岡田JAPAN、2戦目にして初勝利! ボスニア・ヘルツェゴビナに快勝!!

日本 ボスニア・ヘルツェゴビナとの親善試合を勝利で飾る

【1月30日 AFP】(写真追加)サッカー国際親善試合、日本vsボスニア・ヘルツェゴビナ。試合は日本が3-0でボスニア・ヘルツェゴビナに勝利した。(c)AFP

AFPBB News


勝負事とは奇妙なもので、同じような内容で、しかもチャンスやピンチの回数が殆ど一緒でも、それらのチャンスをものにし、勝利するとしないでは、天と地ほどの差が生じてしまいます。それがタイトルの懸かった試合であれば、尚更の事です。

「勝てば官軍」とはよく言ったもので、「試合に勝って、勝負に負ける」というのはその反意表現になるかと存じますが、岡田JAPANの船出となった一連のKIRINチャレンジカップを観戦して、勝つことの大切さをしみじみと感じました。

そうなんです。チリ戦もボスニア・ヘルツェゴビナ戦も、相手が若手主体の限りなく二軍に近い一軍半で、FW陣に絶対という選手がいなかったため、無失点で切り抜けることが出来ました。また、攻撃に関しても2試合の決定的チャンスはほぼ同数で、特に後半に集中していましたが、チリ戦はそれをことごとく外し、ボスニア・ヘルツェゴビナ戦は効率よく決めただけの違いでした。

しかし、そんな似たような内容の試合にも大きく違う点があることに気が付きました。
それは、決定的チャンスを作り出すまでのアプローチです。

ご存知のように、チリ戦では前線の大久保選手が後方からのパスを受けて上手く飛び出し、或いはすり抜けてシュートというパターンが殆ど。前半に高原が作り出した決定機も、逆サイドで待ち受けていたところに、良いパスが来てシュートと似たようなパターンです。

ところが、先のボスニア・ヘルツェゴビナ戦では、全3得点(2点はセットプレーからとはいうものの)が、いずれも後方から走りこんできた選手達が得点を決めました。

前線の選手はきついマークを受けているので、シュートチャンスまで持っていってもプレッシャーがきつく、ふかすことが多いのですが、後方から抜け出るとフリーとなり、得点しやすくなります。言わば当たり前のことを忠実に実行して活路を見出した格好ですが、私はボスニア・ヘルツェコビナ戦の3得点を、今後の岡ちゃん丸の目指すべきフットボールの良い手本のひとつとすべきだと申し上げたいと存じます。

そしてそれは、前線の選手から手を抜かずにプレッシャーをかけ続けなければならない近代フットボールに於いて、また、優秀なストライカーが育ちにくいという日本の実情にマッチした戦法だとも思うのです。

誤解を恐れずに言えば、日本代表はFWが点を取らなくても良いと思っているくらいです。実際、トゥルシエ以降の日本代表の総得点数は恐らく、FWよりMFの選手によって決められた得点の方が多いと思いますし、現役の代表選手の中でセンターバックの中澤選手が得点ランキングの上位に顔を出しているのですから、現実に即し、理にかなった戦法だと思います。

岡ちゃんも、一見短所と思えることが長所にもなりえるといった意味のことをおっしゃっていますが、FWのゴール不要論こそ、その典型とは言えないでしょうか!?

2列目、3列目の選手の先を読んだ飛び出しは、オシム・ジャパンの目指すところでもあるはずですし、考えながら走るという動きにも相通じます。(FWが点を決めてくれたら儲けもの位の感覚でいれば良いのではないでしょうか。)

このことは耳新しいことでも何でもなく、近代フットボールの目指すところでもあるわけですが、私の知る限りではどのマスコミも伝えていなかったので、書かせていただきました。

なお、先の試合で労を惜しまず、また、リスクを恐れず前へ前へと飛び出していって得点したのは、言うまでもなく山瀬選手と中澤選手なのですが、このお二人、方や愛弟子(中澤選手)、方や秘蔵っ子(山瀬選手)と、岡ちゃんが横浜マリノスの監督時代に主軸として起用していた選手達であります。

ハーフタイムに岡ちゃんが、2列目、3列目からの飛び出しを指示したとは思えませんが、岡ちゃんに恩義を感じている両人によってゴールが生まれるあたりは、メイクドラマですね!そして、岡ちゃんの強運、引きの強さを垣間見た気がします。

怪我さえなければ、この2選手は南アフリカまで岡ちゃんの太刀持ちを勤めることはほぼ間違いないでしょう。

最後に、オシム監督のことについて一言。

国立競技場のスクリーンに、少々はにかみながらもサポーターに手を振って挨拶をするオシム氏の姿を見た時に、涙がこぼれそうになりました。ホント!お元気になられて良かったです!!

