日本人鍼灸師、欧州フットボール界を刺す!?(4)

<サッカー 欧州選手権2008・予選>ドイツ代表 アイルランド戦に向け最終調整

【10月13日 AFP】サッカー欧州選手権2008(Euro 2008)・グループD。8試合を終えて7勝1分けの勝ち点22でグループ首位に立つドイツ代表は、現地13日に行われるアウェーでのアイルランド戦に向け、試合会場となるダブリンのクローク・パークで最終調整を行った。(c)AFP

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さて、基本的には余計なことを一切話さない寡黙なフリングス選手ですが、面白いことにタットゥー(刺青)の話題となると食いついてきます。

そもそも彼の上半身と膝下には無数の刺青が施されていて、かのベッカム同様に刺青が大好きのようです。それも漢字の刺青が多く、特に背骨沿いに虎、力、勇、潔といった漢字が3センチ角で縦列にいくつも彫られているのは迫力満点。しかし、その漢字の意味を理解しているとは思えませんでしたし、それほど内容のある文字が彫られているとも思えなかったので、彼の名前を漢字で彫ることを勧めました。すると「漢字で俺の名前をどう書くのか、教えてくれ。」と頼んできたのでビックリ! 早速、翌日に「富凛具洲」という文字を筆でしたためて手渡し、それぞれの文字の意味を説明したところ、笑顔で今度はこれを彫るよとその紙を大事に持ち帰るではありませんか。

さらに後日、「風林火山」としたためた紙を渡して、武将、武田信玄の説明と文字の由来、意味を話し、これを彫れば日本人には大受けするだろうと伝えたところ、「これは、いい!」とこれまた家に持ち帰ったのであります。

近い将来、フリングス選手の体のどこかに「富凛具洲」、或いは「風林火山」という刺青が彫られているのを見つけたら、日本人ジャーナリストが薦めたものであることを思い出していただければ幸いに存じます。

一方、私とフリングス選手のやり取りを見ていたボロウスキ選手が、「自分の生まれたばかりの娘がエミリアという名前なんだけど、漢字名を考えてくれる?」と頼んできました。

私は、すぐさま「恵美利亜」と筆でしたためて手渡したところ、暫く自分のロッカーに飾ってから、これまた大事そうに自宅に持ち帰りました。ボロウスキ選手はフリングス選手と違って刺青はしていなので、自分の体に娘の名前を彫るとは思えませんが、一体何に使うのか興味深深です。

ところで、7月と今回の渡欧で分かったのですが、欧州では漢字が一種のブームになっていて、フリングス選手などは漢字がプリントされたTシャツを愛用していましたし、選手達に限らず、町で何度も漢字がプリントされた衣装を目にしました。

全く意味を成さない漢字や、裏焼きされた文字がプリントされているのはご愛嬌ですが、東洋の神秘的な文字や思想に触れようとする西洋の風潮は、もはや一過性のものではなさそうです。

考えてみれば、針治療も中国で何千年も前に誕生し、2千年を掛けて医学として体系立てられた歴史があるわけですが、東洋的なものの代表格といって良いでしょう。人間の体には、いわゆる五臓六腑に代表されるありとあらゆる臓器と関連のある361の基本的なツボがあって、そこを刺激することで免疫性を高めるという治療法は誠に東洋的な発想であります。指圧、灸、針は全てこの発想から来ているわけですが、実は医療先進国の米国を筆頭に針治療の効用も欧米人に認知され始めているのです。

特に、米国ではその効果を科学的に分析して有効と認めたうえで、積極的に普及活動を行っており、全米には50もの針師育成の専門大学が存在します。そしてそれ故にプロスポーツ界にも針治療は自ずと浸透しつつあるのです。

一方、欧州では、主に中国人医師が個人的にクリニックを開業するか、病院勤務をするか、或いは興味を持った地元の医者が針の技術を習得して治療に当たっているのが現状で、その存在は広く知られているものの、とても普及しているとは言い難いでしょう。

従って、プロのスポーツ界に於いてもまだまだ認知されておらず、今や地球規模のビッグマーケットとなった欧州フットボール界ですら、指折り数えるほどのクラブしか針治療を取り入れておりません。

しかし、その効果はコリや痛みを和らげる上に即効性が有り、副作用もなく、免疫性を高めるのですから、広まるのは時間の問題ともいえるでしょう。Kさんはそのパイオニアとして道を切り開く決意をされたわけですが、何よりも選手が喜び、監督を始めとしたクラブ首脳陣が喜び、間接的にはサポーターも喜んでくれるのですから、誰もがハッピーになれる非常に価値的なプロジェクトと言えます。

さて、次回はKさんが治療を施したヴェルダー・ブレーメンの全選手についてのレポートをお届けすることに致しましょう。乞うご期待!!             (つづく)                

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登録日:2007年 10月 17日 14:44:52

コメント

どうもです小谷さん。

実は今この文章は、北京五輪アジア最終予選を見終わった直後に書いています。

結果はまさかの逆転負けです。しかも最後にPKとは運が悪かったとしか言いようがありません、僕も気分が悪いです。

しかも得失点差で2位に落ちてしまいましたから残り2試合を勝ったとしても、カタールが2試合勝ってしまえば北京五輪へは出場できなくなってしまいます。

この状況は追い詰められたと言っていいんでしょうか?
反町さんのサッカーは評論家の間でも中々ベースが見えてこないと批判的な意見が多かったですが、一体根本的な原因は何なのですか?

多分マスコミは今回の試合をバッシングすることは確実だと思いますが、
ぜひ小谷さんの試合感想をお聞かせください。

ボン @ 2007年 10月 18日 03:57:12

ボンさん

私が現在、反町監督に対して述べられるコメントは、オシム監督と比較すると大きな差があるなあということに尽きます。それ以上、述べようがありません。

どの監督でも、理想のフットボールを頭に思い描き、説明することは出来ますが、それをトレーニングの中でいかに選手達の体に覚えこませ、調教していけるのか、また、そのための実践的なトレーニングをどれだけ引き出しに入れているのかは、かなりの個人差があると思います。

監督が同じ時期に就任して、1年半が経過しようとしている今、着実にステップを踏んで成長しているフル代表と、成長の過程が見出しにくいU-22代表の差は、指導者の差であることだけは、断言できる次第です。

小谷泰介 @ 2007年 10月 18日 12:08:27

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プロフィール
小谷泰介
小谷泰介
(著者近影:一昨年7月にチェルシーFCのレジェンドで元イングランド代表のケリー・ディクソン氏とともに)

1955年、タイ王国バンコク生まれ。
フットボール・ジャーナリスト。
四半世紀に及ぶ取材経験をベースにしたジャーナリスティック、かつ辛口の解説はラジオ、テレビで人気を博した。
また、欧州のプロクラブの指導者や選手に知己が多く、クラブ経営にも造詣が深い。
チーム強化に重点を置いたクラブ運営に関する講演も好評。

著書に『拝啓 川淵三郎殿』(モダン出版)などがある。
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