日本人鍼灸師、欧州フットボール界を刺す!?(14)レアル編 ③

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治療後、メッツエルダー選手と共に笑顔のKさん夫妻


メッツェルダー選手は190cmを優に越す長身選手ですが、その甘く端正な顔立ちとフットボール選手の特徴である走って、蹴れて、飛べるための無駄のない肉付きをしているため、ごっついというイメージは全くありません。

彼はにこやかに、しかし穏やかに初対面の挨拶を済ませると、自身の怪我の状況について説明を始めました。

彼の怪我の症状を掻い摘んで言うと、所謂ジャンプ系の長身スポーツ選手特有のジャンパーズ・ニーであり、同じドイツ代表のディフェンダーでブレーメン所属のメルテザッカー選手のそれに近いものですが、メッツエルルダー選手の方がやや重症ということになります。

実際、我々がメッツェルダー選手を診察したときは、右膝の痛みからどうしてももう一方の足に負担が掛けてしまって腰や背中等にも痛みが出ており、試合は欠場中。練習も軽いランニング程度の別メニューをこなしていました。

Kさん夫妻は、早速右膝に針と低周波、次に腰と背中に針と低周波と丁寧に治療を施しましたが、その間手持ち無沙汰の私はというと専らメッツエルダー選手の話し相手をしておりました。

といいますのも、同選手はかなり流暢な英語を操ることがひとつ。そして今ひとつは知的好奇心が旺盛のようであれこれと質問をしてくるからであります。

彼は恐らく大学には進学していないと思うのですが、その穏やかな口調とインテリジェンス溢れる会話は学者か教授を連想させます。そして今回の一連の針治療の旅の中でも、ボロウスキー、フリッツ、メルテザッカーと並んで、知的センスを感じさせる人物でありました。

しかし、よくよく考えると、彼等はいずれもドイツ代表の中核を成す選手達であり、ドイツ代表の伝統ともいうべき組織力、安定感、粘り強さといった武器は、彼らの持ち合わせている知性と無縁ではないはずです。

私は、日本代表は大卒選手が常に20~30%いる構成が望ましいという持論を展開しているのですが、前述のドイツ代表選手達は大卒でこそありませんが、その会話の知的レベルや語学力において日本の大卒選手に匹敵するかそれ以上であると判断できます。従って日本代表も宮本恒様や中村憲剛、羽生、巻といった大卒選手達がもっとその存在感、即ち知性、常識力、協調性、柔軟性、忍耐力等といった特徴を自覚し、アピールすべきだと考えています。

他国と比較した場合、日本の大学の総体的レベルの問題はありますが、これほど大卒のプロ選手の多い国は恐らく世界に類がないはずで、それをプラスに生かすべきだと私は考えます。

メッツエルダー選手の針治療から話題が大きく逸れてしまいましたが、それほど彼の知性は光っていました。

また、今季入団してきたにも関わらず、スペイン人のトレイナーとスペイン語のみで会話していたので、「スペイン語も出来るんだね!」と訊ねると、「僕は語学センスがあって語学の習得はちっとも苦ではないんだ。半年もあれば何語でも会話には不自由しなくなると思うよ。」と言い切っていました。全くもって脱帽でございます。

さて、そのメッツェルダー選手ですが、治療を終えるとKさんに屈伸運動をするよう促され、痛みの具合をチェックしたのですが、「うん、間違いなく痛みが和らいだよ!」と笑顔で答えたのです。

恐るべし!東洋医学の雄、針治療!!そしてKさん夫妻!!

そしてメッツェルダー選手やDr.フェルナンデスの膝の痛みが僅か30分余りの治療後、瞬時に和らいだという事実がもたらした効果は絶大で、デルコラールさん以下、レアルのメディカル・スタッフの面々は、我々がいつまで滞在するのかを尋ねてきました。そしてそれは後日、他の選手への治療もお願いしたいという依頼の序章に過ぎませんでした。

そう、針治療は20世紀最高のフットボールチームのメディカル・スタッフに衝撃的な経験をもたらし、彼らの好奇心を大いにくすぐったのであります。

しかし、このことは日本を発つ前にKさんが既に予想、いや確信していたことで、Kさんは「ねぇ、言ったとおりでしょう。やって見せるのが一番早いんですよ!」と誇らしげでした。