とはいえ、やはり大病を患った後の相が見て取れましたし、第一印象は、やつれられたというものでした。今は1日も早く杖なしで自力歩行が出来るようになり、全ての後遺症を克服されることを祈って止みません。

同氏の現場復帰を強く望んでいる私ですが、先日の様子では、少なくとも現時点ではそれが高望みであることを悟りました。

すっかり元気になられた段階で、日本代表のために(本人が)何をなさりたいのか、(協会が)何をさせられるのか等を踏まえて、焦らずに結論を出せば良いと思いました。

何はともあれ、あそこまで回復なさったこと、本当に嬉しく思います!

因みにオシム監督は、冒頭に述べた「勝てば官軍」という日本の諺を次のような言葉で表していたのを思い出しました。「勝利は美に勝る」と!

コメント[4], トラックバック[0]
登録日:2008年 02月 04日 12:20:27

コメント

ご無沙汰しております。

「FWでは点を取りにいかない」というのは、久しく日本の理想的な点の取り方だと考えておりました。
(「FWではなく、FWを追い越した選手で点を取る」という戦い方は、13年前から、ことあるごとに訴えてきました)

ですので、ボスニア・ヘルツェゴビナ戦の2点目は非常に素晴らしいと感じておりました。


ちなみに、上記のことを考え始めたきっかけは、
トヨタカップでレッドスター・ベオグラードが見せたサッカーでした。
(システムは3-6-1であったと記憶しています)

また、94年のワールドカップで見た、ベルギー代表の試合も、
(点の取り方は違いましたが)中盤の役割という点で、非常に参考になったのを覚えております。

近い話では、この間来日したACミランのシステム(4-5-1)は理想のシステムだと思っています。


「FWのゴール不要論」を書かれる方にお会いできて、興奮しました♪

KAZ-NOMURA @ 2008年 02月 05日 12:08:56

中盤の選手が機能してボスニアを下しましたが、やはり
FWが弱気なような気がしてなりませんね。
私はFWのゴールは必要だと考えるので、あまり
賛成はできませんね。やはり見ていて楽しくなければいけないと思います。

jis @ 2008年 02月 05日 18:01:15

kAZ-NOMURAさん

コメントを有難うございます。

「13年前から、ことあるごとに訴えてきました。」とありますが、どのような機会に、どのような方々に訴えてこられたのかを教えていただけますでしょうか。また、メディアや書物、或いはブログなどで発表されたことがあれば、是非読まさせていただきたいので教えてください。

ご指摘のように、パンチェフやサビチェビッチのいた頃のレッドスターは本当に素晴らしいフットボールを展開していましたし、94年のベルギー代表の試合をご覧になって中盤の役割について言及していらっしゃるあたりは、非常に深くフットボールを理解していらっしゃると拝察致します。

日本人は未だ釜本邦茂氏を超えるストライカーが出現しておりませんが、良いFWがいない、FWが点を取れないと嘆くだけでは能がなく、それを逆手に取った戦術で戦うべきだと思います。なぜなら、戦争は待ってくれないからです。

殺される前に、現有戦力で最も効果のある戦術、戦略を持って戦わねばならないのですから、FWのゴール不要論はもっと指示されても良いかと存じます。

まさに日本人のための知略、兵法だと確信致します。

小谷泰介 @ 2008年 02月 05日 18:01:25

jisさん

コメントを有難うございます。

不要論というのは点を取らなくても良いということではありません。基本的な戦略の代名詞のようなものです。

なお、実にFWらしい、FWの中のFWであるワシントンが常に得点を決めていた浦和レッズのフットボールが、魅力的であったかというと疑問符がつくように、必ずしもFWが点を取るだけが、魅力的なフットボールとはいい難いのではないでしょうか。

1984年のフランス代表や、1986年のアルゼンチン代表で、美しいゴールを誰よりも沢山決めていたのは、共に10番をつけていたプラティニとマラドーナであったことを思い出していただければ幸いです。

時代が違うので、必ずしも彼らのスタイルを追い求めるということではありませんが・・・・。

小谷泰介 @ 2008年 02月 05日 18:15:12

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プロフィール
小谷泰介
小谷泰介
(著者近影:昨年7月にチェルシーFCのレジェンドで元イングランド代表のケリー・ディクソン氏とともに)

1955年、タイ王国バンコク生まれ。
フットボール・ジャーナリスト。
四半世紀に及ぶ取材経験をベースにしたジャーナリスティック、かつ辛口の解説はラジオ、テレビで人気を博した。
また、欧州のプロクラブの指導者や選手に知己が多く、クラブ経営にも造詣が深い。

著書に『拝啓 川淵三郎殿』(モダン出版)、『来日サポーターPERFECT図鑑』(東邦出版)などがある。
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