フットボールにオールスターは似合わない

2009年のコンフェデレーションズカップのロゴマークが発表

【11月23日 AFP】国際サッカー連盟(FIFA)は22日、2009年に南アフリカのダーバン(Durban)で開催される各大陸の王者が集って争われるコンフェデレーションズカップ2009(Confederations Cup 2009)の大会ロゴマークを発表した。(c)AFP

AFPBB News


ちょっと前のことになりますが、このブログにいつも意見を寄せてくださるボンさんから、今年のオールスター戦が日韓対抗に変更となったという報道を受けて、不満と憤りのコメントを頂きました。

ボンさんの主張は、そもそもオールスター戦に存在意義を感じないということと、その存在意義の感じられないオールスター戦を開催することによって、選手への負担が増大するので遺憾だという骨子ですが、私も全く同感です。

かく言う私ですが、実は1992年初頭に日本リーグ時代最後のオールスター戦の運営業務を依頼され、嘱託で事務局勤務をしたことがある次第です。しかし、当時はリーグそのものが不人気でしたし、オールスターを楽しみにしているファンも多く、まさにお祭りムード一色のイベントでした。

実際、私が運営のお手伝いをした92年の大会では、東軍のキャプテンにはカズこと三浦知良選手、西軍のキャプテンには風間八宏氏が選ばれ、ラモス瑠偉、木村和司、永島昭浩、ウーゴ・デレオンといった名優達が美技を披露し、会場となった東京ドームは華やかさと期待感に包まれたものだったと記憶しています。

ところが今や実力のある選手は、日本代表戦、リーグ戦、ナビスコ杯、AFCチャンピオンズリーグ、天皇杯と年間60試合以上の真剣勝負をこなさねばならず、本場欧州のスター選手並みの過密日程を強いられる時代となりました。

ボンさんのおっしゃるように、その上にオールスターのような花試合が加わるのは、代表クラスのスター選手にとっては過酷と言えるでしょう。

実は今年のオールスターは、Jリーグオールスター対韓国のKリーグオールスターとの対戦に変更され、鬼武チェアマンはその理由を「やや関心が低下していることもあり、新たな形式を模索していた」と説明しています。

しかし、いくら手を変え品を変えて観客の関心を高めようとしても、根本的な問題は解決しないでしょう。何故なら、オールスターという花試合の興行価値そのものが低下してしまっているからです。昨今、日本代表の親善試合に空席が目立つようになったのも、同じ理由です。

また、本当の実力者が、海外に流出してしまい、真のオールスターではないということも、動員力の低下の一因となっていますが、オールスター戦の価値低下の最大の原因は、昔とは比べ物にならないほど真剣勝負が増えてしまったことにあります。

前述のように、強豪チームになると国内ではJリーグ、ナビスコ杯、天皇杯、そして海外ではAFCチャンピオンズリーグにA3選手権が加わります。そしてその上に数々の日本代表の試合が組み込まれてくるわけですから、年間を通して公式戦だけでも飽和状態となっているのです。

これは、フットボールがカネになることを知った輩共が、FIFAやUEFA,或いはAFCといった組織と結託して大会を増大、拡大していった結果であり、コンフェデ杯などはその際たるものと言えるでしょう。

もともとこの大会は、1980年代から1990年代にかけて、アジア杯優勝国の常連であったサウジアラビアの国王が、他の大陸王者を自国に招待し、世界一を決めようと思い立ったことに端を発しております。言わば、アジアの盟主であったサウジアラビアの自尊心をくすぐるための大会だったのです。もっと言うと、お金の有り余っているサウジアラビアだからこそ成しえる、自己満足の大会であったわけです。

しかし、これはFIFA公認の大会としてカネになると踏んだどこかのエージェントがFIFAに掛け合い、コンフェデ杯という新たなカテゴリーとして誕生させたのが、そもそもの始まりなのです。

このように、成り立ち自体が不純ですから、昨今のような過密日程を強いられている本場のスター選手達には不評で、実際に出場を辞退するスター選手が少なくありません。コンフェデ杯の実態は、本気モードからは程遠い、限りなく花試合に近い存在のFIFA公式大会といっても過言ではありません。

話が少しそれてしまったので、本題に戻しましょう。

そもそもフットボールの世界はというと、真剣勝負にこそ醍醐味があるのであって、本場にはオールスター戦など存在せず、親善試合と言えば、テスティモニアル(感謝試合)や、選手主導で繰り広げられるチャリティーマッチと相場が決まっています。

では、何故Jリーグはそんな状況下でも、人気選手達の体を酷使するような花試合を開催し続けなければならないのでしょうか。

理由は簡単。やはりカネであります。スポンサーありきなのです。

JOMOという殊勝なスポンサーが協賛金を提供してくださるから、打ち切るわけにも行かず、さりとて人気の低落には歯止めをかけられないので、今回のような発表と相成ったわけです。

