日本代表、予選リーグ1位通過!しかし、水を運ぶ人のいない中盤に不満!!

日本 ベトナムに快勝しグループ首位で準々決勝進出

【7月16日 AFP】サッカー、第14回アジアカップ(Asian Cup)・グループB、日本vsベトナム。
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AFPBB News


酷暑の中とは言え、どう見ても動いているのはボールだけでしょう!?

 アジアカップ開幕戦でカタール相手に勝てる試合を落としたことで、一抹の不安を抱かせた日本代表。でも終わってみれば、ダントツの強さを見せつけての予選リーグ1位通過を果たしました。

 しかし、昨今の日本代表のレベルは、予選リーグは誰が監督をやっても突破できる水準にあり、正念場はまさにこれからであります。

 ところで、私は昨年のワールドカップ惨敗後、遅きに逸したとは言え、オシム氏の日本代表監督就任を最大限に歓迎し、肯定してまいりました。

 その根拠は、私の友人であり、オシム監督と親交のあるバビチ・ブランコ氏が、2000年シーズンに昇格したばかりの弱小清貧の水戸ホーリーホックを、J2で戦える集団に鍛え上げる様を目の当たりにしたことと、同じく私の友人でオシムとは師弟関係にあるズドラヴコ・ゼムノヴィッチ氏が、2001〜2002年の2年間で低迷していたエスパルスを蘇生させ、同クラブにゼロックス杯連覇、そして天皇杯初制覇というタイトルをもたらせた様を目の当たりにしたことにあります。

 バビチ氏とゼムノヴィッチ氏は、いずれもオーナーから直々に良い監督を紹介してくれないかとの依頼を受け、無報酬とは言え真剣に熟慮を重ねた末に紹介した指導者達でありました。そして、監督就任後の動向をずっと注意深く見守った結果、この人達は間違いないとの結論に達したのです。その二人が一目置いているオシム氏が悪い監督であるはずがありません。

 また、オシム氏がジェフ市原監督就任後にとった指導法とチームの成長過程が、バビチ氏とゼムノヴィッチ氏のそれと酷似していたことも、オシム監督肯定論の大きな根拠となりました。

 シャーフ、バクスター、ゼムノヴィッチ、そしてバビチの各氏は個人的にも深い交流があり、私如きが申し上げるのは恐縮ですが、世界中のどのクラブ、どの代表チームにも胸を張って推薦できる監督であります。また、オシム、ベンゲルの両氏に関しては深い付き合いはございませんが、直接的、間接的情報とその実績を基に、同じくどこにでも推薦できる監督なのです。

 少々長くなりましたが、以上の理由から私はオシム監督の就任を大歓迎し、オシム氏本人が意図する、しないに関わらず、サポーターや、特にマスコミの意識改革と教育を結果的に行ってくれていることを微笑ましく思っている次第です。そしてその姿勢は今も変わりません。

 しかしながら、ここへ来て、初めてオシムの采配に対する疑問が沸き起こっていることを白状申し上げます。マスコミにも友人の中にも、私と同じ疑問を抱いている人を見かけないのでまだ、確信は持てませんが、心から尊敬し、応援しているオシム監督だけに何かいやな予感がするのです。

その疑問は、中盤の構成についてであります。

 まず、オシム監督自身も語っていますが、この酷暑の中の3連戦を殆ど先発メンバーの入れ替え殆なしで戦いました。特に中盤は、3試合とも中村俊輔、中村憲剛、遠藤の3選手を同時に先発させています。

実は、私はこの3選手の同時起用がどうにも納得できないのです。

理由は簡単です。

 それぞれのクラブでラストパス(キラーパス)を繰り出し、セットプレーでチャンスを創出している同じタイプ(司令塔、或いはエース)の選手を使う、即ち家の組み立てを得意とする人を三人も揃えてしまっている弊害が見え隠れするからです。

 それはクラブのように活き活きとプレーできていない、或いは互いに遠慮があって良さを消し合ってしまっているといったことなのですが、実際、いくら効果的と言われる練習をしても、長年掛けて築いたプレースタイルを、特に司令塔と言われるタイプの選手はそう簡単に変えられません。日頃、自分がボールをキープすることで相手を引き付けて、キラーパスを出すことや、自分を信じて動き出す味方に阿吽の呼吸でパスを通している選手は、どうしても自分がスペースに走りこんでパスをもらおうと言う意識が希薄になるものです。

 現に、いくら高温多湿のコンディションとは言え、3人のスクリーンプレー、或いは走り抜けることで相手を引き付けてスペースを生むようなランプレーが少な過ぎます。「ボールは動いているけれど、どう見ても人は動いていないでしょう?!」という素朴な疑問が沸き起こるのを否定できないのです。

