家臣達が大勢います。その辺は運任せの部分がありますが、だからといって基本の姿勢は変わりません。家臣はあくまで家臣、つまり選手はあくまで選手であって監督ではないのです。
別の言い方をすると、監督は選手が「この監督のためなら死ぬ気でやってやる。」と思わせることが出来る度量があるかが大切であり、選手は監督が「こいつは頼りになる。」と思わせることが大切と考えます。
Jリーグの各クラブをそういった観点から観察してみると、新しい発見があるかも知れません。しかし、いずれにしましても、各選手にとってある面では監督が全てといっても過言でないことだけは間違いありません。
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登録日:2007年 05月 30日 21:56:09
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- プロフィール
- 小谷泰介
- (著者近影:一昨年7月にチェルシーFCのレジェンドで元イングランド代表のケリー・ディクソン氏とともに)
1955年、タイ王国バンコク生まれ。
フットボール・ジャーナリスト。
四半世紀に及ぶ取材経験をベースにしたジャーナリスティック、かつ辛口の解説はラジオ、テレビで人気を博した。
また、欧州のプロクラブの指導者や選手に知己が多く、クラブ経営にも造詣が深い。
チーム強化に重点を置いたクラブ運営に関する講演も好評。
著書に『拝啓 川淵三郎殿』(モダン出版)などがある。
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