サポーターによるテスティモニアルの実現を!!
先日行われた本田選手の引退試合を受けて、本場イングランドに根付くテスティモニアルのご紹介をさせていただきましたが、今回は私の考えるサポーターによるテスティモニアルのプランを披露させていただきたいと存じます。
前回も述べましたように、テスティモニアルはクラブやリーグに貢献した功労者の権利として誕生しましたが、それはサポーター達の功労者への感謝の念に裏打ちされたものだからこそ、広く根付き定着したのです。
そう、その実力と弛まぬ努力で10年以上の長きにわたってリーグ戦に出場し続けた偉大な選手と、その功績を褒め称え、感謝するサポーターがいてこそ成り立つテスティモニアルなのですから、サポーター主導のテスティモニアルが存在してもおかしくはありません。私のプランは、そのムーブメントを日本から起こそうというものなのですが、皆様のご意見、ご感想を是非お聞かせいただければ幸いに存じます。
さて、その骨子ですが、次のようなものであります。
・同テスティモニアルは、全Jリーグクラブのサポーターが主催者となり、サポーターがテスティモニアル実行委員会を立ち上げ、サポーターが同委員会に収める会費で運営費を賄う。
・会費には、当日の観戦チケット料金も含まれるが、当日売りチケットも販売する。
・Jリーグ、選手会、日本サッカー協会等とは協力関係を築き、共催なり後援なりに名を連ねてもらうようにする。
・TV、ラジオ、全国紙、スポーツ紙といったメディアも後援として協力を要請する。
・冠大会(例えば、キリン・テスティモニアル)も視野に入れた特別協賛社を募る
・このテスティモニアルは毎年決められた時期に、キャリアの長短に関係なく、その年に選手生活を引退した(コーチへの転職を含む)選手全員を対象に行う。
・会場は最もリーグ出場数の多い選手の所属していたホーム・スタジアムとするか、MLBのオールスターのような全Jリーグクラブを対象とした巡回持ち回り制度にする。
・会費及び協賛金に当日売りチケットの代金を加えたものから、経費を差し引いた純利益を選手への功労金とする。
・全出場選手には、それぞれのリーグ戦出場数によって算出された功労金が分配される。
・対戦カードは、基本的にその年に引退した全選手が出場する東西対抗戦(例えば、オールスター戦のようにテスティモニアル・イースト対テスティモニアル・ウェストというカード)とする。
・10年以上、ひとつのクラブに在籍した選手がいる場合は、試合後に特別表彰式を行う。
ざっとこんなところなのですが、大きなポイントはふたつです。
ひとつは、主催者がサポーターであるということ。イングランドでは、選手の権利として選手協会がクラブ側に認めさせたという経緯がありますが、私の考えるテスティモニアルはサポーターが音頭を取り、自発的に会費を納めて運営をするというものです。
これは、今や膨大に膨れ上がったフットボール界を市場に例えるなら、サポーターは間違いなく消費者であり、実は小さくはない権利を有していて、団結をすれば大変な力となるという持論に基づいています。
いまひとつは、その年に選手生活を完全に引退した全てのJリーガーを対象としていることです。これは、Jリーガーとして400試合に出場した選手もいれば、3試合しか出場していない選手もいることを意味します。また、38歳の選手もいれば、23歳の選手もいるということになるのですが、それで良いのです。
ご存知のように、Jリーガーの待遇はプロ野球のそれと比較すると、かなり悪いと言わざるを得ません。J1でも、甲府や横浜FCのような経済的基盤の弱いクラブは、同い年のサラリーマンと変わらない年俸しかもらえない選手が存在しますし、福利厚生面でもかなり冷遇されています。だからこそ、2年でも3年でもクラブのために頑張ってくれた選手の労をねぎらい、新しい出発をするための資金の足しとしてもらうために、テスティモニアルを行うのです。
ところで、私がこのような考えを持つに至ったかですが、Jリーグクラブとビジネスをさせていただいていた頃に、特にJ2の若手選手や中心選手の待遇の悪さに愕然とした経験があるからです。今は多少改善されたでしょうが、2000年シーズンの水戸ホーリーホックには月給5万円~10万円の若手選手がいましたし、J2の半数近くのクラブが水戸と大同小異の状況だったと聞いています。
そんな悪条件の中でも、一流のJリーガーになることを夢見て頑張った選手達が大勢いて、サポーターも例え在籍期間が2~3年であろうと、そんな選手達の労をねぎらいたいという気持ちを持っているのです。
実は、2002FIFAワールドカップ開催1周年記念事業の一環として、大阪の長居第2陸上競技場にて、引退した全Jリーガーを対象としたテスティモニアルを一度だけ開催することができました。小規模な大会ではありましたが、その時に私はこの企画は定着させるべきだと心に強く誓った次第です。
次回は、2003年に長居で行われたそのテスティモニアルの模様をお伝えしたいと思います。
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登録日:2007年 08月 10日 21:02:09
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- プロフィール
- 小谷泰介
- (著者近影:昨年7月にチェルシーFCのレジェンドで元イングランド代表のケリー・ディクソン氏とともに)
1955年、タイ王国バンコク生まれ。
フットボール・ジャーナリスト。
四半世紀に及ぶ取材経験をベースにしたジャーナリスティック、かつ辛口の解説はラジオ、テレビで人気を博した。
また、欧州のプロクラブの指導者や選手に知己が多く、クラブ経営にも造詣が深い。
著書に『拝啓 川淵三郎殿』(モダン出版)、『来日サポーターPERFECT図鑑』(東邦出版)などがある。
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