 オシム監督は、予選リーグだけは取りこぼせないので、緊急事態としてとにかく能力の高い3人を並べること、つまり総合力で切り抜けようとしたのでしょうか。(総合力といっても、実際は個人技の結集であり、事実、ヴェトナム戦では中村選手の個人技から巻選手の同点ゴールが生まれ、遠藤選手のFKイコール個人技で追加点をもぎ取り、3点目も遠藤選手と中村選手の個人技によるところ大で、そして4点目も遠藤選手のFKからの得点です。)

 それともこの3人が、オシム監督にとって本当に理想としている中盤の組み合わせなのか、はたまた他に何か意図があるのか、私には皆目見当が付きません。

 私の願いは、オシム監督がどうか両中村選手と遠藤選手の組み合わせが、理想の中盤構成とだけは思っていて欲しくないというものですが、皆様はいかがお考えでしょうか。明快な回答や見解をお持ちの方がいらしたら、是非ともコメントをお寄せください。「小谷さん、あなたの思い過ごしですよ。」といったものでも結構ですので、何卒宜しくお願い致します。

 差し迫った話しを致しますと、もしもオーストラリア戦でも上記の3選手を中盤に配置したら、非常にまずい結果になるような気がしてなりません。現行の選手で言えば、せめて水野選手や羽生選手のどちらかでも自信を植えつけた格好で先発させないと、オーストラリアのような強国相手に日本の良さが出ないと私は考える次第です。

 ドーハの悲劇以来、日本代表に関する私の悪い予感や確信はことごとく的中しているのですが、今回だけは心から外れて欲しいと願っています。そして願わくは、「なるほど、そうだったのか!さすがはオシム監督!!」と改めて唸らせていただきたいものです。

コメント[7], トラックバック[0]
登録日:2007年 07月 17日 18:54:34

コメント

こんにちは


僕もオシム信奉者のひとりですが、今回の中盤には疑問です。
本来であれば
中盤4枚の構成の場合、遠藤(好調なら稲本)・鈴木のボランチ、俊介+アタッカー

ワントップなら遠藤(稲本)・鈴木のボランチ、俊介+2アタッカー
あたりじゃないのかと思います。

いわゆる『水を運ぶタイプ』ではないファンタジスタ系の3選手を同時起用している
現状はオシム哲学から逸脱しているのでは?と思ってしまいます。

ただ、僕なりにポジティブに考えてみたところ、

この気候条件に適したメンバーという事です。

小谷さんがおっしゃったように、ボールしか動さないというのが目的なのかも
しれません。

僕もまだ現役で草サッカーをやっていますが、真夏のプレーはまるで試合になりません。
ひとダッシュするだけで、頭がボーっとしてしまいます。
体力レベルの違いはあれど、プロ選手にも37度(湿度70%)などという劣悪な条件は
相当こたえるはずです。

それをふまえた上で、今大会は『人もボールも動くかすスタイル』を放棄して
『ボールを動かすこと』が得意な選手を揃えることで、

ポゼッションを高める
    ↓
相手の体力を奪う
    ↓
後半、相手の足が止まった所でアタッカー投入

このようなプランがあるのではないでしょうか?

そう考えれば、あのオシム監督が自らの哲学をくつがえす選手起用を
していることにも合点がいきます。

もし僕の仮説が正しく、その上結果が伴うことになれば、
『さすがオシム監督!』ということでハッピーエンドなんですけどね。

最後にまたマスコミの話で申し訳ありませんが、
インタビュアーは毎回監督を怒らせていて、なぜ学習して、
気の利いた質問をしてくれないのでしょうか?

それとも、わざと怒らせて国民に『偏屈でイヂワル』なオシム像を浸透させて
嫌われ者に仕立てあげようとしているのでしょうか?

もしそうなら本当に勘弁して欲しいものです!

クライフターン @ 2007年 07月 18日 10:05:04

クライフターンさん

なるほど、貴殿のポジティブ案は的を得ているかも知れませんね。我々にはは唯見守ることしか出来ませんが、それにしてもフットボールは奥が深い!

