オシム・ジャパン、サウジに敗れアジア杯3連覇の夢潰える!

日本 サウジアラビアに敗れ決勝進出ならず

【7月26日 AFP】サッカー、第14回アジアカップ(Asian Cup)・準決勝、日本vsサウジアラビア。
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(c)AFP/Barnaby Chesterman

AFPBB News


 でも、朧げながら見えてきた、オシム監督の狙い。

 オシム・ジャパンがサウジに3対2で敗れ、決勝進出を逃すとともに3連覇の夢を絶たれました。
 
勝負事ですし、準決勝まで来ると運も大きく作用するので、決勝進出を果たせなかったことが問題だとは思いません。しかし、初戦から準決勝までの日本代表の戦いぶりに何か釈然としないものを感じている自分がいることが問題でした。

 監督がジーコ氏であればこのような感情は起こらなかったでしょう。所詮ジーコ氏なのだから仕方がないと諦めがつくからです。勿論、悔しい、イライラするといった感情は持つでしょうが・・・。

 しかし、現在の日本代表監督はあのオシム氏なのです!世界中の多くの良識あるフットボール・ピープルが一目置いているあのオシム監督なのです!!

 私は同氏の監督就任以来、その練習方法は勿論、選手の起用法や海外組の起用、そしてアジア杯までにこなした全ての試合について、何ら疑問を持つことがありませんでした。さすがはオシム監督と膝を叩き、2010年のワールドカップを楽しみにする日々を送っていたのです。

 ところが、オシム・ジャパンにとって初めてといえるこの大きな大会になってから、そのスタンスが崩れてしまい、私は戸惑いました。その点は、同ブログでこれまでに指摘させて頂いている通りでございます。

 一言で言えば総論はOK、しかし各論においてどうしても納得できない部分があるということなのですが、その疑問は今もまだ燻ぶり続けています。

 しかし、私もフットボール・ジャーナリストとして何年も飯を食わせていただいているのですから、ここは冷静沈着にオシム采配の謎を解明すべく、行動を起こさねばならないと考えるに至りました。

 そこで今回は出来るだけロジカルに、アジア杯のオシム・ジャパンの戦いぶりと采配を分析して参りたいと思います。

 まずは、今大会の日本チームとしての戦いぶりについて、良かった点と悪かった点を洗い出すことに致しましょう。

 良かった点は、アジアでは抜きん出たキープ力、パスワークでポゼッションを高め、試合の主導権を握れたことが筆頭に挙げられます。

 日本のフットボール中継は遅れていますからポゼッションの表示をしませんが、恐らくどの試合でも日本は60%以上の高率でボールを支配していたと思います。その中でアイデアを絞り、緩急をつけて得点を挙げ、勝ち進んでいったことは評価できると思います。

 5試合で11得点というのはワールドカップなら万々歳ですが、アジア杯では物足りないといったところでしょうか。この決定力をいかにして上げていくかが、今後の大きな課題のひとつであることは間違いありません。

 また、選手間の連携宜しく組織で守備力を活かした守備が少なからず出来ていたことも収穫であったと思います。特にオーストラリア戦では、その良さが顕著に出ていたと思います。

 一方、悪かった面ですが、ポゼッションが高かった割にはシュートが少なく、流れの中からの得点が少なかったことが挙げられます。勿論、殆どの対戦相手が引いて守っていますから、簡単でないことは分かります。しかし、究極のポリバレントなフットボールとは、そんな状況の中でも、心技体、そしてアイデアを駆使して得点を重ねることなのです。そのレベルまで、あと3年間でどこまで近づけるかが、オシム監督の挑戦なのでしょう。

 では次に、オシム監督がこの大会をどのように位置付け、目標をどこに設定していたのかについて分析をしてみたいと思います。

 目標についてはあわよくば優勝、最低でもベスト4と設定しいていたと考えます。

 アジア杯はワールドカップに匹敵する規模(試合数や開催期間、そして移動が伴う点に於いて)の大会ですから、出来る限り長く大会に参加していること、つまり最大数の試合をこなすことを目標にしていたと思うのです。なぜなら、それが達成出来れば一石二鳥。つまり、選手達にガチンコの大きな国際大会で勝ち続けるために必要な要素を把握する訓練を施せますし、成績面でもマスコミや協会から非難されることを回避出来るからです。

