日本人鍼灸師、欧州フットボール界を刺す!?(10)

<サッカー ブンデスリーガ>ブレーメン メルテザッカーの入団会見を行う - ドイツ

【ブレーメン/ドイツ 8日 AFP】サッカー、ドイツ・ブンデスリーガのヴェルダー・ブレーメン(Werder Bremen)は、DFのフランク・ファーレンホルスト(Frank Fahrenhorst)プラス移籍金500万ユーロ(約7億4千万円)でハノーバー(Hannover)から獲得したドイツ代表のDFペア・メルテザッカー(Per Mertesacker)の入団会見を本拠地ヴェーゼルシュタディオン(Weserstadion)で行った。
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(c)AFP/MARCUS POSTHUMUS

AFPBB News


《クラウス・アロフス》

フットボール・ファンの皆様の中で、クラウス・アロフスと聞いて、アロフス兄弟や1FCケルンを連想なさる方は、かなりのドイツ通に違いありません。

昨今は、シャーフ監督と2人3脚でブレーメンの第2黄金期を築いた名ジェネラル・マネージャーとしてすっかり有名になりましたが、現役時代は小柄ながら独特の嗅覚でゴールを狙ういぶし銀のストライカーでした。今でこそドイツを代表するストライカーは、大柄でやや画一的になっていますが、1960年代から1990年代までのドイツ人ストライカーには、小柄ながらも見事なポジショニングと鋭い得点感覚を持ち合わせた個性派が多かったのです。

私が知る限りでも、ずんぐりとした体格にもかかわらず、空中戦で無類の強さを発揮したHSVのウーべ・ゼーラー、胴長短足ながらも独特の嗅覚でゴールを量産し、ドイツ代表とバイエルン・ミュンヘンに数々の栄光をもたらしたゲルト・ミュラー、アクロバチックなプレーが身上のクラウス・フィッシャー、そしてゼーラーの再来と謳われたカールハインツ・リードレと、現在の日本人ストライカーと比較しても明らかに背の低い170センチ台の選手達が、世界最高峰の舞台で活躍していました。

アロフス氏も現役時代は、175センチとかなり小柄で細かったのですが、シャドー・ストライカーの権化とも言えるポジショニングと動き出しの良さで、多くの得点を叩き出した名フォワードでした。

私の最も印象に残っているアロフス氏のゴールは、ブレーメンの選手として1992年の欧州カップ・ウィナーズ・カップ決勝で、ベンゲル監督率いるASモナコを相手に叩き込んだ先制点ですが、1980年の欧州選手権の対オランダ戦でのハットトリックを思い出される方も多いかもしれません。

いずれにしましても、ブンデスリーガを中心とした欧州の桧舞台で515試合に出場し、221ゴールを挙げた実績は伊達ではありません。ドイツ代表として56試合に出場して17ゴールという数字も立派ですが、とにかく一般的な日本人と比較しても変わらない体格をした選手であるにもかかわらず、世界のトップレベルで2試合から3試合に1ゴールを挙げていたのですから、驚きに値します。

さて、そのアロフスGMですが、我々が治療を開始した翌日にフラリと現場にやってまいりました。何気なく様子を伺いに来たような素振りでしたが、強化面を中心にクラブを統括している現場の長として、医療システムに新風を吹き込むかもや知れない針治療を自分の目で確かめに来たことは間違いなく、同氏のGMとしての素養の高さを垣間見る思いが致しました。

そして、ひとしきり治療を終えたKさんの手が空いた隙を見計らって、「私の膝の古傷なんだけど、診てもらってもいいかな。」と訊ねてきたのです。

Kさんは断る理由など全くありませんから、「勿論ですとも!」と即答すると、アロフス氏は徐にズボンを脱ぎ始め、「いや、私の右膝なんだが、現役時代にかなり酷使してきたこともあって、しっかり曲がらないんだ。寒い日や雨の日は疼くし・・・。」と、左とは明らかに違って腫上がった右膝を撫でながら言いました。

現役を退いて10数年が経とうというのに、膝の腫れが引かずに固まってしまっているのですから、余程無理をしたのでしょう。確かに同氏の現役時代は、痛みに対しては鎮痛剤を飲ませるしか対処の方法がなかったため、根本的治療が施されないまま、無理に無理を重ねたに違いありません。

Kさんは低周波の電気を針に流すなど、懸命に治療に当たりましたが、古傷の場合は多くを望めず、ましてや1回だけの治療ですから、針治療の特徴である即効性が薄らいでしまいます。何の治療でもそうなのですが、発病後や発症直後に治療することが好ましく、針治療も全くもって例外ではないのです。