小谷泰介 @ 2007年 07月 18日 16:49:28

いつも楽しく読ませてもらっています。

クライフターンさんの言うことはその通りなのですが、それは結果としてそうなったものだと思います。
コロンビア戦から中盤で3人を同時起用し続けています。メンバーを固定するのは、連携を高めたいからだと思いますし、羽生選手が入ったのでは出来ないパス回しを期待しているのだと思います。

オシムジャパンは11月のサウジアラビア戦までが第一段階で、現在は第二段階です。
第3段階の基礎を作っている段階です。

つまり、オシムはアジアカップを完全に練習に使っています。そんなことでオーストラリアに勝てるのか?ということですが、オシムは優勝する自信があるみたいですね。
オシムがアジアカップ前に親善試合がひとつも組めなかったことを嘆いていますが、これは中盤の連携を高めるために必要なことで、そのことがアジアカップと同じくらい重要だと思っているからだと思います。また、必要以上にプレッシャーを感じていることもアジアカップを練習に使っている負い目からだと思います。

はるるの夫 @ 2007年 07月 19日 06:37:58

ハルルの夫さん

オシム氏が中盤を中心に連携を高めたいのは、間違いの無いところでしょうね。

さすれば貴殿の論理は、同氏がコロンビア戦以来、ファンタジスタ系の3人を使い続けているのは、その組み合わせが最上だと考えているということになるのでしょうか?

うーむ、そうは思いたくありませんね。確かに、羽生には出来ないファンタジスタ系のプレーはありますが、ファンタジスタ系には絶対出来ないスペースを生み出すランニングもあります。要は、バランスなのでしょうが、オシム氏の目指す最終形がどのようなものなのか、今後を見守りたいと思います。

キーワードは、ポリバレントなのでしょう。

それは、選手だけに求められるものではなく、指導者、即ち戦術やシステムにまで浸透していかなければならないのだと思います。

そういった意味で、ファンタジスタ系3人の中盤構成は、アジア杯仕様と考えたいものです。

小谷泰介 @ 2007年 07月 19日 13:42:50

ポリバレント・・・

確かにオシム氏は阿部選手などを使って試合中でも、相手のトップに合わせて
3バックや4バックを簡単に使い分けようとしています。こういうところが好きですね。

ドイツ大会前に『3バックか4バックか?』で大騒ぎしていた事がバカバカしく思えます。

中盤の構成に関しては、ハルルの夫さんがおっしゃるように
コロンビア戦からこの構成だったという事を考えると、不安な気持ちはぬぐえませんね

もしそうならば、本当にがっかりですが、ここは小谷さんと同じように
希望的観測を込めて『アジア杯仕様と考えたい』ものです。

今大会も勝ち進めばイエロー累積やけが人など不測の事態で、
メンバーの変更を余儀なくされるが起こりうるでしょうから、途中交代も含めて

オシム監督の『ポリバレント』が楽しみです!

クライフターン @ 2007年 07月 19日 14:39:27

小谷さん、はじめまして。
仙太郎と申します。
私も、小谷さんと同じ意見です。

パッサータイプの選手は、多くても二人で十分だと思います。
前のスペースに走り込む選手がいなければ、パスの出しようがありません。
これは、ジーコ時代にも言えましたが。

中盤の前に一人、後ろに一人。
今回で言えば、俊輔と憲剛となるでしょう。
そして、遠藤の位置には突破のできるドリブラー。
理想をいえば、ル・マンの松井でしょう。

遠藤はダブル中村のバックアップですね。
彼は前でも後ろでもできますから。

引いた相手には、スルーパスを出すスペースがないので、ドリブルで行かないと崩せないでしょうから、ドリブラーが一人欲しいですね。

仙太郎 @ 2007年 07月 31日 10:34:37

仙太郎さん

コメントありがとうございます。
中盤の配置については全く同意見です!確かに遠藤はすごい選手ですが、ガンバ大阪での遠藤と比較すると代表の遠藤は輝きがいまひとつです。俊輔と遠藤、中村憲吾と遠藤を競わせ、羽生か水野を先発で起用してアジア杯を戦っていたら、もう少しはつらつとしたフットボールが出来たのではと思います。

でも、オシム監督は始めにつなぐフットボールありきでアジア杯を戦いたかったから、あの布陣だったのでしょう。

小谷泰介 @ 2007年 07月 31日 12:23:16

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プロフィール
小谷泰介
小谷泰介
(著者近影:昨年7月にチェルシーFCのレジェンドで元イングランド代表のケリー・ディクソン氏とともに)

1955年、タイ王国バンコク生まれ。
フットボール・ジャーナリスト。
四半世紀に及ぶ取材経験をベースにしたジャーナリスティック、かつ辛口の解説はラジオ、テレビで人気を博した。
また、欧州のプロクラブの指導者や選手に知己が多く、クラブ経営にも造詣が深い。

著書に『拝啓 川淵三郎殿』(モダン出版)、『来日サポーターPERFECT図鑑』(東邦出版)などがある。
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