 そういった意味では目標達成であり、ABC方式の採点でいうと3位決定戦で韓国に勝てれば(A-)位は与えても良いと自己採点なさるのではないでしょうか。

 大会の位置付けについては、2010年のワールドカップを最終段階(第4章)とすると、第1章の終わりにあたる今大会を、日本の目指すフットボールを現在考え得る最高の選手達で出来る限り体現させ、選手全員、スタッフ、マスコミ、ひょっとして日本の全国民に示す大会にしようとしたのではないかと考えます。

 だからこそ、中村俊輔であり、遠藤であり、中村憲剛であったのでしょう。彼らの卓越した個人技とパスセンス、そして戦術理解力を利用して、まずはポゼッションの高いフットボール、次にその中でアイデアを絞り、機を見て相手を切り崩して得点につなげるフットボールを目指そうとしたのだと思うのです。勿論、高いポゼッションの中で得るセットプレーからの得点も含めてです。これが我々の目指すフットボールの原型、基本なのだよと。また、オシム氏のことですから、暗に足りないものが何であるかも分からせようとしたに違いありません。

 とまあ、私なりに分析を進めてまいりましたが、皆様はいかがお考えでしょうか。

 先程から分析、分析と偉そうに述べてまいりましたが、実は分析というよりも私のオシム采配に対する疑問を払拭するための作業といって良く、このように考えれば自分の疑問が晴れるだろうということを強く意識した上での分析であったわけです。

 逆に言えば、あの采配、選手起用はこのように分析しない限り説明がつかないと私は考えており、その点についての皆様の活発なご意見を是非聞かせていただきたいと存じます。

コメント[7], トラックバック[0]
登録日:2007年 07月 26日 20:05:02

コメント

>初戦から準決勝までの日本代表の戦いぶりに何か釈然としないものを感じている自分がいることが問題でした。

釈然としなかったところはどこなんでしょうか?
あと分析した結果の答えは「オシム監督はアジアカップを
たんなる通過点として想定していた」でいいでしょうか?

非常に興味深い内容なんでそこをはっきり言ってくれませんと
釈然としません。

BB @ 2007年 07月 27日 01:08:58

準決勝は非常に残念でした。

遅れてしまいましたが前回の中盤のバランスの問題について、私なりの考えを書きますので、小谷さんの参考になればと思います。
まずオシムは日本を強豪国と互角に戦えるようにすることを目標にしていると思っています。それを前提に考えたいと思います。
前回の小谷さんの文章に水を運ぶ選手の必要性を書いていましたが、それはブラジルやユーゴの例を持ち出すまでもなく常識だと思います。
また小谷さんは優しい表現を使っていましたが、日本の選手がブラジルの選手に劣るのも事実だと思います。
そこで考えて欲しいのですが、ブラジルよりも劣る選手を使い常識的なサッカーをやって強豪国に勝てるでしょうか?オシムのサッカーは中堅国を目指したサッカーなのでしょうか?
私は当初からオシムは水を運ぶ選手を使わずにみんなで少しづつ水を運べるようなチームを目指していると感じました。もし成功すれば、強豪国と互角に戦えると思います。
現在の選手の選定は水を運べるかどうかがひとつの大事な基準になっていると思います。そして水を運ぶサッカーの原型を日本のサッカー選手に少しでも早く示したかったのではないかと思います。
そして日本の将来に向けて鍵を握るのが、柏木選手だと思います。現在では遠藤選手と比べて実力で劣っていますが、遠藤選手と同じタイプでありながら水を運べる新しいタイプの選手だと思います。
憲剛選手と柏木選手を中心にみんなで少しづつ水を運べば非常にスピード溢れるスペクタクルなサッカーができると思います。
将来的にはこの二人を中心に相手や戦術、フォーメーション、時間帯などで、遠藤選手や俊輔選手を絡めるものに変わっていくと思います。