それでもアロフス氏は、治療後に屈伸運動をしながら、「うん、明らかに前よりは良くなったね!」と感想を述べてくれました。

しかし、前述のようにアロフス氏が治療を受けに来た目的は、自分の膝を治してもらうことではなく、自らが体験することでより詳しく現場を知るということにあり、同氏の徹底した現場主義には脱帽するばかりです。

GMの仕事は、クラブの選手獲得から、選手の査定と年俸の設定、負傷選手の病状管理に各選手のコンディションの把握と多岐にわたる上、1軍の全ての試合に帯同し、練習にも可能な限り顔を出さねばなりません。アロフス氏がGMとして優れているのは、そういったルーティーン・ワークを誰よりも大事にしつつ、クラブのビジョンを明確に打ち出し、それに沿った強化を着実に行ってきたことにあります。
それにはシャーフ監督のように現場の強化の舵取りを任せ切れるパートナーがいなければなりませんが、ここ4年間連続でチャンピオンズ・リーグ本選に駒を進めるようになるまでになったヴェルダー・ブレーメンを、今後どこへ導こうとしているのか。

決して多くはない予算で、バイエルンやシャルケといった金持ちクラブに対して今まで通りの戦法で挑んでいくのか。また、チャンピオンズリーグで優勝とまでは言わずとも、ベスト4を常に狙える実力を備えたクラブに成長させて行くのか、興味は尽きません。

いずれにしても、人間的にも申し分のないアロフス氏には、まだまだシャーフ監督との二人三脚を続けていただき、拝金主義と利権主義に塗れて迷走を続ける欧州フットボール界に燦然と輝く金字塔を打ち立てて、後に続く若きフットボール・ピープルのために確かなる道筋を示して欲しいと願う次第です。

そして、Kさんの針治療がその一助となればこれ以上の喜びはありません。   (つづく)

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登録日:2007年 11月 06日 16:08:21

コメント

小谷さんの文章を見て、クラブの人材がどれほど大切であり重要なのかを理解できたようなきがしました。

クラウス・アロフス氏の功績を見ると、すでに降格が決定した横浜FCの首脳陣の人達がいかに人材不足であり、チームに明確なビジョンを示せなかったのかがわかるような気がしました。

ところで話は変わりますが、先日に書いたなべやかんさんのブログは見つかりましたでしょうか?
タイトルは「なべやかんだ!!」と題されたブログで、検索すればすぐに見つけられたと思いますが、Archivesの10月の日記には、表では語られることのなかった亀田騒動の秘密が記されていました。

世界戦の会場で、関係者の多くが「ノーコンテストにだけはならないで欲しいよね」と発言していたこと、つまり反則行為があるのではないかという予想が、その時点でされていたという事実。

なぜ内藤選手はあの試合で亀田選手を小突いて反則行為を犯したのか?

そして試合会場のリングは、通常のリングより狭くマットが柔らかかったこと。
つまりガードを固めて前にでる亀田大毅が有利になり、足を使って変則的なボクシングスタイルをとる内藤選手が不利になるように仕組まれていたと言うこと。

小谷さんもこのブログをご覧になったのならいかに亀田親子や周りの関係者が、ボクシングを冒涜していたのかがおわかりになったと思います。

本当に呆れてしまいますね。

ボン @ 2007年 11月 08日 02:15:11

ボンさん

いつもコメントを有難うございます。

なべやかんさんのブログは拝見いたしました。

なべさんは一芸能人ですが、ボクシングに造詣が深く、ボクシング関係者の知己も多いようですね。特にボクシング業界に従事する人達の生の声を間接的に聞けた事が興味深かったです。

そして、なべさんの意見に心から共感できました。

それにしても、最近メキシコに渡った亀田興毅選手の言動を聞いていると、やはり自分達の犯した罪の重大さが分かっていないことが良く分かりますね。

側近に良いブレーンがいないことを、つくづく残念に思います。

話題性や数字だけを求めて金魚の糞のようにくっつて回るマスコミ人の阿呆さ加減にも
呆れてしまいますが・・・。

つくづくこの国の民は、本質を見分ける能力が低いと嘆かわしくなります。

小谷泰介 @ 2007年 11月 08日 16:51:42

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プロフィール
小谷泰介
小谷泰介
(著者近影:昨年7月にチェルシーFCのレジェンドで元イングランド代表のケリー・ディクソン氏とともに)

1955年、タイ王国バンコク生まれ。
フットボール・ジャーナリスト。
四半世紀に及ぶ取材経験をベースにしたジャーナリスティック、かつ辛口の解説はラジオ、テレビで人気を博した。
また、欧州のプロクラブの指導者や選手に知己が多く、クラブ経営にも造詣が深い。

著書に『拝啓 川淵三郎殿』(モダン出版)、『来日サポーターPERFECT図鑑』(東邦出版)などがある。
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