我々は、翌日に再びTHE CITY OF REAL MADRID を訪れる約束をして、その日はホテルに戻ることにしたのですが、実は既にブレーメンに2週間近く滞在していたため、帰国日が迫っていました。

レアル訪問は、将来的な展望から腕試し的意味合いと世界一と言われるクラブの医療システムを見学することが目的で、長居をする予定を組んでいませんでした。もし、契約をするのならば、アットホームな雰囲気が残り、監督やGMとも親しいヴェルダー・ブレーメンと決めていたからです。                                 (つづく)

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登録日:2008年 01月 23日 14:50:33

コメント

小谷さん、お久しぶりです。

最近、個人的に忙しい時間が多くなってしまい中々書き込む時間が取れずにいました。
今は少し時間の余裕ができたので書き込むことにしました。

さて話は変わりますが、いよいよ岡田日本代表の戦いが始まろうとしていますね!

メンバーや新ユニフォームも発表され、いよいよ戦闘モードというところですが、果たして岡田さんでアジア予選を勝ちゆくことは可能なのでしょうか?

なんせアジア予選が、前回と違い前倒しで行われますから、相当厳しいのではないでしょうか?

最終予選には、韓国、サウジアラビア、オーストラリアと言った強豪国も必ず入ると思われますし、前回のドイツ予選よりも厳しくなるのでは?と僕個人は考えています。

あと入院中のオシム氏が、順調に行けば2月下旬にも退院できるというニュースを見ました。しかしオシムさんの回復力は凄まじいですね。

スポーツ紙の記事によれば、早速代表選手達に苦言を呈しているとのことで、完全に心配はなさそうです。

しかしオシムさんは、退院された後どうするのでしょうか?川淵会長はオシムさんが退院した後、新たな役職を設けるといっていましたが具体的な事は何一つ話していませんでしたし、一体退院した後、オシムさん自身はどんな決断をするつもりなのでしょうか、僕は大いに注目しています。

ボン @ 2008年 01月 24日 23:35:19

ボンさん

お久しぶりです。また、コメントを有難うございました。

オシム監督が杖を使いながらも自力歩行を行っていることを川渕氏が明かし、今月30日のボスニア・ヘルツェコビナ戦には会場入りする予定だそうで、何よりだと思います。

ただ、ご指摘の通り、今後のオシム氏の処遇は何も決まっていません。

私は、同氏が望むのであれば、現場に復帰をさせ、岡ちゃんが総監督となって支えるという図式がベストだと確信致します。

あるいは、岡田氏が協会のGM的立場となる方向性が望ましいと考えますが、川渕氏は一体どのような決断を下すのでしょうか。

小谷泰介 @ 2008年 01月 25日 10:48:02

小谷さん、はじめまして、いつも楽しいブログを有難うございます。
メッツェルダー選手ですか、なるほど好男子で偉丈夫ですね。
なんか、ハンマー投げの室伏選手とイメージが重なります。
フットボールですから、グラウンドを縦横に走り回るわけですごいスタミナです、私にはとてもまねができそうもありません。
これからドンドン景気も悪くなりそうです。
せめてグランドで、ネットで、ウァーといきたいですね。

kirei cafe @ 2008年 01月 25日 17:04:52

小谷さん、こんにちわ。
フラワーキャッスルです。
伝言板変わりに使ってすみません。
何度か電話したのですがつながりません、私の番号は変わっていませんので一度お電話いただけるとすごくうれしいです。

フラワーキャッスル @ 2008年 01月 25日 17:45:54

kirei cafeさん

コメントをお寄せいただき有難うございます。

なるほど、掲載されたた写真のメッツエルダー選手は室伏選手に少し似ていますね。

ただ、会った時の第一印象は、「ハリウッドにこんな顔の役者がいたなあ・・・。」というもので、室伏選手は全く連想できませんでした。

今後も、機会があればコメントをお寄せ下さい!

