コメントを差し上げられなかったレッズのサポーターとその他の皆様へ(4)
【12月13日 AFP】07クラブW杯(FIFA Club World Cup Japan 2007)準決勝、浦和レッドダイヤモンズ(Urawa Red Diamonds、日本)vsACミラン(AC Milan、イタリア)。
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(c)AFP
ちょっと古い話題で恐縮ですが、皆様は0対1という僅差の敗戦となった先日のクラブW杯準決勝の対ミラン戦を、どのように捕えていらっしゃいますか。
点差だけを見れば惜敗、接戦、健闘という見出しを躍らせても良いのでしょうが、点差以上の実力差を感じたのは私だけではなかったはずです。
セパハン戦では左サイドを何度も切り崩した相馬選手が、殆ど仕事をさせてもらえませんでしたし、永井選手も全く目立ちませんでした。
また、Jリーグでは相手を2、3人引きずってでも強引な突破を見せるワシントンが、この日は1対1の局面で四苦八苦していましたし、長谷部選手が得意のドリブル突破を図ろうとした瞬間に背後から回り込まれ、いとも簡単にボールを奪われた姿も初めて見ました。
さらに闘莉王選手がハムストリングの肉離れで退場せざるを得なかったのも、普段以上の力を出し続けざるを得なかった結果だろうし、阿部選手が全く平凡な選手に見えたことに一抹の寂しさを禁じえませんでした。
今季、セリエAの中位に沈む決定力不足のミランでなければ、もう2、3点は取られていたのではないかというのが、正直な私の感想です。
一方、全く歯が立たない相手だったかというと、そうではありません。ワシントンのほぼ中央から狙ったシュートと、コーナーキックからのネネのヘディングシュートが決まっていればと悔やまれるシーンが幾つかありましたし、どんな試合でも決定的チャンスは2、3回訪れるというフットボールの定説を証明した試合でもありました。
しかし、それらを踏まえても、惜敗ではなく完敗と認めることの方が浦和レッズの将来のためでしょうし、試合後のインタビューを聞いても分かるように、ピッチで戦ったレッズの選手達がその実力差を肌で痛感したに違いないのです。
「そりゃあ、もらっている給料がまるっきり違うんだから、当たり前でしょう」と開き直るのも一考ですが、来年を見ていろよと闘志を燃やす方がはるかに建設的であります。
では、一体どうすれば欧州チャンピオンの鼻を明かすことが出来るのでしょうか。
皆様が浦和レッズのGMの立場にあったとしたら、どのような手を打たれるのでしょうか・・・。今回はその疑問を導入部として、オジェック氏の監督としての資質を検証してまいりたいと思います。
まず、私がGMならば、クラブW杯で欧州のチームから白星を奪うにはガチガチに守って鋭いカウンターを仕掛けるか、人もボールも動かしてポゼッションを高めるオシム流の戦術を取るかのいずれかしかないと考えます。
そして、その後に間違いなく後者を選び、そのための監督の人選を行うでしょう。
それは、Jで活躍する日本人は勿論、外国籍選手ですら、欧州トップレベルのチームに有効なカウンター攻撃を仕掛けられる人材がいないと思うからです。例えば昨日の浦和レッズの外国籍選手として例えばメッシとジエゴ、そしてファブレガスがピッチにいれば1点、を取れた確立は高かったでしょう。
しかし、いくら浦和レッズでも彼等を獲得するのは不可能に近く、現実的な話しではありません。
世界的に見て中盤に優秀な人材が多い日本人の特性や、勤勉で器用、しかもスタミナがある日本人選手の特徴を考えると、人もボールも動かすオシムの目指すフットボールを選択するのが、やはりベストであろうという結論にたどり着くのです。
具体的には、早いパス回しでボールを繋ぐ、つまり極力ワンタッチかダイレクトでボールを繋ぎながら、時に緩急を織り交ぜて相手を崩すフットボールです。勿論、それには無尽蔵のスタミナとボールコースを予測、察知する頭脳も求められます。
オシム監督がJEFの選手をとにかく走らせたこと、また、何色ものビブスを用いて難解なトレーニングを強いたのは、それら一連の動きを体得させるためであり、日本代表でも全く同じことです。
代表監督就任僅か1年目で迎えたガチンコ試合(アジア杯)で、その動きを何とか体現するには中村俊輔、遠藤、中村憲剛という日本屈指の背番号10タイプの選手を同時にピッチに立たせ、彼等に託すしかなかったのでしょう。そしてそれらのメンバーを極力交代させなかったのも、あの段階では彼等にしか出来なかった芸当だからなのだと思います。
なお、先日のレッズ戦ではミランのピルロ、セードルフ、カカ、アンブロジーニといったクオリティープレイヤー達が中盤の素早いパス回しでレッズを翻弄するシーンが幾度となくありましたが、それを上回るパスの精度とスピードをつけることこそが、日本人が世界をアッといわせることの出来る方法なのではないかと私は考えるのです。
余談になりますが、オシム氏は4年間を掛けてその準備を行おうとしていた矢先に倒れてしまったというわけです。オシム監督の手元にはその青写真があり、順調に仕上がっていたし、自信もあったのだと思います。それだけに私は、オシム氏の退陣が残念で仕方がありません。
さて、そこで改めてオジェック氏のフットボールですが、昨日の試合でもはっきりしましたが、あくまでも個の力に頼ったものであります。ディフェンス面で言えばあのACミランを何とか最終ラインで阻止して1失点に喰い止められたのは、守備に人数を割いたこともさることながら、レッズの個々の選手にある程度の力があったからこそ出来たのだと思います。他のJクラブ、特に下位チームであったら守備は崩壊していたでしょう。
しかし、いかんせん攻撃は機能しません。冒頭でも触れましたが、Jリーグでは何とかなるレッズの個の力による攻撃が殆ど機能しませんでした。
Jリーグに於けるレッズのフットボールは、ダイレクトパスが極端に少なく、限定されたパスコースやドリブルコースを個の力で強引に切り裂いていくパターンが多いのですが、それが通用しないのです。
個の力もチェルシーや、レアルの域まで行けば、ある程度の完成系が見られますが、レッズはアジアのトップクラス止まりですから、通用しなくて当然です。
つまり、オジェック監督のフットボールでは人材豊富な浦和レッズを率いたとてしも、良くてJリーグとアジア止まりということになります。
現に、今季はアジアの頂点こそ極めたものの、国内は無冠に終わってしまいました。
要するに、私が浦和レッズのGMであったとしたら、ここまでの時点でオジェック氏に自分の夢と運命を託すということはありえないということです。
皆様ならば、どのような決断を下されますか?