はるるの夫 @ 2007年 07月 27日 04:40:02

「アイデアのある選手が、より速くプレーし、より走らなければならない。あらゆる面で能力をつけ、さまざまな役割をこなすこと。今の中心選手は、まだ苦手にしているものがある」

これはオシム監督の試合後の会見の一部です。

おそらく中盤の3選手あたりを意識しての発言なのでしょうが、
まだ3年間あるのだから、彼らに現スタイルプラスアルファの能力を期待している
事がわかります。

確かにはるるの夫さんがおっしゃる意見とこのコメントは
連動していますね!

もちろん、彼らがオシムが求めている能力を身に付ける事ができるのかどうかは先に
ならないとわかりませんが、少なくとも私はパサー3選手の現能力に固執してしまって
いたようです。

いずれにしろ、中盤は柏木選手の他にも梅崎選手・家永選手・水野選手など若い世代
に有望な選手が豊富ですので、競争は激化するでしょうね。

クライフターン @ 2007年 07月 27日 10:00:36

BBさん

今大会は、2010年で世界をアッと言わそうとしているオシム氏にとっては確かに通過点ですが、本文にも書きましたように、きちっとした目標と目的を持って臨んでいます。

私が釈然としないのは、中盤にファンタジスタ(Jリーグレベルの)3枚を並べて、しかも他のポジションも現時点で最高と思える選手を固定して使い続けたことです。

サウジ戦は、日本のGKを除いた全選手に疲労が蓄積されていたのは火を見るより明らかでしたし、余力が感じられませんでした。オシム監督のスタンダードな戦法では、選手をここまで固定し、交代も前線の選手を中心に限定することはありえず、何か特別な意図があって選手を固定し(特に中盤の3枚)、使い続けたに違いないのです。

それが証拠に、サウジ戦後半に投入された羽生選手は日本の攻撃を活性化させました。私の主張していたこと、つまり、オーストラリア戦の延長では羽生選手なり、水の選手を投入すべきだという意見は、少なくとも間違いではなかったと確信します。そう、羽生選手のあの惜しいシュートが決まっていれば、彼はヒーローになれたかも知れないのです。

オシム監督はそこを百も承知で、敢えてメンバーを代えなかった。最初のうちはその理由が分からず、釈然としなかったというわけです。お分かりいただけましたでしょうか。

今は、直近のはるるの夫さんやクライフターンさんのコメントにもあるように、オシム監督の意図が理解できるようになってきたので、一安心といったところです。


はるるの夫さん

貴重なご意見ありがとうございます。貴殿のおっしゃるように、今の日本人はどう転んでもブラジルやアルゼンチンの中盤をテクニック、パスワーク、スピードで凌駕出来ませんから、オシムは何を持って対抗するのかを示唆していたのだと思います。

水を運ぶ人、人もボールも動くフットボール、ポリバレントの3つがキーワードとなると思いますが、果たして3年後の中盤はどうなっているのか?我こそはと思うJリーガー全員と海外組が共に切磋琢磨して欲しいものです。因みに、両中村選手と遠藤選手の3人が揃ってピッチに並んでいることだけはないと私は思います。

クライフターンさん

いつも含蓄のあるコメントをありがとうございます。

ご紹介いただいたオシム氏のコメントは参考になりますね~。目から鱗です。

2010年の中盤の構成は一体どうなっているのでしょうか。確かに柏木選手、梅崎選手、水野選手あたりは有力候補といえるかもしれませんね。

ところで、サウジのカハタニ選手と梅崎選手がダブって見えたのは私だけでしょうか!?