小谷泰介 @ 2008年 01月 25日 18:04:01

はじめまして。
ときどきこちらのブログを拝見させていただき、色々勉強させていただいております。

私のようなシロウトが申し上げるのも僭越ながら
メッツェの学歴について少しお話させていただいてもよろしいでしょうか。

メッツェは一応まだ「大卒」ではありませんが
ドイツの大学入学資格アビトゥーアを平均評価1.8という抜群の成績で取得した秀才です。
確か大学にも進学していたはずです。
その後中退したのか休学しているのかは、残念ながら存じませんが。

ペア・メルテザッカーも
メッツェほどの成績ではありませんが、メッツェ同様アビトゥーアを持っています。
メルテザッカーも、ドイツマスコミに「秀才」と評価されているようです。

拙い情報しか持ち合わせていないシロウトが
たいへん失礼を致しました。

メッツェファン @ 2008年 01月 29日 13:07:29

メッツェファンさん

コメントを有難うございます。

いやあ~、貴重な情報を有難うございました!

なるほど!メッツェルダー選手との会話で知性を感じた訳が良く分かりました!メルテザッカーにしても同様です!

彼らのアビトゥーアに関してあのような情報をお持ちの貴殿は、一体どのようなお方なのか、興味深深でございます。

素人などと名乗られてること自体が不可解に思われますが、ご自信の人となりと如何にしてメッツェファンになられたのかを簡単で結構ですので、是非教えていただきたく存じます。

小谷泰介 @ 2008年 01月 29日 19:53:37

過分な評価を頂き、恐縮しております。
あくまで私はメッツェの一ファンに過ぎないシロウトなので
分不相応な評価に、恥ずかしく身の置き所がない思いです。

メッツェの情報は、ドイツの新聞や雑誌から得たものに過ぎません。
ファンなので、そのあたりはでき得るかぎり丁寧に当たっているつもりです。

お尋ねの「如何にしてメッツェファンになったのか?」ですが
「まず容姿から」という女性サッカーファンにありがちなとても不純な理由です。
申し上げるにはあまりに恥ずかしい理由なので申し上げるべきかどうか迷ったのですが
丁寧なお返事に対して失礼のないように、素直に話させていただきました。

メッツェファン @ 2008年 01月 31日 22:11:15

メッツェファンさん

ご返信誠に有難うございます。

メッツェファンを名乗られるだけあって、ドイツ語を操られるのですね。羨ましい!

私など、シャーフ監督やオッツェ(JEFにいたオルデネビッツ氏)と四半世紀も付き合っているのに未だにドイツ語を覚えようとしない不肖の輩です。

ファンになられた動機も不純とおっしゃいますが、見た目は本当に大事です。卑下なさらず、これからもしっかりメッツェルダー選手を応援してあげてくださいませ。

小谷泰介 @ 2008年 01月 31日 23:10:25

はじめまして!
私は東京都内で鍼灸治療院に勤務しながら、トレーナーもおこなっている宮澤と申します。以前からサッカーが好きでJリーグチームの帯同経験もあります。いつかは海外のチーム特にスペインで「鍼灸を使いトレーナーにチャレンジしたい」と考えておりましたところ、今回このブログを拝見させて頂き、非常に胸が熱くなり、ご連絡させて頂きました。

小谷様・鍼灸師のK氏様のお話(治療内容など)をお伺いさせて頂きたいのです。
ご無理を承知の上でお時間・ご都合がよろしけお会いしたいと願っております。

突然このようなご迷惑なメールでご連絡致しましたことお詫び申し上げます。
申し訳御座いませんでした。
よろしければ下記アドレスメールにご連絡頂いてもよろしいでしょうか?

よろしくお願い致します。

miyahisafc10@yahoo.co.jp

miyazawa @ 2008年 04月 14日 14:00:58

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プロフィール
小谷泰介
小谷泰介
(著者近影:昨年7月にチェルシーFCのレジェンドで元イングランド代表のケリー・ディクソン氏とともに)

1955年、タイ王国バンコク生まれ。
フットボール・ジャーナリスト。
四半世紀に及ぶ取材経験をベースにしたジャーナリスティック、かつ辛口の解説はラジオ、テレビで人気を博した。
また、欧州のプロクラブの指導者や選手に知己が多く、クラブ経営にも造詣が深い。
チーム強化に重点を置いたクラブ運営に関する講演も好評。

著書に『拝啓 川淵三郎殿』(モダン出版)などがある。
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