しかも、誠に申し訳ありませんが、オジェック氏は戦術の選択以外にも、幾つかの欠点を抱えた指導者であると申し上げねばなりません。
その点につきましては、近日中に次回のブログにて触れさせていただきます。 (つづく)
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登録日:2007年 12月 17日 15:46:36
コメント
小谷さん、今回の記事とは全く関係のない話なのですが。驚くべきニュースが飛び込んできました。
「甲府前監督の大木氏が代表コーチ就任へ」
これは物凄いびっくりしましたよ!!!!!!
甲府サポの僕としては衝撃的なニュースでした!
どうやらこれはガセネタではなく、間違いなく確実視された情報です。
やはり協会も甲府のサッカーに一目置いていたということなんでしょうか?
記事によると大木さんは来年から正式に日本代表コーチに就任するとの事です。
大木さんがコーチに就任というのは、甲府サポの僕としては応援をしたいと思いますが、冷静に考えれば、多分周りから賛否両論が必ず出てくると思いますね。
「なぜ、J2に降格したチームの監督をコーチに就任させるんだ!」とか必ず言われそうです。(特にセルジオさんあたりなんか絶対に言いそうです)
小谷さんは今回の大木さんのコーチ就任にどんな意見をお持ちですか?
ぜひ意見をお願いします。
ボン @ 2007年 12月 17日 22:59:31
ボンさん
そのニュースが本当であるとすれば、さすがは岡ちゃんといったところでしょうか。
大木さんは私も評価させていただいている日本人指導者ですが、彼はエスパルスでコーチとしてアルディレス、ペリマン、ゼムノヴィッチの指導法を具に見て、多くのものを学んできました。中でも、オシム氏の弟分とも言えるゼムノヴィッチ氏の指導法に影響を受けていることを、岡ちゃんが感じ取っての起用ではないかと想像しています。
甲府は今年降格しましたが、あの少ない強化費(レッズの約5分の1)では監督を責められません。むしろJ1に昇格したこと、そしてそこで2シーズンを過ごせたことを評価すべきだと思っています。戦術も引いて守ってではなく、勇猛果敢に戦ったからこそ、ボンさんのようにサポーターが離れなかったのだと思います。
岡ちゃんも大木さんも、胆の据わった人、潔い人ですし、喜ぶべきニュースだと思っています。
小谷泰介 @ 2007年 12月 18日 14:41:25
はじめまして、小谷さんのブログを読ませていただきました。
本当にサッカー・・・もといフットボールを愛してやまないんですね。
今更ですが、私もこの競技の呼称を「フットボール」に統一というのは大賛成です。
中継などを見ていて、どうもおかしいと思うことがよくあるんです。「フットボール」と呼べばいいじゃないかと・・・。
こんなことを言っていたら、ラグビーファンやアメフトファンを敵に廻してしまうかもしれませんが、やっぱり、自分にとってもフットボール=アソシエーションフットボールです。
今のところ、私の友人、知人にこのスポーツの話をするとき、「サッカー」と呼んでいますが、堂々と「フットボール」と言える日が来ることを願ってやみません・・・。
一介のフットボールファン @ 2007年 12月 20日 07:25:49
一介のフットボールファンさん
コメントを有難うございます。また、ブログにたいするご意見を有難うございます。
HOOLIGANSという映画で、アメリカから姉を頼ってロンドンにやってきた青年が、義兄の不良サポーター仲間から「サッカーなんて言うんじゃねーよ。フットボールだろ!」と嗜められるワンシーンがあるのですが、私の知る限りではアメリカと日本とフィリピンとと韓国以外の国々に於いて、あのスポーツはフットボールなんですよね・・・。
又、機会があればコメントをお寄せください。
小谷泰介 @ 2007年 12月 20日 10:28:55
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- プロフィール
- 小谷泰介
- (著者近影:昨年7月にチェルシーFCのレジェンドで元イングランド代表のケリー・ディクソン氏とともに)
1955年、タイ王国バンコク生まれ。
フットボール・ジャーナリスト。
四半世紀に及ぶ取材経験をベースにしたジャーナリスティック、かつ辛口の解説はラジオ、テレビで人気を博した。
また、欧州のプロクラブの指導者や選手に知己が多く、クラブ経営にも造詣が深い。
著書に『拝啓 川淵三郎殿』(モダン出版)、『来日サポーターPERFECT図鑑』(東邦出版)などがある。
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