Jリーグも、色々考えた末の苦肉の策であったわけですが、果たして人気回復となるかと言えば、厳しいといわざるを得ないでしょう。

Jリーグサポーターの目はなかなか肥えているし、Kリーグ自体が日本のフットボールファンに馴染みがありませんから、ジリ貧状態からの脱却は難しいと言うことになると思います。何よりも、オールスターそのものが日本のフットボール界の真の発展に繋がっているとは言えないので、いずれ消滅の憂目に会うと私は予測しております。

しかし、これは発展的解消とでも申しましょうか、日本のフットボール界が成熟しつつある証拠でもあるので、悲観することは全くないと思います。

Jリーグにとっては、運営費の減少となるので残念な話でしょうが、チェアマンにはリーグに所属する選手の体調、健康、もっと言うと選手生命を守ることも、大事な仕事であることを考慮していただきたいと存じます。

コメント[4], トラックバック[0]
登録日:2008年 03月 12日 17:58:36

コメント

こんには。
僕もオールスターは消滅してほしいと思っています。

それはオールスターに関わっている人やお金を、もっとACLの発展のために使ってほしいからです。

昨日のガンバはホームの初戦にも関わらず観客数が6578人しか動員できなかったり、鹿島は現地時間15時30分の酷暑のなか試合をしなければならないという選手やお客さんの事をまったく考えてない (鹿島の責任ではありませんが) 状態でした。

もっとJリーグやJFAがリーダーシップをとって、ACLを発展させる事が日本のみならずアジアのフットボールのレベルアップにもなるし、経済的な事も良い方向に向かうかもしれません。

のんびりしてると、欧米のリーグやクラブに美味しい所みんな持ってかれちゃう気がします。

よこしん @ 2008年 03月 13日 12:56:52

よこしんさん

コメントをお寄せいただき有難うございます。

クルンタイ銀行戦が15時半キックオフとなったのは、タイ側の謀略としか思えませんが、鹿島アントラーズは意に介さず、良く頑張ったと思います。

よこしんさんがおっしゃるように、AFC発展のために企業の協賛金が使えればよいですが、AFC関連の大会は、AFCマーケティングという代理店が一括請負をしており、Jリーグは博報堂と、それぞれ棲み分けがなされていて一筋縄ではまいりません。

かつて”LOVE OR MONEY?”というサッカーを食い物にするエージェントやメディア、或いはリーグや協会関係者の暗闘を描いた本が英国で出版されましたが、LOVE、つまりフットボールを愛する心をおざなりにした運営や、経営には憤りを覚えます。

小谷泰介 @ 2008年 03月 13日 17:30:23

僕が疑問に思っていたことを、ブログに詳しくアップしていただきありがとうございます。

しかし小谷さんの記事を見て、コンフェデ杯もそのような発端から生まれた大会だということを初めてしりました。

しかしオールスターといい、コンフェデ杯といい、常にサッカー界には金が隣り合わせなんだと思うと虚しくなってきます。

多分小谷さんが仰るとおり、これからも心無い輩がサッカーに目をつけてくる可能性もあるだけに、FIFAには十分な対策をとってほしいと思います。

話は変わりますが、日本代表のバーレーン戦のメンバーが発表されました。

残念ながら大久保選手や闘莉王選手が選考外なってしまったのには、メンバー表を見た瞬間、僕もため息をついてしまいましたが、あの玉田が招集されたのにはマジでビックリしました!

岡田監督が玉田を収集した意図はわかりませんが、何か考えがあってのことなんでしょうか?とにかくバーレーン戦が楽しみです。

ボン @ 2008年 03月 14日 19:42:06

ボンさん

メールを有難うございます。

FIFA自体が、利権の巣窟と呼ばれても仕方が無い状況にあるのが現実だと、私は認識しています。

1998年のW杯チケット問題については、遂に司法のメスが入るようで、何人かのFIFA関係者が検挙されることになりそうです。

玉田選手の代表招集に関しては、先の浦和レッズ戦を見た限り、納得出来ました。同選手の鋭い突破は、何度もレッズDF陣を混乱に陥れていましたし、かつてないほど体が切れていると思いました。岡ちゃんは、良く選手を観察をしていると思います。

オシム氏同様に、その時、その時のリーグ戦で調子の良い選手を積極的に登用してい選手選考は、好感が持てます。

しかし、バーレーンは相当手強い相手であるはずで、26日のアウェーでの岡ちゃんのゲームプランや采配は、本当に見ものだと思います。

小谷泰介 @ 2008年 03月 17日 11:21:51

コメントを追加

Trackback

この記事に対するトラックバックURL:

カレンダー
< 2008年 03月 >






1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31




プロフィール
小谷泰介
小谷泰介
(著者近影:昨年7月にチェルシーFCのレジェンドで元イングランド代表のケリー・ディクソン氏とともに)

1955年、タイ王国バンコク生まれ。
フットボール・ジャーナリスト。
四半世紀に及ぶ取材経験をベースにしたジャーナリスティック、かつ辛口の解説はラジオ、テレビで人気を博した。
また、欧州のプロクラブの指導者や選手に知己が多く、クラブ経営にも造詣が深い。

著書に『拝啓 川淵三郎殿』(モダン出版)、『来日サポーターPERFECT図鑑』(東邦出版)などがある。
最近のトラックバック
カテゴリー
お気に入りリンク
検索