小谷泰介 @ 2007年 07月 27日 13:37:34

このブログがサウジ戦を見ての戦評だとするならば
俊輔、遠藤、憲剛よりも鈴木や阿部の不出来に目がいくと
思うんだけど。まーいっか。

BB @ 2007年 07月 27日 21:21:33

もうのひとつの小谷さんの疑問、アジアカップでのオシムの采配についてです。

オシムのサッカーを完成させるには強豪国と試合をたくさんしないといけませんし、オシムもそれを望んでいます。しかし、就任して一年経ちますが、1試合も強豪国と試合ができていません。これでは2010年にオシムのサッカーを完成させることは不可能です。そこでコンフェデでそれを補おうとしたのです。オシムはアジアカップで優勝以外考えていません。選手選考も将来を見据えたものというより、現在を見据えたものになっていますし、戦術も勝つ戦術ではなく、負けない戦術になっています。

カタール戦を思い出して欲しいのですが、審判がひどかったと思っています。
わざとPKを与え、日本の批判を押さえつけるために、阿部にイエローを与えました。
さすがにこれではひいき判定と言われかねかねないので、勝負に無関係と思われるロスタイムに相手にレッドを与えました。しかも貴重なロスタイムを無駄に1分半も使って。
この審判の酷いところは、一見公平に見えるようで、確実に日本が不利になるように判定したことであり、新しいタイプのひいき審判だと思います。

サウジ戦の審判がカタール戦と同じ審判かどうかはわかりませんが非常に良く似た審判だったと思います。
カタールでの阿部のイエローが無ければ、サウジ戦であれほど臆病な守備を日本はしなかったと思いますし、3点も取られることことはなかったと思います。
日本の攻撃陣へのファウルも審判が笛を吹かないとわかるとほとんどやりたい放題だったと思います。あれではサッカーとしての攻撃ができるわけがないと思います。
しかし日本が同じように守ったら必ずPKを与えたと思うのです。
高原へのイエローが象徴するように、この審判の器の小ささを表すと共に、日本に対する悪意が、並々ならなぬものだったこと示していると思います。
最後はロスタイムに少しロスがあったのですから最後のCKはさせてもよいと思うのです。
この審判もカタール戦の審判と同じく、公平に判定しているように見えて、確実に日本が不利になるようにひいき判定する新しいタイプの審判でした。

組織力、走力、技術力、どれもアジアで日本がトップだと思います。日本が負けるとすれば疑惑の判定だけだと思っていました。
オシムがアジアカップでとった戦術はこの審判の判定のリスクを最小限にするための戦術だったと思っています。
しかし新しいタイプのひいき審判には対応できませんでした。
試合後のオシムの言葉が歯切れが悪いのも本当のことが言えなかったからだと思います。

そして一番問題なのが、この試合を通して、アジアの審判にこのようにジャッジすれば日本を敗退できると知らしめてしまったことです。

それとは別にオシムに焦りがあったことも敗因のひとつだと思っています。

はるるの夫 @ 2007年 07月 28日 06:19:50

BBさん

両中村と遠藤の3選手がだめだったといっているのではなく、3人の同時起用と選手交代について疑問があっただけです。もっとシュートを打って欲しかった、相手に突っかけるドリブルもして欲しかったといった注文等はありますが、ここの選手に対する不満を述べたつもりはありません。

はるるの夫さん

アジア杯の主審で上手と思った人物はいませんでしたが、貴殿のような発想は持ちませんでした。
オシム監督はアジアの大会では、どんな姑息なことをする審判に対してもそれを凌駕できる選手の育成とチーム作りを目指しているのだと思います。

小谷泰介 @ 2007年 07月 30日 16:31:37

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プロフィール
小谷泰介
小谷泰介
(著者近影:昨年7月にチェルシーFCのレジェンドで元イングランド代表のケリー・ディクソン氏とともに)

1955年、タイ王国バンコク生まれ。
フットボール・ジャーナリスト。
四半世紀に及ぶ取材経験をベースにしたジャーナリスティック、かつ辛口の解説はラジオ、テレビで人気を博した。
また、欧州のプロクラブの指導者や選手に知己が多く、クラブ経営にも造詣が深い。

著書に『拝啓 川淵三郎殿』(モダン出版)、『来日サポーターPERFECT図鑑』(東邦出版)などがある。
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